お薬手帳は無料?
昨日の続き。
薬剤情報提供料。いわゆるお薬手帳の15点は廃止され、
薬剤服用歴管理指導料の41点にまるめこまれた形になった。
今までは、お薬手帳を断れば、15点は算定されなかった。
じゃぁ、4月からは、手帳を断ると41点も算定されないのか??
この点が焦点となった。
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まず、確定情報として、
「お薬手帳を忘れてもシールを渡して、次回貼ってあるのを確認できれば、
算定可能」という見解が厚生労働省から出ている。
逆に言うと、公式見解でそれ以上は出ていない。
ただ、今までに各所で聞いた内容から類推するに、これはもう、
「有用性を説明した上で手帳を拒否された場合は41点算定可能」
ということでよいらしい。
その理由として・・・。
調剤報酬、本体部分は基本的にプラス改定のはずである。
薬価はともかく。手帳拒否で41点算定できないのであれば、
どうやってもマイナス改定。曲がりなりにもプラス改定と
いうのであれば、41点はべた取り可能、と解釈するしかない。
以前のお薬手帳の項目には、「患者の求めに応じて」手帳に記録した場合、
となっているが、今回の薬歴管理指導料に組み込まれた文章からは、
この「患者の求めに応じて」という文言が消えている。
患者の意向を気にしなくてもよくなった、という解釈も成り立つ。
また、手帳いらないからといって拒否したら、薬歴管理指導料そのものが
消えてなくなる→薬歴も指導もセットで消えてしまう。
そりゃ、いくらなんでもまずいだろう、ということ。
公式な文書では出てこないが、非公式な場では、
「41点べた取りでOK」というニュアンスが
言葉の端々から伝わってくる・・・らしい。
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じゃ、なんで公式な文書として出さないのか?
というと、公式な文書で出してしまうと、お薬手帳を勧めもせずに
41点算定する輩が出てくるからじゃないかな?と想像する。
今回、国の方針としては「できるだけ多くの人に手帳を持って欲しい」だ。
そのためには、締め付けは強ければ強いほどいい。
緩めるような文言は、あまり使いたくない。
・・・かといって、大多数の薬局を潰すのは不本意だから、
本気で取り締まることはない・・・。そのバランスを狙っているのではないか?
・・・というのが、私の考え(妄想)だ。
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実際問題として、ほとんど全ての薬局が41点べた取りするだろう。
そうでなきゃ、経営が成り立たないだろうからね。
結果として、「お薬手帳を持っても持たなくても、値段は変わらない」
ということになる・・・な。これをもって、
「お薬手帳が無料になった」と表現する人もいるかもしれないが、
私は、その言い回しは違うように感じる。
「セット料金になって、外せなくなった」というイメージが正しい。
以前は選択できるオプションだったんだけど、そうでなくなっただけだ。
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まぁ、またどこぞのテレビとかメディアが、
「お薬手帳を断ると○○円安くなる」とか言うかも知れないが、
今回はもう、完全に無理筋だろうな。
明文化されたルールだけなら、そう読めるんだけど、
実際の運用は、(おそらく)そうはならないから。
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薬剤服用歴管理指導料そのものを算定しないでくれ、という要求は
あり得なくはないが、受け入れる薬局はごくわずかだと思う。
医師に対して「カルテを書くな」と言っているようなもんだから。
もう少し、続く。
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コメント
薬剤服用歴管理指導料は徴収されてもいいが薬剤の服用管理は一切して欲しくない場合どうすればいいのでしょうか?
もちろん薬剤明細、薬の説明書、お薬手帳等一切不要です。
投稿: ゆかり | 2016-08-07 17:21
>ゆかりさん
「説明等、一切不要です」と伝えれば、ある程度は
配慮してくれる薬剤師もいると思います。
ただ、本文にも書きましたけど、
それって薬剤師の仕事の全否定なんですよ。
医師に向かって「カルテ書くな」と言うに等しいんです。
それを「仕事しなくていいの、ラッキー」と思う医療者も
いるでしょうけど・・・。
投稿: kitten | 2016-08-08 21:51