頭痛にぺリアクチン
久々に疑義照会実例。
といっても、最近の話じゃないんだけど・・・
まだ書いていなかったと思うので。どちらかと言うと失敗例だが。(苦笑)
<処方実例>
ぺリアクチン散1% 0.6g
1日3回毎食後 7日分
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以上
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患者さんは8歳の女の子だ。
実は、この5日前にも処方せんをもってきていた。そちらは・・・
カロナール細粒20% 1.2g
頓服 頭痛時服用 5回分
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他に何も薬は出ていない。
カロナールから、ぺリアクチンに変更、だ。
知っている人なら「あぁ、あれか・・・」と思うかも知れないが、
(このときの)私は知らなかったので、ものすごく違和感を感じた。
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ぺリアクチンという薬は、昔から使われている抗アレルギー薬。
承認は1960年代ってことは、50年前ってことか。
バリバリ現役で使われているなぁ。
もっともよく使われるのは、風邪の時。
それも、子どもに対して、散(粉薬)やシロップがよく使われる。
ただ、ぺリアクチンを単独で処方ってのはあまり見かけない。
咳止め(アスベリンとか)、痰(ムコダインとか)と混合して使うことが多い。
これは、散剤としてでも、シロップとしてでも同様だ。
アレルギー症状だけだったらぺリアクチン単体はありえなくはないけど、
珍しいよなぁ・・・。そう思って患者さん(お母さん)に聞いてみると、
「頭痛の薬と聞いてます。前の薬(カロナール)で効果なかったので」
はいぃ??
ぺリアクチンを頭痛に使うって、そんなことあるんかいな?
少なくとも、保険適応はないはずだ。
そこで、病院に確認してみる。
ひょっとして、何か別の薬と間違えてるのかも?と思って。
ところが・・・
「頭痛の薬として、(ぺリアクチンを)出しておいてください」
と言われた。
まぁ、そう言われればそれ以上は何も言えない。
何か、適応外な使い方なんだろう。
ただし、薬の説明書には思い切り「アレルギー、鼻炎の薬」と書かれているので、
そこんとこはフォローする必要があったけど。
.
さて、調べてみたところ、やはり適応外処方のようだ。
専門的な話になるが、ぺリアクチンには抗ヒスタミン作用だけではなく、
抗セロトニン作用もある。この辺が頭痛、特に片頭痛と関係してくるようだ。
ネットで調べてみると、小児の片頭痛にしばしば用いられているようだ。
・・・厳密には保険適応はなさそうだから、結局のところ疑義照会は必要なんだろう。
でも最初からこの知識があれば、疑義照会しなかっただろうなぁ。
やっぱり、薬剤師の知識が足りないと疑義照会が増えるってことかな。
by 薬剤師ブログタイムズ
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コメント
貴重な情報ありがとうございますm(__)m ペリアクチンにそのような使い方があるとは知りませんでした 薬剤師は常に勉強が必要ですね ネットも不可欠ですしね
投稿: すみぱん | 2012-05-20 05:18
ネットは不可欠ですねー。
とりあえず、「ぺリアクチン 頭痛」で検索かけましたもん。w
でも、治療薬マニュアルなどの本にも、ちゃんと書いてあったと思います。
なので、適応外のなかでは比較的有名なのかも知れません。
本はおろか、ネットで検索しても分からないような処方もあるので、
そういうのはやっぱり疑義照会するしかないんですが。
投稿: kitten | 2012-05-20 21:33
はじめまして。ぺリアクチンで検索していてたどり着いてしまいました。小児科医をしています。
ぺリアクチンって適応外使用の多い薬だと思います。子供には睡眠導入剤代わりに出すこともありますが、食欲増進作用もあるので長く出すと太ってしまいますね。この作用を食欲の減退したお年寄りに使うこともあると内科の先生に聞いたことがあります。
小さい子供への酔い止めに使うこともあり、「寝ないとき」「船に乗るとき」対策として4歳の末っ子の旅行用に今日ぺリアクチン単味で処方するところです^^;。
投稿: みぽりん | 2012-08-03 10:32
>みぽりんさん
コメントありがとうございます。
睡眠導入剤がわりってのは、見たことあります。
食欲増進剤として使うってのは初めて聞きました。
古典的な薬なのに、色々使えるんですね。
投稿: kitten | 2012-08-05 13:02