手書きの麻薬処方箋
まだまだ暑いので・・・怖い話を。
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薬局に来た人が、「ここ、この薬あるかなぁ?」と聞いてきた。
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<処方実例>
オキノーム散 2.5mg 1包 痛い時 14回分
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以上。
年齢から見て、本人ではない様子。看護している家族の方だと思う。
幸い、オキノームは在庫があったので調剤できるんだけど・・・
新患さん、見たことない医療機関の処方箋。しかも手書き。
これは怖い、怖すぎる。
なぜ怖いかというと、このオキノームというのは
医療用麻薬だから。
これはもう聞くまでもなく、癌性の疼痛だろう。
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麻薬は、非常に管理が厳しい。(当たり前だ)
万が一にも紛失してはならないし(そんなことがあったら知事あての事故届)
薬局の中でも金庫に入れて保管しているし、一回ごとに帳簿で管理している。
で、手書き処方箋の何が怖いか、というと、改ざんが簡単だ、ということ。
数字をちょちょいと書き換えれば必要以上の麻薬を手に入れることもできる。
さすがに、字が読みにくいなんてことはなかったから助かったけど。
(手書き処方箋は読みにくいものが多い。字がきれいな医師なんて見たことない)
まぁ、在宅で往診するような先生なら、手書きになっても仕方ないとこはあるけど、
ちょっと怖いから、できれば勘弁して欲しいなぁ。。
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さて、この患者さん。
いきつけの薬局があったそうだけど、麻薬調剤を断られたらしい。
麻薬を取り扱えない薬局もあるから、それは仕方ないだろう。
じっくり処方箋を観察して、怪しいところがないか確認。(汗)
で、調剤したところ、「数が少ない」と言われる。(滝汗)
「最近、使う回数が増えているから、この量じゃ足りへん。
先生、増やすって言ってたけどなぁ?」
そう来られてはしかたない。疑義照会だ。
まぁ、このケースの場合疑義照会できてむしろよかったとも言える。
(ちゃんと処方元に確認できるから。w)
この手の「先生が言っていた量と違う」という申し出はしょっちゅうある。
睡眠薬とか、シップとかで多いし、疑義照会も日常茶飯事だけど、
麻薬だとさすがに怖いよ。(泣)
ただ、患者さんのことを考えるとしない訳にいかないし。
結局、量を増やしてもらうことになった。
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ここから先は、少し学術的な話。
この患者さん、基本はNSAIDSで、麻薬は頓服のみで使っているようだ。
で、麻薬の量(回数)が少しずつ増えてきている。
患者さん(というか看護者)が、麻薬に対する抵抗感があるようで、
できるだけ使いたくない、ということを言われたけど・・・。
実際の話、どうなんだろうね。
私は、むしろ頓服の麻薬の量がどんどん増えるのであれば、
オキシコンチン(これも麻薬)あたりを常用する方がいいと思うんだけど。
でも、その辺の話を患者さんにしてもいいものだろうか?
むしろ、医師に話すべきなのかなぁ?
実際に在宅の患者さんで、医師や訪問看護士、ケアマネと連携が取れるなら、
もちろん、そういう話はすると思うけれども・・・
あくまで薬局に「普通に」取りに来られている場合、
薬局の薬剤師はどこまで口を出せばいいんだろうか?
あまり出しゃばりすぎると、医師からクレームが来るかも知れないし。
患者さん個々に、薬局では分からない問題を抱えている結果として、
麻薬を少なめに設定されているのかも知れないので、
なんとも言いづらいところがあるなぁ・・・。

by 薬剤師ブログタイムズ
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コメント
今 手書き処方箋は珍しくなってきてるし 確かにそれが麻薬なら なかなか大変ですね
かかりつけの薬局で受け付けられるよう手だてを打っていただきたいですね〜
患者さまの様子の把握も含めて
投稿: すみぱん | 2012-08-27 14:02
麻薬を取り扱うには麻薬の免許いりますからねぇ。
実際のところ、どうなんでしょう?
町の薬局さんって麻薬免許もってないところ多いんでしょうか?
まぁ、管理も手間がかかるし、指導も難しいし、
かといって利益がある訳でもないし・・・。
自分とこの薬局の都合だけなら、
あえて麻薬免許取らない選択肢はあるのかも知れません。
でも、せっかく「かかりつけ薬局」にしてもらってるんなら
麻薬だけお断りって、ちょっとひどいな、と思います。
投稿: kitten | 2012-08-28 19:20