医療費抑制は、薬局だけでは無理
国民医療費が増え続けている。
もっとも、減ることはありえないので、どうやって増加額を抑制できるか、の問題だが、
それもなかなか効果が見えてこないようだ。
「医療費減らず最高37兆円に」(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2703B_X20C12A9EE8000/
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以下、一部引用
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医療費が右肩上がりで増えている。厚生労働省は27日、国民が1年間に使った
医療費の総額を示す国民医療費が、2010年度は前年度比3.9%増の37兆4202億円
になったと発表した。厚労省は価格の低い後発医薬品の利用促進や入院日数の短縮
など医療費抑制策に取り組んでいるが、膨張に歯止めがかからない。
(中略)
例えば、医薬品に占める後発薬の割合を12年度に30%にする目標を立て、
直近では25%程度になっている。財務省の試算では後発薬のシェアが20%
から30%になれば、年間4800億円の医療費削減につながる。
ところが、10年度の薬局で調剤した薬代は5.5%増の6.1兆円だった。
(以下略)
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引用終わり
後発品のシェアが20%から30%になれば、医療費削減が4800億円と試算。
いま、25%。これが30%になれば、半分の2400億円が減る、としよう。
2010年度の薬局調剤の薬代は6.1兆円。2400億円って、たった4%。
さらに言うなら、10年度は、昨年比5.5%増えている訳で・・・。
すでにこの時点で「焼け石に水」と言わざるを得ないな。
ちりも積もれば山となる、と信じて後発品を勧めてはいるけれど、
絶望的な気分になる。
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医療費の抑制は、薬局だけでなんとかなるようなもんじゃない。
マクロでみてもそうだけど、ミクロな例を一つ紹介しよう。
高尿酸血症の治療薬として、フェブリク錠が発売された。去年の話だ。
最近、それまで「ザイロリック錠」を処方されている患者さんが、
フェブリクに変更になった。
ところが、その患者さんは、ずっとザイロリックの後発品を調剤していた。
ザイロリック(アロプリノール)100mg 2錠が、
フェブリク20mg1錠になって、値段がどうかわったか?
アロプリノール(後発品)2錠 5.6円×2=11.2円(1点/日)
フェブリク20mg 1錠 56.4円×1=56.4円(6点/日)
薬価だけで言うと、実質6倍の値段に跳ね上がった訳だ。
これは、「なんでそんなに高くなるの?」とかなり文句を言われた。
(新しくいい薬が出たから、くらいの説明しかなかったらしい。)
でも、薬局ではどうしようもない。フェブリクには当然後発品がないし。
大きな病院で疑義照会もできそうにないので、
次回、もう一度医師と相談して、としか言えなかった。
似たようなケースは多々あると思う。
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一般名処方が進められて、後発品を調剤する機会も増えている。
でも、後発品のない新薬を処方されると、薬局では何も出来ない。
本気で医療費抑制を考えるのであれば、
後発品のない先発医薬品の処方を抑制する必要があるだろう。
薬局で安い薬を選ぼうにも、そもそも高い新薬を処方されたら
薬局にはなす術がないんだから。
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コメント
結局、厚生労働省のズボラさが、ここでも露呈するだけなんですよね-_-#-_-#-_-#
投稿: すみぱん | 2012-09-28 20:29
正直、元の試算が間違えてるんじゃないか?という気がします。かなり甘い見積もりなんじゃないかと。
投稿: kitten | 2012-09-29 16:13