6つ目のDPP-4阻害薬、スイニー錠が発売予定
新薬の話。
新しい作用機序の糖尿病治療薬として、インクレチン関連薬が出てきた。
内服薬としては、DPP-4阻害薬といわれる種類のもの。
1発目の「ジャヌビア/グラクティブ」(併売)が出たのは3年前だ。
そこからたった3年しか経っていないのに・・・。
もう6種類目のDPP-4阻害薬が、年内に発売されるらしい。
http://www.skk-net.com/information/2012/2ugeq50000001838-att/2ugeq5000000184c.pdf
三和化学研究所と興和からの併売で、「スイニー錠100mg」が、
製造販売承認をとったそうな。詳しい内容は不明。
100mg一手しかないってことは・・・細かい用量調節不要なのかな?
トラゼンタやテネリアのように。
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ぱっとみた感じ、この系統の薬の一番のネックになるところの
「併用薬剤」の縛りは、ほぼ全てクリアしている状況での発売らしい。
αーGI、BG、SU、チアゾリシン全てOK.インスリンはダメっぽいけど。
この時点ですでに、トラゼンタやテネリアをリードしている。
もっとも、最終的には全ての薬剤が適応を取ってくると思うけど。
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どうも、三和化研と興和は、当初、同一薬剤を別名で販売する予定だったようだ。
ジャヌビア/グラクティブのように。
ただ、何らかの事情で(おそらく販売戦略なんだろう)、
結局のところ、テネリアのように同名称での販売、となった模様。
まぁ、ここで別名称をやられると薬局としてはかなり辛いから、
それはありがたいけど。
・・・それにしても、DPP-4阻害薬って新薬が出るペースが早くないか??
たった3年で6つ目って尋常じゃない。
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例えば、ARB(高血圧の一番いい薬)の場合・・・
ニューロタン(ロサルタン) 1998年
ブロプレス(カンデサルタンシレキセチル) 1999年
ディオバン(バルサルンタン) 2000年
ミカルディス(テルミサルタン) 2002年
オルメテック(オルメサルタンメドキソミル) 2006年
イルベタン(イルベサルタン) 2008年
アジルバ(アジルサルタン) 2012年
14年で7つ(イルベサルタンはアバプロもあるけど)
いや、ARBですら、「こんなに種類いるのかよ」と思うくらい多いけど、
DPP-4阻害薬の勢いは、それに近いものがある。
・・・しかも、すでに7つ目がスタンバイしてるらしい。
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糖尿病の治療薬全体の売り上げが伸びていて、それを支えているのが、
このdpp-4阻害薬らしい。つまり、市場がどんどん大きくなっているから、
どんどんと新製品が投入されるってことなんだろうけど・・・
効果の方はどうなの??
直接検査結果を見られる訳じゃないから、あんまりぴんとこないけど、
少なくとも、他の種類の薬よりも効果が大きい、という感じはしないんだけど。
副作用は(理論上)少ないはずだけど。
.
うーん、こんなに高い薬が必要なのか?
dpp-4阻害薬の売上は、たぶん糖尿病用の内服薬ではトップになるだろう。
(もう、トップになっているのかも知れない)
ただ、それは単に薬価が高いから、という側面もあるだろ。
他の薬は薬価も安いし、後発品も出てきているし。
糖尿病薬でも、私は「こんな新薬いるの?」と思ってしまう。
ARBと同じように。第一選択薬は、とりあえず安価なメトホルミンでよくない??
そろそろ、費用対効果を考える時期じゃないのかな?
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コメント
メトホルミンはメトグルコと言う名称に変わったと聞いています。
同一品で名称が変わるのはどうしてなのでしょうか?販売戦略と言うことで名称をころころかえるのはドーかと思います。
メトホルミンはメトグルコと言う名称に変わっただけではなく新薬としての扱いになり薬価も上がったのでは?
ジヤヌビアは高いので私はメトホルミンに変えようと思っていますが新薬扱いなら考えてしまいます。
投稿: やまんば@糖尿病 | 2012-12-01 10:14
メルビンとメトグルコは全く同じものなんですが、
メトグルコの方が、1日9錠まで服用可能になりました。
メルビンは、1日3錠までです。これは許認可上の都合です。
薬価は少し高くなっていますが、気にするほどではありません。(9.6円→9.9円)
詳しいことは・・・むむろぐさんとこがわかりやすかったので、
url書いておきます。
http://mumulog.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17
投稿: kitten | 2012-12-02 14:37
>第一選択薬は、とりあえず安価なメトホルミンでよくない??
薬剤師という立場からこういう発言が出るとは残念でなりません。もう少し糖尿病の薬物治療に関して勉強してください。
投稿: DMオヤジ | 2012-12-08 23:42
>DMオヤジさん
勉強することはやぶさかではありませんが、結論は変わらないと思います。
全ての人に最善の治療をしようとしていることが、保険財政を圧迫している、と認識していますので。
この考え方自体が、まだまだ異端だ、というのは自覚しています。
全員がメトホルミンを使うべきとは思いませんが、
メトホルミンで問題ないにも関わらず高価な薬が処方されているのは、もったいないと思います。
メトホルミンとスイニーで1日薬価は5倍以上違いますが、
メトホルミンとスイニーで5倍の効果の差があるとは思えません。
ようは、費用対効果の考え方を医療にも導入すべき、ってことですよ。
投稿: kitten | 2012-12-09 12:40
国内では副作用の乳酸アシドーシスが強調されたせいか、
まだメジャーにはなっていないようですが、世界では
メトホルミンがファーストチョイスとして使用されており
WHOからも糖尿病治療薬として推奨されております。
価格・世界での使用状況から見ても、本邦でも第一選択薬と
してはどうかという意見があってもおかしくはありません。
DMオヤジさんは少し古い認識でお話されているのではない
でしょうか。
投稿: 通りすがり | 2012-12-24 23:16
>通りすがりさん
コメント(フォロー)ありがとうございます。
他人に対して「勉強して」と言うほどの人が、
そんなことも知らないとは思えない・・・んですけどね。
何か、(私の知らない)新たな知見でもあるのかなぁ、
と思っているんですけれども。
それが「ない」と断言できるほどは勉強してないので。
どうせ、価格を評価に入れるとメトホルミン優位は
動かないと思うので、ああいうコメントになりました。w
投稿: kitten | 2012-12-25 12:11
最近 メトホルミンに骨密度が減少するという副作用が判明しましたので急ぎ「スイニー」に変更しました。
こうした副作用野対策のために私はメトホルミンとDPP-1阻害薬を半年~1年間隔で変更したらどうかと考えました。
「スイニー」半年使ったら又メトグルコにもどしたいと思います。
投稿: やまんば@糖尿病 | 2015-10-21 15:35