PL配合顆粒 1g 分1寝る前
いつもの疑義照会・・・ではない。
普通なら疑義照会するケースなんだけど、
その前に疑義がなくなってしまったので。w
(カテゴリも、疑義照会カテゴリからは外してある。)
.
患者さんは30代男性。
処方内容は・・・
PL配合顆粒 1g 分1 寝る前 7日分
以上
.
PL配合顆粒は、医療用で用いられる代表的な総合感冒薬。
いわゆる、一般的な風邪薬。解熱剤に鼻炎薬などが配合されている。
添付文書上は、「1回1gを1日4回経口投与する」となっているけど、
たいていの医師は、1日3回毎食後で処方する。w
子供用には、「幼児用PL顆粒」なんてのもある。
.
さて、1日3回毎食後ならよく見るけれども、1日1回寝る前ってのは・・・
めったに見ないな。用法が間違ってるか、薬が間違ってるんじゃないのか?
即、疑義照会でも別に構わないんだけど、先に患者さんに聞いてみる。
「風邪薬が寝る前だけ服用、という指示なんですけど、
医師から何か説明を聞いていますか?」
これに対して、
「あぁ、それはこっちからお願いしてん。
睡眠薬として使うから」
.
??
確かに、PL配合顆粒は眠気の副作用がある。
比較的眠くなりやすい薬、と言えるかも知れない。
でも、それでも睡眠薬の替わりになるかなぁ?
「いや、この薬のむとものすごーーく眠たくなるから。」
.
こ、これは・・・昔、かすかに勉強した覚えのある、あれか。
CYP2d6のPMなんだ、この人は。
.
思いっきり専門用語なので、解説。
CYPというのは、「薬物代謝酵素」の種類。
薬を体内で無害化するタンパク質のこと。
いくつか種類があるんだけど、PL配合顆粒はCYPの中でも「2d6」という酵素が
代謝(無毒化)する。ところが、この酵素が遺伝的にとても弱い人がいる。
そういう人を「PoorMetabolizer」略してPMと言う。
分かりやすく言うと、「お酒にとても弱い人がいる」のと同じ感覚で、
「PL配合顆粒にとても弱い人」がいるってことだ。
確か、このタイプはめったにいなかったはずだと思うけど・・・。
でも、いくら眠くなるからといって、睡眠薬の替わりに使うってありなの??
まぁ、医師が処方してるんだから別にいいのかな?
.
ちなみに、こういう情報は(あんまりはっきりわかることはないけど)、
患者さんにとってはかなり重要な情報になる。
というのは、同じ代謝酵素「CYP2D6」で代謝されるような薬は、
この人にはものすごく効き易い、というか副作用が出やすい、と
前もって予想することができるので。

by 薬剤師ブログタイムズ
| 固定リンク
「('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事
- 2013年の記録&カテゴリ変更(2013.12.31)
- うがい薬「のみ」の処方が保険適応外?(2013.12.26)
- ジスロマック細粒の後発品(2013.12.17)
- 新しい吸入薬(2013.12.14)
- 薬が減ったのに薬代が上がる?(その2)(2013.12.03)
コメント
患者さんの体質に関する情報は、今後の処方に対して大丈夫か確認するのに重要ですよね(^^) しかし、患者さんの希望するままに薬を処方する先生は, ある意味優しいのでしょうが薬局には 困りものですよね(*_*)
投稿: すみぱん | 2012-11-11 04:21
あっ僕も寝なきゃダメなのに眠れなくて
困ったときに睡眠薬代わりにPL飲んだことありますよ(笑)
睡眠に関してはプラセボでも効くので、さらに眠くなる
風邪薬の代表格ですからね(^o^)
だからCYP~ではないんじゃないですかね~(>_<)
投稿: るるー主 | 2012-11-11 23:40
>すみぱんさん
患者さんの言いなりになるのもほどほどに、
って思うことありますね。
まるで、患者さんが医師に薬を「発注」しているようで、
なんとも。
>るるー主さん
そうですね。あくまでPMの疑いってだけですね。
他の薬で試してみたらより確実になるかも知れませんが。
実際のところ、他にCYP2d6代謝の薬が出ることがあれば、
「他の人よりも副作用がでやすいかも知れません」って
注意する・・・くらいかなぁ。
投稿: kitten | 2012-11-12 16:13