トクホのコーラ、ペプシスペシャルをこないだ紹介した。
「ペプシスペシャル、トクホのコーラ」(2012.11.17)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-76a9.html
これの有効成分は「難消化性デキストリン」
キリンメッツコーラと同じである。
ペプシスペシャルは、「脂肪の吸収を抑える」という宣伝文句だけれども、
難消化性デキストリン自体は、脂肪だけではなく糖にも効果がある。
食後の血糖値の上昇を穏やかにする、と。
こちらの効能でトクホをとっているものもあった。
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同じ「難消化性デキストリン」の商品で、
大塚製薬が出している、「賢者の食卓」
これが、リニューアルされている。
「賢者の食卓、ダブルサポート」として。
http://www.otsuka.co.jp/kns/index.html
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許可表示は、
本製品は食物繊維(難消化性デキストリン)の働きで、糖分や脂肪の吸収を抑えること
により、食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇をおだやかにします。食後の血糖値が
気になる方や脂肪の多い食事を摂りがちな方の食生活の改善に役立ちます。
何が変わったか、というと・・・
この商品。以前は
「食後の血糖値の上昇を抑える」という商品で、中性脂肪に関しての表示はなかった。
同じ「難消化性デキストリン」の商品で、メッツコーラが血糖値ではなく、
中性脂肪の上昇を抑える、という許可表示を取っている。
「なら、うちも。」ってなったんだろうなぁ。
同じ成分なんだから、実験すれば同じような結果が出て、申請できるだろうし。
つまり、この「賢者の食卓、ダブルサポート」も、
基本的には、商品内容自体は変わっていない。試験を追加することによって、
「中性脂肪の上昇をおだやかにする」という許可表示をもらって、
「糖と脂肪と、両方に効きます!」と宣伝できるようになった、ってだけ。
あたりまえだけど、許可表示変える前から両方の効果はあったんだろう。
この辺の話は、「新・黒烏龍茶」と似ているな。
あれも、中身はまったく変わってなくて、「体に脂肪をつきにくくする」という
新たな宣伝許可を取ったから「新」とつけた、ってだけの話だから。
「黒烏龍茶はどこが新しくなった?」(2012.10.6)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7d66.html
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さて、難消化性デキストリンの効果について。
重要なのは、「食事と一緒に」摂らなきゃ効果は望めない、っていう点。
例えば、お風呂上りに喉が渇いてて、メッツコーラ飲みました、って言っても、
まぁ効果はないだろう。(いや、これ私が時々やるんだけどね。w)
あくまで、食事中、少なくとも食直後に飲む必要がある。
コーラ商品だと500mlペット1本飲まなきゃいけないからちときつい。
あくまで炭酸飲料にこだわるんなら、スタイリースパークリングの方を勧める。
あれなら、「食事と一緒に摂るべき」という縛りはないから。
また、「賢者の食卓」なら、一袋を何かに溶かせばよい。
これ、水分量が調節できるから、「1本飲むのがきつい」ってことはないだろう。
500mlペット1本飲むのと、6gの粉を何かに溶かして飲むの、
どっちが楽?ってことだ。
もう一つ、賢者の食卓の、(トクホコーラに対する)すぐれている点は、
「1日3回摂取」になっているところ。トクホコーラは1日1本目安だったはず。
効果を考えると別に1日3本トクホコーラのんでも構わないんだけど、
・・・これ、飲む方がつらいだろ。w
値段も「賢者の食卓」の方が安い。面倒くさいっちゃ面倒くさいけど、
同じ効果を期待するなら、こっちの方が得かな。
何に混ぜても構わないってことは、ゼロコーラに混ぜても構わないから、
その気になれば(格安で)トクホコーラを自作できる。
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ただし、効果のほどは、まぁそれなりだ。何回か書いているけど、
血糖値に関しては、食後過血糖、という病態はよろしくないので、
血糖値の上昇を緩やかにすることに医学的意味はある。
でも、中性脂肪に関しては、どうなの??
上昇がおだやかになったところで、最終的に吸収されるのであれば、
あまり意味はないんじゃないか、と思う。
「賢者の食卓」の商品説明のHPにも、
例によって、解説ページには時間単位の血中中性脂肪値のグラフがあるけど
欲しいのは時間単位じゃなくて、週単位の結果なんだけど。
この商品をひと月続けて、中性脂肪値がこれだけ下がりました、
っていうデータが欲しいな。
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また、脂肪の排泄量が2倍になるとも書いている。
これ、黒烏龍茶に時にも書いたと思うけど、もともと排泄される脂肪量って多くないので、
見た目はインパクトあるけど、果たして臨床で意味があるのかどうか?
前にも一度例示したけれども。
「排泄量2倍」は「吸収量半減」を意味しない。
例えば、摂取した脂肪量の90%を吸収し、10%を排泄するのであれば、
排泄量2倍、で20%になったとき、吸収量は80%だ。
まぁ、大ざっぱに言うと吸収量が1割強、減少する、ってことだな。
もちろん、それはそれで意味があるんだけど。
意味的には「脂肪の吸収10%カット」の方が実態を表しているのに、
「脂肪の排泄量2倍!」っていうのは、なんかイメージをうまく利用しているな、と。
反則じゃないけど、ちょっとずるく感じてしまう。
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うーん、やっぱり、脂肪に関する効果に関しては「?」をつけたくなるな。
糖に関しては、そんなに問題ないと思うけど。
そういえば、前にペプシスペシャルを紹介した時に、
ネット上にデータがない、と書いた。
発売当初だから、間に合ってないのかな?と思ったけど、
いまだにデータが出てこないところを見ると、あえて出さない戦略なんだろうな。
by 薬剤師ブログタイムズ
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