ジェネリックでどこまで安くなるか?
ちょっとここんとこ、仕事が忙しい。
しばらく(あと2週間くらい?)は、公私ともに忙しいから、
なかなか気合入れてブログ書くこともできないかも知れない。
.
というわけで、ちょっとした小ネタ。
薬局に「後発品変更可能」な処方箋を持ち込んだとして、
先発品と後発品で、どれくらい値段が変わるか?
かなり前にも一回書いたことあるけど。
薬の値段としては、3割~5割、ものによってはそれ以上安くなる・・・んだけど、
実はトータルの支払額としてはそうそう実感できないと思う。
ひどい例だと、数十円しか変わらない、なんてこともある。
.
もし、薬代というものが、純粋に薬の値段=「薬価」だけを指すのであれば、
3割~5割なんだけれども、お薬をもらうときの自己負担金って、「薬価」だけじゃない。
調剤基本料とか、薬剤服用歴管理指導料とか、調剤料とか・・・。
まぁ、「薬価」以外の技術料が取られている。
この技術料は、薬価によって変動しない。
例えば、1日1回朝食後、30日分の薬を1種類だけ、だったら、
その薬が1錠6円の薬だろうが、1錠600円の薬だろうが、
「技術料」は変わらない。
もう少し具体的に例をあげてみる。
例えば、調剤基本料(薬局によって点数は異なる)55点、
薬剤服用歴管理指導料41点を取るとして、
1剤の30日分で、調剤料が81点、とすると、
ここまでで177点ある。1点10円だから、1770円だ。
これに、薬剤料がのる。
1錠30円の薬を30日分であれば、薬剤料は900円。
技術料とあわせて2670円になる。3割負担なら、800円。
1錠300円の薬であれば、薬剤料は30日で9000円。
技術料とあわせて10770円。3割負担なら3230円だ。
それぞれ、薬価が60%になるジェネリックがあったとする。
30円→18円になった場合、薬剤料は・・・600円。
技術料とあわせると2370円。3割負担で710円。
800円→710円。1割ちょっとしか安くなってない。
.
300円→180円になった場合、薬剤料は5400円。
技術料とあわせると7170円。3割負担で2150円。
3230円→2150円。この場合だと、3割以上安くなってる。
.
このように、もともとが安い薬の場合は、
固定費になっている技術料の割合が大きいので、あまり安さが実感できない。
さらに、新しくてジェネリックの出ていない高い薬も一緒に出ていると、
なおさら安さを実感できなくなる。
最初の例に、「1錠200円でジェネリックのない薬」を、
同じ用法(朝食後、30日分)で足すと、こうなる。
2600円→2510円。
5%も安くなっていないでやんの。(苦笑)
.
さて、ここで問題。基本的に上記の条件で
(調剤基本料+薬歴管理料+30日分調剤料=1760円が固定)
どんな薬をジェネリックに変えたら、もっとも割引率が高くなるだろうか?
.
私の経験上では、トラニラスト(先発:リザベン)はお得感が強い。
リザベン3Cp(薬価53.5円×3=160.5円/日)を後発(薬価7.7円)にすると、
3割負担で1970円→710円となり、64%オフ。
目を疑うくらい安くなる。他にどんなのがあるかなぁ??
カモスタットメシル酸塩(先発:フオイパン)を1日6錠とかすれば?
3割負担で5840円→1160円。80%オフ。
.
さて、これをさらに上回る割引率を先日、経験した。
(ちょっと、特殊な条件が入るけど。)間違いなく理論上最高値だ。
・・・その内容は、また後日。(多分、来週の木曜日か金曜日に)
暇な人(この季節にそんな人いるのか?)は考えてみても面白いかも。
.
追記。続きアップしました。
「タダより安いものはない?」(2013.2.21)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-28d7.html
| 固定リンク
「('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事
- 2013年の記録&カテゴリ変更(2013.12.31)
- うがい薬「のみ」の処方が保険適応外?(2013.12.26)
- ジスロマック細粒の後発品(2013.12.17)
- 新しい吸入薬(2013.12.14)
- 薬が減ったのに薬代が上がる?(その2)(2013.12.03)
コメント
そうですよね(^^;) 最終的には、思ったほど安くならず 患者さんも 「じゃあ どっちでも良いです」なんてこともありますね~ それが半額どころかそれ以上安くなるものがあるんですか(゚o゚;
投稿: すみぱん | 2013-02-16 03:48
ジェネリック加算付きましたっけ?とすると、更に差は?逆転も?
投稿: | 2013-02-16 22:27
>すみぱんさん
こんだけ安くなると、代替するほうも気持ちいいです。
薬局の利益は減るんですけどね。w
>上の人
後発品調剤加算は、2012年4月に廃止されました。
体制加算が調剤基本料にのりますけど、
それは個々の患者さんが後発を選ぶかどうかでは点数が変わりません。
基本的には、先発から後発に変更して高くなるってことは、
ほとんどなくなっていますね。
投稿: kitten | 2013-02-18 19:36
調剤薬局の手数料って、ぼったくりだと思いませんか?
薬の数を数えて入れてろくに説明もせずお会計するだけ。
子どもでもできる仕事(苦笑)。
なのに、あの手数料の値段設定なんですか!
日本薬剤師会は有数の献金団体だからね。
私は引っ越したら近所で院内処方しているクリニックをひたすら捜します。
投稿: 本音 | 2013-02-18 19:39
基本、小売ですからね。。。
通常の小売では原価+利益=販売価格になりますが、
薬は原価≒販売価格なので利益分を手数料でもらっている
だけです。
投稿: とおりすがり | 2013-02-18 22:41
>本音さん
コメントありがとうございます。
実際、それだけの仕事してるか、と言われると
堂々と「してる」と言える薬剤師がどれだけいるか、
難しいところだと思います。
大手の調剤薬局チェーンは、かなりの利益を稼いでますが、
小規模の薬局だと、このくらいの設定でも経営厳しいのが
実情です。この辺、構造的な問題があります・・・。
大手の利益削りたくて調剤報酬を削りにかかると、
中小薬局が壊滅するんです。
(これ、薬局よりも病院の方が深刻ですが)
医療でなきゃ、「潰れてしまえ」って思いますが・・。
薬を数えて会計するだけなら子供でもできますが、
疑義照会して医師と交渉するのは子供じゃ無理でしょう。
まぁ、医師のミスが気にならなくて(97%は大丈夫)
飲み合わせとか見る必要のない若い方であれば、
院内調剤の方が安くていいと思います。
個人的には私も、院内でいいんですけど、
(自分の身は自分で守れる知識ありますから)
院内だと(一般的な薬でも)「採用してない」とか
言われることが多々あるので・・・。
薬の選択の幅が広くなる院外処方の方が、
医療の質としては間違いなく上だと思います。
クリニックだと一人しか使わないような薬は
まずおいてくれませんけど、
薬局なら(嫌々でも)おいてくれますからね。
投稿: kitten | 2013-02-18 23:15
>とおりすがりさん
コメントありがとうございます。
個人的には、焼肉屋とかぼったくりだと思います。
肉切るだけで原価の3倍で売るとか・・・。
普通の小売と違う点は、「利益」の部分の内訳が
変な名称で見えることだと思います。
「調剤料」とか「薬歴管理料」とか。
ぶっちゃけ、そんな名称どうでもよくて、実態は
「薬局維持費(人件費・利益含む)」なんですけどね。
なまじ「調剤料81点」とか見えるもんだから、
「たった30錠そろえるだけで810円?」みたいな
見方をされてしまうことがあるんですよね。
もっとも、「本音」さんは、
その辺まで理解されているようにも思います。
技術料がなければ、原価で売っているようなもんだ、って
ことも、知っているんじゃないかな?
手数料を取るな、と言っているわけじゃなくて、
手数料が高すぎると言われているので。
投稿: kitten | 2013-02-18 23:23
スーパーの特売みたいなもので、
特売品は安くなってるけど、
他は普通の値段なので、
レジを済ませたときそんなに得してない、
むしろいっぱい買い物してしまい、いつもよりお金使った。
みたいな感じでしょうか?
投稿: 通りすがり | 2013-02-19 15:45
>通りすがりさん
ちょっと違うかな、と思います。
スーパーだと、自分で買うもの選べますしね。
感覚としては、「今日は半額!」と宣伝しながら、
半額なのは部屋代だけで、ワンドリンクでぼったくる
カラオケ、みたいな感じでしょうか。
あるいは、貸し靴代が高い「ゲーム代半額」ボーリングとか。
投稿: kitten | 2013-02-22 23:14
初めまして^^
1、調剤基本料
まあ、妥当でしょう。かかりつけ薬局推進の為には複数の処方箋を同時に持ち込んだら基本料は1枚分しかとれないことにすれば患者さん殺到すると思います。
2、服薬指導料
厚労省の見解として調剤時には必ず服薬指導することとなっており、指導料を加算しないといけないとなっています。サービスで服薬指導しておいて加算せずという運用が出来ないそうです。なんか矛盾してますね。指導料は廃止して調剤基本料に一本化するべきです。
3、内服調剤料
粉薬の計量とシート錠剤のピッキングが同額です。粉薬は混合するとさらに技術料が加算されます。門前薬局の中には無理矢理3剤になるような処方箋を書くよう圧力かけてるところもあると聞きます。3剤28日分だと2430円です。ボッタクリですね。1剤まで加算というのが妥当ではないでしょうか。
4、外用薬調剤料
チューブ剤をとってきて100円です。まあ妥当な範囲かな。ところが外用薬は計量混合加算がボッタクリなんです。1剤800円加算で合計900円です。1g練ろうが、1kg練ろうが技術料は同じ。悪徳薬局は3剤混合で出すようクリニックに圧力をかけているという噂もあります。
私が以前引っかかった悪徳皮膚科は内服薬が1日1回タイプのお薬でしかも食前食後で吸収が変わらないお薬なのに無理矢理3剤(朝食後、昼食後、寝る前)になってた上に粉薬で混合でした。外用薬も3種類の混合。
技術料だけで5千円超えですね。さらに処方箋は後発品名で書かれ、ジェネリック不可でした(笑)
門前薬局の最後の良心なのか軟膏容器代は無料でした。
投稿: KYK | 2013-02-25 19:44
>KYKさん
コメントありがとうございます。
1.基本料
同じ医療機関であれば、複数を一度に持ち込めば基本料は1回です。
(A病院の内科と、整形外科、とか。)
発行日が違っても基本料1回でOKなんですが、
処方箋の有効期間が発行日含めて4日以内なんで、
そこだけ注意が必要です。
2.服薬指導料
激しく同意です。まとめてもらった方がこっちもやりやすいんですけどね。
3.内服調剤料
複雑怪奇ですよね、これ。単独でみるとぼったくりにしか
見えないです。
逆に、「結構手間隙かかる割りに、点数は取れない」みたいなのも多いです。
4.外用薬調剤料
私の感覚は逆ですね。
チューブ取るだけで100円の方が高いです。
軟膏の混合って、かなーり手間かかってますからね。
量が少なすぎても、余計大変だったりします。
80点もらわないと割にあわないと感じます。
>3剤混合で出すように圧力・・・
薬局から医院に圧力かけることは、まずありえません。
医院の方が立場強いですからね。
皮膚科の門前薬局なら、医師と話し合いはするでしょう。
軟膏の混合、いつも同じような割合で出してくれれば、
予製(あらかじめ作っておく)できますから。
もっとも、予製を作ると計量混合加算は激減しますが、
これを正直に申告する薬局がどれくらいあるのか謎です。
実際、その先生がどういう先生かわかりませんが、
皮膚科医って、他の科よりも「薬マニア」が多いです。
細かな薬の使い分けする先生もいますし、
塗り薬に関しては、先発と後発で、特性が違うことも
結構あります。
正直、マニアな皮膚科医の処方は受ける方も
「ちょ、先生、凝り過ぎだって!」って思うことも。
まぁ、普通に悪徳皮膚科の可能性もありますけどね。w
軟膏容器代に関しては・・・どうでしょうね。
実費を請求してもいいことになってますが、実際に取るか
どうかは、薬局次第です。
周りの薬局に合わせることが多いかな?とも思います。
投稿: kitten | 2013-02-25 23:14
お返事ありがとうございました。
1については複数の医療機関の処方箋を同時に持ち込んだ場合の話です。現行では別々に加算ですね。かかりつけ薬局推進、大病院受診抑制のためにも1枚だけ算定できるよう望みます。
4についてですが、私に処方された軟膏はチューブから全量絞り出して容器に入れてヘラで軽く混ぜ合わせた後遠心式自動軟膏混合機に入れてチン?(どういう表現が適当なんでしょう?w)するだけでした。これで800円は高いなあと思います。一方でアンプル剤とワセリンを乳化剤を使って混ぜるような場合は800円でも割に合わないでしょうね。
投稿: KYK | 2013-03-01 20:07
>KYKさん
まとめて持ってきたら割安、ってのは、
個人的にも大賛成なんですけどね。
飲み合わせ確認するのも楽になりますし。
何がネックになっているか、というと、
診療報酬明細(レセプト)が、処方もとの
医療機関別に出さなければいけない、という現行制度です。
A,B,Cの3つの病院から一つの薬局で受け付けても、
薬局からは、レセプトを3枚に分けて請求する必要があるので、
基本料を「どの処方箋で」算定するか、みたいな話になり
ちょっと難しくなります。
それこそ、「剤」の仕組みと同じくらいの歴史があるため、
これも簡単にはひっくり返りそうにないです。
自動軟膏練り機があれば楽でしょうけど・・・
そんな高価な機械をもっている薬局はごく少数です。
(100万円もしないと思いますが、70万くらいかなぁ?)
大半の薬局は、手作業で混合して詰めてます。
機械もってる薬局も、加算取れないと
(機械代の)元が取れません。(苦笑)
投稿: kitten | 2013-03-04 22:09