京都府立医大が、ディオバン論文の不正を認めた。
ニュースより。
京都府立医大が、ディオバンの論文(KYOTO HEART Study)について、
データに不正があったことを認めた。Yahooニュース(毎日新聞)より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130711-00000091-mai-soci
以下、一部引用
.
降圧剤バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあるとした臨床試験疑惑で、
京都府立医大(吉川敏一学長)は11日、同大の研究チームによる臨床試験
について「医師が入力した患者データと、解析に使ったデータが一致せず、
バルサルタンに効果が出るよう解析データが操作されていた」として、
論文不正があったと発表した。
(中略)
府立医大は、患者約3000人分のデータのうち、患者のカルテ調査ができた
223人分を調べた。その結果、解析に使ったデータには、カルテに記載のない
脳卒中や狭心症などの症例があったり、カルテに記載のある患者の症例が
なかったりする例が計34件存在した。これらはいずれも同種の降圧剤に比べて
バルサルタンの効果を強調する方向で操作されていた。
(中略)
ノバルティスファーマの話 大学や患者に心配をかけて申し訳ない。ただし、
大学の報告だけでは、恣意(しい)的なデータ操作があったとは確認できない。
解析に使う患者データは、試験の第三者委員会の判定に従って変更されるのが
一般的で、まず委員会の記録を確認すべきだ。
.
引用終わり(強調は引用者)
えっと、ディオバン問題については、2回ほど記事を書いている。
ディオバン、論文に製薬会社が不適切に関与(2013.5.24)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-66bb.html
.
ディオバン問題その後・・・(2013.6.20)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5509.html
.
んー、ちょっとまとめてみる。
もともと、ディオバン関係の論文として、京都府立医大の論文が撤回されている。
詳しくは発表されていないけれども、何か間違いがあった、ということだった。
で、その時点では不正どうこう、という話ではなかったと思う。
まぁ、疑いはあっただろうけれども、京都府立医大は認めていなかったはずだ。
.
で、その研究に、ディオバン製造元であるノバルティス社の社員が、関わっていた。
それも、関わっていながら、立場を明記していなかった(隠蔽した?)ということで
ニュースになった。それが、私の書いた一回目の記事の頃。
ようは、論文におかしなところがある、と。
さらに、その論文に、モロに利害関係のあるノバルティス社の社員が関わっていた、と。
で、ノバルティス社の説明では、論文の不備にその社員がかかわっていたかどうかは
今のところ確認できていない、という話だった。
.
その流れで、今日の報道。
つまり、京都府立医大の論文には、不正(データの改ざん)が認められた、と大学が認めた。
・・・となると、当然次の問題は、
「その不正に、ノバルティス社の社員が関わっていたのかどうか?」の一点になる。
これは、さすがに時間かかるだろうな・・・。
また、ノバルティス社としては、京都府立医大の発表だけでは、
「恣意的なデータ操作があったと確認できない」んだとよ。
ようするに、まだ認めたくないらしい、ってことだな。
.
これはもちろん、京都府立医大だけの問題ではなくて、
他のディオバン関連の論文にも波及するだろう。
当初の予想以上に、大きなスキャンダルになりかねないな、これ。
論文の責任者である松原元教授は、「意図的なデータ操作はしていない」と言っていた。
どこまで本当かわからないけれども、トップの知らないところで、誰かが意図的な
データ操作をした可能性だってある・・・よねぇ。
それがあるなら、その「誰か」って誰さ?ってことになるよねぇ。w
個人的には、この報道を受けてノバルティス社がどういう反応を示すか、に興味がある。
あの一件以来、うちの薬局には一向に顔を出さないんだけどね・・・。
説明くらいしにきたらいいのに。
.
最後に、もう一度念のため。
ディオバンは、血圧の薬、としては特に問題はない。
勝手に中止するようなことがあってはならないので、念のため。
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コメント
京都新聞によると、大学から問題の社員への聞き取り調査をノバルティスに申し込んだのにノバルティス社は退職を理由に断ったようですね。
強気のノバルティス社が今後どう出るかの動向が非常に気になります。
他の4大学のスタディも同じように結果解析データの恣意的操作があるなら、わかりやすい話です。
まあ慈恵とかヤル気なさそうな気配ですけど、このままうやむやは許されないでしょう。
ノバルティス社のMRさんは6月に一回来られましたが悪びれたところもなく強気でしたね〜。
真実が知りたい!!
投稿: まる | 2013-07-12 10:41
問題の元社員が、まったくしゃべる気がないみたいです。
「元」社員だから、ノバルティスに命令権ないですし。
かといって、内情暴露できるか、っていうと
そういう訳にもいかないでしょうし・・・。
下手したら、「会社に損害を与えた」とかで、
ノバルティスから訴えられる可能性もありそうですしね。
この元社員から聞き取りなしで、どこまで真相にたどりつけるか。
おそらく、捏造やデータ改ざんまでは分かったとしても、
「元社員」個人の責任で、会社ぐるみでどうこう、という
ところまでは分からないでしょうね。
投稿: kitten | 2013-07-14 03:21
ディオバンに限らず、日本のスタディってほとんど製薬会社主体ですよね。
病院の医者は臨床で過労死寸前の忙しい中、教授に言われて仕方なく片手間にデータとっている感じだしレベル低いんです。
だいたい面倒くさい部分は全部製薬会社がお膳立てしてくれる。
一番面倒なのは何といっても統計。その専門家をノバルティスに紹介してもらったらダメですよね。
ノバルティスも大阪市大講師ならみんなを騙せるって思ったのでしょうか。
この統計を担当した社員さんがすべての責任をとらされるのでしょうか。
こんなの会社ぐるみに決まってると世間はみてますけどね。
投稿: まる | 2013-07-14 21:00
製薬会社の関係ない研究・・・。
かつて、タミフルと異常行動の関係を調べた大規模試験。
あれは確か中外製薬が外されましたねぇ。
他にも利害関係者っぽい研究者を外した結果、
「よくわかんなかった」という悲しい結論が出ました。(苦笑)
製薬会社の関係ない研究って、ほかに思いつきませんね。
企業としては、大金を投じて研究した結果、
「残念ながら普通の薬でした」という結論が出ると、
ちょっと厳しいものがありますよね。
実際には山ほどありそうですけど、そういうのって
宣伝には使われないから世の中に情報が出回らないですよね。
投稿: kitten | 2013-07-16 23:24