処方箋の有効期限に注意
仕事の話。
医師が発行した処方箋には、有効期限がある。
(正式には、「使用期間」という言葉の方が正しい。)
使用期間を過ぎてしまった処方箋は、事実上、ただの紙切れだ。
薬局に持ち込んだとしても、薬をもらうことはできない。
なので、必ず、使用期間内に薬局に来て欲しい。
.
厚生労働省のHPに、注意書きがあった。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/topics/100930_01.html
.
処方箋の有効期間については、処方箋にも書いてあるんだけど、
これが、ものすごーーーく小さい字で書いてある。w
(上記リンク参照のこと)
処方箋の使用期間は、特に記載のある場合を除き、
交付の日を含めて4日以内、である。
ポイント1つ目。「交付の日を含めて」という点。
例えば、今日。9/12の処方箋の有効期間は、4日後の16日まで、ではなくて、
15日まで、となっている。
交付(医師からもらった日)を含めて数えるので、そういうことになる。
つまり、12日、13日、14日、15日の4日間に限り有効、ということだ。
.
ポイント2つ目。この有効期間は、休日や祝日が含まれる。
「4営業日」ではなくて、純粋に4日、ということ。
具体的には、例えば明日。13日の金曜日に発行された処方箋は、
14日(土)、15日(日)、16日(祝)と、世間では3連休になるかも知れないが、
使用期間は、あくまで「16日まで」ということになる。
この「4日」というのは、
「4日経ったら、体調の変化があるかも知れないので、
必要な薬が変わっている可能性があるため」ってこと。
処方箋全体にかかる縛りなので、そういうことになる。
例えば、風邪をひいて風邪薬を処方してもらったような場合。
例えば5日前の処方箋だとすると、5日前と今で、症状変わっているでしょ?
なら、今の症状にあわせて薬を出しなおしてもらった方がいいんじゃないの?
まぁ、大雑把にそういう考え方で、有効期間が決められている。
だから、休日や祝日は関係ないわけ。
病院や自宅から処方箋のFAXを送ってくれる人もいるけれども、
あくまで処方箋原本を受け付けてもらう必要があるので、
FAX送ってるから期限切れても大丈夫、なんてことはない。
.
有効期間が切れてしまった処方箋で薬が欲しい場合、どうしたらいいか?
処方元の医療機関(病院や診療所)に戻って、再発行してもらうしかない。
医療機関によるけれども、再発行にはお金がかかると思って間違いないだろう。
(もし、タダでやってくれたら、ラッキーと思うべき。)
.
実は、数年前くらいなら、薬局で何とかなることも多かった。
薬局から、医療機関に使用期間の延長のお願いをして、
医療機関がOKを出せば、薬局側で使用期間を延長することも可能だった。
また、もっと手っ取り早い方法として、「使用期間内に来た事にして」
処理してしまう、という方法もあった。もちろん、違法だけど。
.
しかし、数年前から、このあたりの指導が非常に厳しくなってきた。
使用期間の切れた処方箋は、処方箋ではないので、
そもそも医師に問い合わせすること自体が違法である、という見解を
当局が明確に示して、薬局を厳しく指導するようになっている。
という訳で、使用期間切れの処方箋を調剤する行為は、明白に違法行為。
つまり、「期限切れ処方箋で何とかしてくれ」と薬局にお願いする行為は、
薬局に違法行為を要求している、ということになる。
.
実際、これがまだまだ多いのも現実。
「昔はやってくれたのに」とか言われるとこちらも辛いんだけど、
昔はなあなあでできたかも知れないが、今の時代ではもはや不可能になった。
仮にそれで通ったとしても、それは薬局のみならず、病院にも不法行為の
片棒を担がせることになっている。
しかも、その交渉、話し合いにも、それなりの時間と手間がかかる。
(病院の場合、事務方から医師にまで話を通す必要があるだろうし)
ぶっちゃけ、患者さんの事情に応じて、先生に聞く、くらいまでのところは
今でもやることがある。(違法だと認識しているけど)
ただ、それにしても態度ってもんがあるわな。
せめて、迷惑と手間をかけている、という気持ちをもってくれ。
それで病院に「再受診してください」と真っ当なことを言われて、
(むしろ、こっちとしてはそう言って欲しいんだが)
薬局に怒りをぶつけられてもこまる・・・。
.
特に注意が必要なのは、連休前の処方箋だ。
土、日、月の3連休の前の日、金曜日の処方箋。
これ、連休中に有効期間が切れることになる。
土曜日はともかく、日、祝はやっている薬局を探すだけで一苦労。
やっている薬局が見つけられなかったとしても、有効期限は容赦なく切れる。
で、火曜日に処方箋をもってこられるケースがままある。
(まぁ、火曜日ならまだマシなほうで、水曜日や木曜日に来ることもある。w)
.
連休前の金曜日の処方箋は、出来る限りその日中に
薬局に持っていくことが望ましい。
.
処方箋の期限切れが多い(そしてクレームになる)原因の一つには、この
「処方箋の有効期間」が、あまり周知されていない、ということがある。
だいたい、処方箋に書かれている有効期間の文字が小さすぎるんだよ。
どこの悪徳業者の契約書だよ、ってくらい。(汗)
薬局側の意見としては、処方箋の使用期間の話は、
病院で、処方箋を渡すときにちゃんと言って欲しい。
毎回、毎日伝えるのは面倒くさい?わかった、それならば、
連休前の金曜日だけでいいから、
有効期限について患者さんに伝えて。
と、心からお願いする。
.
さて、補足。
薬局に処方箋を持ち込んだけれども、在庫していなくて時間がかかる場合。
この場合は、「薬局に持ち込んだ」時点が期限内ならばOK、だ。
例えば、使用期限間近の処方箋を、日曜日や祝日に、
かろうじて開いていた薬局に持ち込んだとする。
ところが、そこの薬局が薬の在庫がない、と言ってきた。
こんな場合は、何を言われようが「取り寄せてください」の一点張りでいい。
何を言われようが、そもそも開いている薬局で、かつ在庫もあるところを
探すなんて、不可能に近いし。
薬局は、「在庫がないことを理由として」調剤拒否することはできない。
万が一、薬局が拒否してくるようなら、保健所に通報してもいいですか?
と脅してやればよい。w
.
あと、裏技として「あらかじめ使用期間を伸ばしてもらう」方法もある。
薬局からの問い合わせで、期限を延ばすことは不可能だけれども、
最初から医師にお願いして、「期限を延ばしてください」とすることは可能だ。
どうしても仕事の都合などで、期限切れの火曜日にしか薬局にいけない、
と言うのなら、最初から火曜日までの期限で処方してもらえばよい。
.
この「4日以内」ルールは、日曜、祝日どころか、年末年始も含む。
例えば、12月30日発行の処方箋は、1月2日までしか有効期間がない。
でも、薬局が29日~3日まで正月休みだったらどうする??
その前の処方の時に、正月明けまで薬がもつように処方してもらう、
ってのが、最もよい方法。
次善の策として、その日だけ、別の薬局でもらう、だけれども、
そもそもどこの薬局も開いていない、というひどい例もあるし、
そうでなくても、「特定の薬局でしか調剤してもらえない」という患者さんもいる。
その場合は、「有効期間を事前に延長してもらう」しかないだろうな。
(もっとも、薬が余っていること=すぐにもらわなくても大丈夫、であれば、だけど)
| 固定リンク
「('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事
- 2013年の記録&カテゴリ変更(2013.12.31)
- うがい薬「のみ」の処方が保険適応外?(2013.12.26)
- ジスロマック細粒の後発品(2013.12.17)
- 新しい吸入薬(2013.12.14)
- 薬が減ったのに薬代が上がる?(その2)(2013.12.03)
コメント
処方箋内の4日以内の注意書きって、なんであんなに小さく書いてあるんですかねぇ?
大事な部分なので、もっとアピールして欲しいんですけどね(汗)
普通に期限内に処方箋を持ってきた患者さんに対して、処方箋の期限についての話しをする機会ってほとんどないので、有効期間について知らない患者さんって結構多いですよね~。
有効期間について知る機会というと、期限切れの処方箋を実際に薬局に出した時って人が多い気がします。
そして、『そんなの知らね~よ。』と薬局で文句を言われるという悲しい現実(涙)
投稿: 薬剤師りく | 2013-09-13 02:06
有効期間の話を患者さんにするにしても、
「ここに書いてあります」とは言えませんねぇ。
そんなこと言ったら、怒られそうな気がして。
「そんな小さい字で書かれたらわからん!」って
絶対言われますし・・・。まさしくその通りですし。w
有効期間のとこに、マーカーでライン入れてくれてる
医院さんがありました。少しでも目立つように気を使って
くれるとこもあるんですね。
投稿: kitten | 2013-09-14 22:31