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薬が減ったのに薬代が上がる?(その2)

 (その2)とあるからには、(その1)もある訳で。
これが実は、かなり昔の記事になる。

「薬が減ったのに、薬代が上がる?」(2010.10.3)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-f354.html

 3年以上前の記事だ。

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 保険調剤の「マジック」で、出ている薬が減ったのに、値段が上がることがある。
3年前の記事は、その中でも割とよくあるパターンだ。

 一つの用法(例えば、朝夕食後)でおさまっていた薬が、
一つだけ用法が変わる(例えば、朝食後)と、「調剤料」の点数が上がるので、
薬の数量が減っていても、値段が上がることがある、という話だった。

 で、今回紹介するパターンはもっとレアケース。

1つだけ日数が変わってしまったために、値段が上がる」というケース。
具体例をあげる。

 処方実例

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タケプロンOD錠15mg 1錠
朝食後 28日分

バイアスピリン錠100mg 1錠
朝食後 21日分

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 以上。
これ、いつもは同じ日数(28日分)で出ていたんだけれども、
バイアスピリンだけ7錠余っていたので、日数を減らしてもらったということだった。
(手術前とかに服用しない時期があって余ったんだそうな。)

 ところが・・・計算すると、これ、
日数をそろえてどちらも28日分で出した方が安くなるのでびっくりだ。
どちらも28日分の前回よりも値段が上がる。
保険点数で21点上がるので、3割負担だと60円

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 一言で言うと「保険のマジック」で終わるんだけど、一応詳細を。
薬代は、「同じ用法、同じ日数」の薬の値段をまとめて、1円単位を五捨五超入する。
(五捨五超入は、四捨五入の親戚みたいなもん。)

 タケプロンOD15mgの薬価は95.2円。バイアスピリン錠100mgは、5.6円。
タケプロンとバイアスピリンが同じ日数の場合は、これがまとめられるから、
95.2+5.6=100.8円 → 100円(10点)となる。
 つまり、1日100円(10点)に、日数をかけた薬剤料が発生する。

 日数が変わると、バイアスピリンとタケプロンは別々に計算する。
タケプロンの方が、95.2円 → 100円(10点)
って、バイアスピリンなしでも値段変わってない!

 バイアスピリンの薬価が安すぎて、五捨五超入の範囲内に収まるため
バイアスピリンはあってもなくても値段が変わらない。

 ところが、それにバイアスピリンが21日分で入ると・・・
5.6円 → 10円(1点)が、別に計算されてしまう。
タケプロンに足せば消えてなくなるバイアスピリンの薬価だが、
単独なら10円(1点)が付く、というのがミソだった。

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 わかりにくいけどまとめてみよう。

 もともと、タケプロンOD15+バイアスピリンは、日数、用法がそろっていれば、
バイアスピリンの薬価は無視されて、タケプロン単体と同じ値段になる。

 でも、バイアスピリンの日数が違うと、バイアスピリンの薬価が計算されるので、
結果として高くなってしまう、という訳だ。
五捨五超入の組み合わせが変わることによる「マジック」

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 ま、たった60円程度だから気にする必要はないんだけど。
高くなるからおかしい、というよりは・・・
タケプロンにバイアスピリン足しても同じ値段(=バイアスピリンは無料)
っていう方がおかしいと思うんだが。

 さて、普通にやれば気づかなかった可能性が高いんだけれども、
実は、このケース、やらかしてしまった。

 レセコンの入力ミスでどちらも28日分で入力してしまい、
先に安い領収書を見せてしまっていた。
で、投薬中に「いや、薬減らしてもらったんやけど」という話がでて、
計算しなおしたところ・・・なぜか値段が上がった。(苦笑)

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 こんなん、揉めない方がおかしいわ。(泣)
誰が納得できるってのさ??こんなマジック。
結局、疑義照会して日数を戻してもらう、という荒業をやる羽目になった。

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 残っている薬があって、医師に処方量を調節してもらえれば、
普通は安くなるんだけど、ごく稀にこんなケースもあるってことで。
まぁ、めったにないだろうけど、運悪く当たってしまった場合、
「なぜ高くなったか?」を、少なくとも薬局側は理解しておく必要はあるだろう。
納得してもらえるかどうかは、全く別問題だが。

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 ・・・そういえば、タケプロンとバイアスピリンの合剤を作る
って話があった気がするなぁ。
配合錠って、うまく使えば医療費削減にもつながるんだけど、
このバイアスピリンに関して言えば、全く無意味だ。
元々が安すぎる(つーか、ある意味タダだ)から、メリットが少ない。
単なるジェネリック対策にしかならんだろうな。

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('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事

コメント

以前から疑問でした。
薬剤に、どうして銭単位の値段をつけているのか。
何か理由をご存知でしたら教えて下さい。
用法が同じ薬を併せると不思議!購入値段より売値が安くなってることがあります
あと、後発品の薬価も統一してほしいですね。

投稿: 薬価 | 2013-12-03 09:52

初めまして、いつも興味深く楽しく読んでます。

今回の例、もし自分だったらと考えました。
こんな計算だったらどうでしょう。
タケプロンOD錠・バイアスピリン 1×朝食後 21日分にして、
タケプロンOD錠 1×朝食後 7日分を21日分の続きにする。
そうすると、28日分の調剤料が算定でき一日当たりの薬剤料は変わらない。残念ながらお薬は減っても支払金額は同じですが。
「バイアスピリンは安いので・・・」と言い訳をする。

で、気になったのがバイアスピリン無しでタケプロンOD錠は保険適応OKかしら?病名が「逆流性食道炎」ならば問題なしですが、「低用量アスピリン~~」の場合は残薬ありのコメントで通るかしら。

それはそうと薬価の安いものとの組み合わせや、五捨五超入の加減で負担金が変化するケースあります。
説明しにくく泣きをみることもあります(;_;)。

投稿: みろく | 2013-12-03 22:25

医療て不思議ですよね!医療事務してるんですが、診察してもらうより、診察プラスリハビリした方が安いなんて!患者さんもえって感じです。薬の件も・・説明難しい。

投稿: | 2013-12-03 23:16

>薬価さん

 コメントありがとうございます。
銭単位・・・正確な理由は知りません。

 メーカー、卸などの流通から医療機関が購入する場合は、
「1箱、100錠入りで○○○○円」みたいな値段のつけ方なんで、
それを1錠あたりの薬価にすると「銭」単位になってしまう、
のかな、と推測します。
 国の決める薬価って、卸から医療機関への納入価に
連動してますからね。安売りする薬ほど安くなります。
後発品の値段がバラバラになるのも同じ理由です。

>みろくさん

 コメントありがとうございます。
んー、たぶん、その計算方法は正しくはない、でしょうね。
 組み合わせを任意に変えることができると、
逆に「高くなるように組み合わせる」ことができてしまうので。
 もっとも、その程度の差で問題になることはない、と思いますが。
都道府県によっては問題にするところがあるかも。
少なくとも、大阪では問題にならないと思います。

 普通、請求額が安くなる分には戻ってこないです。w


>ななしさん

 保険は本当に複雑怪奇です・・・。
専門家でも、かろうじて理解するのがやっとで、
理解はできても説明は無理ですね。

投稿: kitten | 2013-12-05 21:58

(゚∇゚ ;)ハッ!正しくない。
そうでした。m(_ _)m失礼致しました。

投稿: みろく | 2013-12-08 21:42

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