昨日、というか一昨日になるのかな。
診療報酬の改訂、答申速報が出た。
大枠では発表されていたんだけれども、細かい点数とか、数字とかは
今回でようやく決まったことになる。
後は、薬価がまだ決まっていないけど、これはもう少し後になる。
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調剤報酬の変わったところをざーっと見たところ、
これは、チェーン薬局つぶしだなぁ、と感じた。
日医工さんのページが見やすいので、リンクしておく。
http://www.nichiiko.co.jp/stu-ge/phplib/s_getdoc_mpi.php?member=&filepath=352-2toushinchouzai.pdf
元データは厚生労働省のページにあるが、
医科も一緒になってて、非常に見にくいので。
日医工さんはジェネリックメーカーだけど、いい仕事してると思う。
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まず、調剤基本料について。
消費税対応分で、1点上昇。基本40点から41点に。
ただ、大型門前薬局では、特例として25点。
この、特例の範囲を従来よりもやや広げている。
特例を逃れる方法として、「24時間開局」していれば、
41点が算定できるけれども・・・きついよなぁ・・・。
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基準調剤加算は、数字上はプラス改訂になった。
基準調剤加算1が、10点から12点。基準調剤加算2が、30点から36点。
ただし、条件が従来よりもかなり厳しくなっている。
基準調剤1は、「調剤基本料の特例に当たらないこと」が条件。
つまり、大型門前薬局は24時間開局しない限り取れないだろう。
基準調剤2では、在宅の実績と、在宅をやってる医療機関との連携が求められる。
まぁ、それはまだなんとかならなくはないが、もっときつい条件が、
基準調剤1では、
「当該薬局を含む近隣の薬局と連携して」
24時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び指導を行うのに
必要な体制が整備されていること。
基準調剤2では、さらに厳しく、
「当該薬局のみで」
24時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び指導を行うのに
必要な体制が整備されていること。
という条件がついた。
ようは、「24時間対応」しないと、基準調剤は取れないよってことだろう。
常にあけている必要はないと思うが、緊急時に電話一本で動ける体制、
ってことだろうな。
以前は、
「開局時間以外の時間において調剤を行うにつき必要な体制が
整備されていること。」
という条件だった。似たようなものに感じるかも知れないが、
以前の条件だと、チェーン薬局なんかでは、緊急連絡用の携帯電話を
各店で持ち回りして、「夜間対応」というところがあったんだけれども、
おそらく、これでは明確に「ダメ」ってことなんだろう。
「24時間調剤」と明確に書かれてしまうと・・・非常にきついな。
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後発品調剤体制加算も、点数がアップした・・・ように見える。
以前は、3段階で5点、15点、19点だったのが、
今回は2段階で18点、22点。
ただし、条件は事前予想よりもはるかに厳しいものが出てきた。
ややこしい話なので詳細は避けるが、
算定条件は、従来で19点取ってる薬局が、改訂で18点のとこになる。
それよりも後発品調剤を頑張ったところが22点取れる。
今まで5点、15点だったところは、0になってしまう。
特にきついのは15点取ってたとこだろうな。
15→0は痛いなんてもんじゃないぞ。(汗)
全ての患者さんに乗ってくる点数なんだから。
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あとは、薬歴管理指導料における、お薬手帳の特例。
ぶっちゃけ、お薬手帳を断ると、「7点」削られる。
3割負担で20円ってとこだろう。
これは、点数もさることながら、説明をどうしようか・・・悩むなぁ。
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もひとつおまけに、在宅関係の話。
もっとも、これは医療保険の話であって、介護は、すぐには関係しない。
介護報酬は来年改定だから、1年遅れてやってくるんだろう。
在宅の訪問薬剤管理指導料は、
同一建物居住者以外の場合 500点→650点
同一建物居住者の場合 350点→300点
「同一建物居住者」って何よ?ってことだけど、
わかりやすいのは、グループホームとか施設まとめて一つ全部回ってると、
「同一建物居住者」だから、これは点数が下げられた。
そうでない場合は、150点アップ。
と、これもプラス改訂に見えるかも知れないが、大幅なマイナスだ。
だって、人数的には「同一建物居住者」の方がはるかに多いだろうから。
どういうことかというと、在宅って、個別のお宅を一軒、一軒回るのって
ものすごく手間ヒマかかって、はっきり言うとペイしない。
それよりは、施設をまとめて回るほうが効率がよい。
ただ、今回はここに条件がもう一つ入った。
「質の高い在宅医療を提供していくため、
保険薬剤師1人につき1日に5回に限り算定する」
と明記された。
いや、真面目に在宅やれば、薬剤師1人で1日5人ってのは、
そんなもんだと思う。1回の訪問で結構時間かかるし、
終わってから医師やケアマネに報告書類も書かなきゃいけない。
1日で10人とか20人なんて、尋常じゃないんだけれども。w
ただ、これも企業で在宅やってるとこに顕著なんだけど、
施設まとめて在宅して、効率よく稼いでいる薬局はあると思う。
そういうとこから見ると、これは条件も厳しいし大幅な減点だろうな。
つーか、まともに指導もしないで薬届けるだけで、
がっつり算定しているような不届きな連中も多いのかも知れないな。
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全体として感じたのは、
「効率よく」点数を取って荒稼ぎしていたチェーン薬局を削って、
真面目に地域の医療に貢献して頑張っている薬局を評価しよう、
ということだと思う。
キーワードとなっている「24時間対応」だけれども・・・
これ、企業で対応するとなると、労働基準法なんかのしばりもあるし、
ただでさえ高い人件費が跳ね上がってしまうだろう。
その点、個人でやってるような小さな薬局であれば、
ようは、「自分が頑張ればOK」っていう状況な訳で、
労働基準法とか気にする必要はない。
大型門前の調剤基本料を削るのも、企業対策だろうし。
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とあるチェーン薬局が莫大な利益を上げていると批判されていたからなぁ。w
はっきりと狙い撃ちにしたんじゃないかという気がするぞ。

by 薬剤師ブログタイムズ
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