仕事の話。
今回の調剤報酬改訂、現場レベルで一番変わったのは、
お薬手帳の取り扱いについてだと思う。
あ、今回、薬局サイドからみた書き方になるので、
一般の患者さんがみたら、怒るかも知れない・・・。すみません。(汗)
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さて、お薬手帳はこう変わった。
3月までは、薬歴管理指導料に組み込まれていて、事実上外せなかった。
しかし、4月からは、お薬手帳を「不要」といえば、7点減点できる。
7点=70円。3割負担で20円と言ったところ。
たかだか1回あたり70円なんだが、受付回数が月2000回とかいく薬局なら、
これだけで14万円になる。バカにならん。
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で、今まではお薬手帳を持参しなかった場合は、シールのみを交付して、
後日、きちんと貼られているのを確認すること、というルールだったんだけれども、
この辺、有名無実化していた。
結局、シールだけ渡しておしまい、という薬局も多かったと思う。
お薬手帳は、薬局で薬剤師に見せて、併用薬等のチェックをするもの。
なので、シールだけ渡して、なんてのは最初から間違ってるんだけどね。
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で、今回の改訂で、「シールのみ渡した場合は7点減点」と明記された。
ようするに、シールを渡すことによる点数ではなくて、
「薬剤師が手帳を使って、併用薬等の確認をすること」による点数だ、と。
でも、今までの流れ上、手帳を持ってこない人も多い、と。
これだと、7点減点になってしまう、さぁどうしよう?
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こっから、薬局側の対策を羅列する。
1)お薬手帳をもってきてくれるよう、患者さんに訴える。
一番まっとうな、正攻法である。
もちろん、もってきてくれない場合は、しっかり7点減点する。
ただし、ここにも3種類存在する。
a)もってきてくれないと、点数が算定できないことを正直に言う薬局。
はい、一番正直で真っ当な薬局です。
b)そこは隠して、ルールが変わってこちらで貼ることになった、という薬局。
いや、ルールは昔から変わってないんだが。(苦笑)
後で値段が違うと、問題になりそうな気がするが・・・。
c)手帳を持ってきてくれないと、シールすら渡さない薬局。
これも一つの手段ではある。本当に必要な人なら、手帳もってくるだろう、と。
ただ、これがOKかどうかは微妙なところ。
「シールだけ渡しても算定できない」と明記されているってことは、
「シールだけ渡して算定しない」状況を想定している。
つまり、「算定しないからシール渡さない」ってのは、認められるのか?という問題。
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ちなみに、今の私の職場は、このaとbの間くらいの状態。
近隣の薬局も、だいたいがこの正攻法でがんばっている様子。
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2)手帳を忘れてきた患者さんに新たに手帳を発行して、7点減点しない。
これは、国も認めているところ。
そもそも、新患さんであれば手帳をもっていないことも十分考えられる。
その際に、新たに発行して記録すれば、きちんと算定できる。
で、これを拡大解釈すると、忘れてきた人にも新たに手帳を発行すればOK?
ただし、これはシールだけ、ではダメ。「手帳」である必要がある。
紙を二つに折って、「これは手帳です」みたいなのもダメとされた。
とはいえ、「手帳」であれば再発行して算定してもルール上はOKだ。
普通に考えて、手帳1冊の値段が70円もする訳はないので、
薬局側としては、薄い「手帳」にシール出して渡す方が儲かる。
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ルール的には、後日、両方もってきもらって手帳を1冊にまとめること、
というルールになっているが、そこはそれ、今までもそうだったけど
有名無実化している、という状況があるわけで。(苦笑)
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ようは、忘れてきたときでも算定する薬局。これもいくつか亜種がある。
a)国のルール通り、薄い手帳を発行する。
ルール通りというならば、次に来たときにちゃんとまとめる必要があるんだが・・・。
いざまとめる、となった時に、手帳に貼ってあったら激しく面倒くさいな。(苦笑)
b)国のルールを無視して、紙を二つ折りしただけの「ペラ手帳」を使う。
これ、はっきりダメだといわれているんだけどね。(苦笑)
ただ、後でまとめること考えるとこっちの方が楽なのは確か。
c)シールだけ渡して、算定する。
もっとひどいな、これ。w
どうせルール無視するんならどこまでも、と。
ただ、これもさらに3つに別れる。
2c-α)いつもは手帳を使っているけど、たまたま忘れた人だけ。
2c-β)自己負担金が変わらない人を狙い撃ちして算定する。
自己負担金が変わらなければ、患者さんからのクレームは来ないからな。
2c-γ)問答無用で全員からベタ取りする。
さすがにこれは指導対象になると思われる。(苦笑)
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これも、近隣のどこかがこの方針でいく、となると、
うちも、うちも、と、雪崩のように広がっていく可能性はある。
ただ、手帳本来の意味を考えると・・・無意味に近いわな。
あと、どうせどっかのテレビで「手帳断ると節約できる」みたいな
話が出ると思うので、そうなった時に困るかも。
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さて、もう一つの方策がある。
3)手帳に関する点数を一切算定しない。
経営的にはしんどくなるが、実は現場的にはこれが一番楽。w
今までと同じように手帳のシールのみを渡し続けるだけ。
指導は食らわないように、ちゃんと7点減点すれば問題ないよ。
ただ、これを選ぶような経営者はいないと思う。w
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あとは、電子お薬手帳の問題がある。
これ、今のところ、国から何の通知もないんだが・・・。
大阪のe-お薬手帳は、最初から「紙のお薬手帳と併用する」という
ことになっているので、これは電子手帳だけでは算定できないと思われる。
ってか、これがあるから「手帳シール渡さない」ってのはおかしいと思う。
電子お薬手帳のみ使うような人相手に、電子データ渡さないってのは
さすがにないんじゃないか、と思う・・・。
by 薬剤師ブログタイムズ
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