(般)バルプロ酸Na徐放錠200mg
一般名処方にするとわかりにくい処方ってのがいろいろある。
その中でも、一番厳しいのはバルプロ酸だと思う。
正直、この薬は一般名処方を禁止にして欲しい。
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バルプロ酸Na徐放錠。
基本的には、てんかんの患者さんに出る薬だ。
(他の症状でも出ることあるけど)
なにがややこしいか、というと、
これ、先発品が2種類ある。「デパケンR」と「セレニカR」
どちらも、一般名表記にすると、「バルプロ酸Na徐放錠」になるんだけど、
デパケンとセレニカは、使い分けがある。
同じ「徐放」なんだけど、デパケンの方が長時間作用で、1日1回が基本。体内での動きが微妙に異なる。
セレニカだと、1日2回が多いかな。
(追記:これ、間違えて逆に書いてしまいました。削除しておきます。)
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そんな状況で、「バルプロ酸Na徐放錠」とだけ書かれても、
デパケンかセレニカか、判断が難しい・・・ってか聞かないと無理じゃね??
医師がデパケン出すつもりなのに、薬局でセレニカを出すとまずいよね。
実質、「違う薬」なんだから。
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さらに問題なのは、この辺の薬は、有効血中濃度を保つのが難しい、
いわゆる「ハイリスク」薬。効き過ぎても困るけど、効かないともっと困る。
これで間違えて何か事故でもおこったら、明らかな医療過誤だろう。
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同じように困る薬は、「テオフィリン徐放錠」
これも、先発でいうと、テオドールとユニフィル、2種類存在する。
「徐放」の仕方が異なるので、使い方も異なる。
テオドールは1日2回。ユニフィルは1日1回が基本。
これを「テオフィリン徐放錠」とだけ書かれても分からん・・・。
テオフィリンも、バルプロ酸と同じくハイリスク薬だ。
これも、間違え方によっては問題になりかねないな。
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さらに、後発品に変更したりすると訳わかんなくなる。
デパケンの後発品か、セレニカの後発品かを区別しておかないと、
これも、逆を出してしまうと非常にまずい。
・・・ハイリスク薬の徐放製剤は、一般名禁止!と強く言いたい。
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この辺を服用している患者さんには、必ずお薬手帳を持って欲しい。
手帳があれば、まだ判断しやすい。
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こないだ、近隣の医師にお願いしてバルプロ酸を出してもらった
患者さんがいた。(正直、そんなもんお願いするな、と思うが)
すると「バルプロ酸Na錠」で処方せんが切られてきた。
え、徐放錠じゃないんか・・・。
しかも、よりによってお薬手帳ナシ。
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まず、本当に徐放錠でないのか、が怪しい。
最近は、徐放錠の処方が一般的で、普通錠なんかめったに見ないし。
さらに、徐放錠だったとして、デパケンかセレニカか・・・?
これをお薬手帳ナシで投薬ってのは怖すぎるわ。
患者さんは、「デパケンのジェネリック」を希望したらしい。
医師は「Rがついてたかどうか?」と聞いたんだけど、
患者さんの記憶では「ついてなかったと思う」とのこと。
で、「バルプロ酸Na錠」での処方になった。
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・・・そのまま出してやってもよかったけど、
万が一、効き方が違う薬だと問題だと思ったので、
大元の病院(元々、デパケンのジェネリックを出してた病院)に確認とってもらった。
その結果・・・
「バルプロ酸Na徐放B錠」だった。
うん、確かにRはついていないね。(苦笑)
いや、めっちゃ「徐放」って書いてるやん。(泣)
医師は、徐放錠なら後発品でもRって書いてるだろう、と思ったんだろう。
ただ、バルプロ酸の場合は、Rって書かれても、
デパケンの後発か、セレニカの後発かわかんない。
だからこの会社は、あえてRではなく「徐放B」って名前にしたんだろうけど、
それがかえって混乱を招いた、と。
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この辺の薬は間違えたときのリスクが高すぎるので、
勘弁して欲しいなぁ・・・。
実際、(一般名処方になる前に)テオフィリンでやらかした経験あるし。
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コメント
添付文書上ではデパケンRは1日1~2回、セレニカRは1日1回ですよ。(デパケンとデパケン細粒は1日2~3回)
セレニカRを1日2回で出してると、県によるとは思いますが個別指導で引っかかることもありますのでご注意下さい。
投稿: はじめ | 2014-10-08 10:11
>はじめさん
ご指摘ありがとうございます。
記事を修正しておきました。
投稿: kitten | 2014-10-09 00:27