レボフロキサシンのジェネリック
仕事の話。
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昨日、新たにいくつかのジェネリック医薬品が発売になった。
この冬の目玉は、カンデサルタン(先発品:ブロプレス)と、
レボフロキサシン(先発品:クラビット)
といっても、カンデサルタンは、一足早くあすか製薬が
オーソライズドジェネリックで出しているから、
完全な新成分としてはレボフロキサシンだけ、かも。
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さて、レボフロキサシンなんだけど。
単価が高いから、医療費削減には貢献できるんだけど、
薬局経営的には、あまり影響しなかったりする。
1日量が少ないし、原則としてずっと服用するような薬じゃないので、
後発品調剤率(全体の中の後発品調剤割合)に対する寄与が大きくないので。
その点では、カンデサルタンの方が影響が大きい。
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レボフロキサシンの後発品は20社以上から出てくる。
(実数は知らんけど)
さて、その中から剤形の異なるものについて。
先発品、クラビットの錠剤は500mgという成分量の多さもあって、
錠剤が非常に大きくて服用しづらい。
なので、服用しやすいジェネリックがあれば、いいなぁ、と思っていた。
特に気になったのは、唯一、口腔内崩壊錠(口の中で溶ける)を出してきた
東和薬品のもの。CMでも、「RACTAB技術」とか言ってるし。
これが服用しやすければ、これ採用でいいんじゃないか、と。
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実際に、メーカーさんにお願いしてサンプルを取り寄せてみた。
・・・でかい。
こんなでかい錠剤みたことないわ。
添付文書によると、直径は実に16mm。
トローチみたいだ、と思った。
調べてみると、SPトローチの大きさが18mmだから、
トローチよりも少し小さい程度。トローチ並の大きさ。
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で、問題は味だ。
レボフロキサシンに限らず、ニューキノロン系の薬は、非常に苦い。
口腔内崩壊錠で、あの苦味をカバーできるのか?と。
味見してみた結果・・・うん、無理でした。(苦笑)
最初のうちは味がマスクされているんだけれども、
すぐに原薬の苦味が出てくる。
ようはそれまでに早く飲み込めばいいんだけれど、
早く飲み込むには錠剤がでかすぎる。w
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さすがの東和さんも、500mgの錠剤でOD錠は無理があったようだ。
いや、これは東和製薬の技術が劣っている訳ではないと思う。
たぶん、どこの会社がやっても結果は同じだろうよ。
東和さんのRACTAB技術は、日本でも有数のものだと思うが、
その東和さんをもってしても、無理なもんは無理、ってことだろう。
他社がOD錠を出してこなかった理由がわかったわ。w
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ちなみに、東和さんはレボフロキサシンの液剤も出している。
高田製薬あたりがやるかな、と思ったけど、今回は東和のみ挑戦。
こっちは、量がやや多め。液剤にすると10ml。
これも、どこまで味をマスクできるのか、と試してみたが・・・
やっぱり無理でした。
いや、どうにかして味を誤魔化そうという苦労のあとは見えるけれども、
レボフロキサシンの苦味をたった10mlでマスクするのは困難だ。
結果は、OD錠と同じ。苦い後味が残ってしまう。
まぁ、まだOD錠よりも飲みやすいと思うが。
もちろん、人によっては飲みやすいという人もいるかも知れない。
東和のOD錠や液剤の採用を考えている薬剤師さんがいるのなら、
実際に味見してみることを強くオススメする。
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レボフロキサシンは散剤で出してきたメーカーもあるんだが、
こっちは味を見ていない。でも、10%なんだよね。
先発もそうなんだけど、10%の散剤だと1回服用量が5gも必要なので、
ちょっと使いづらい。
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嚥下困難の患者さんに使うには・・・
持田製薬さんの粒状カプセルが一番使いやすいように思う。
持田さんといえばEPA製剤のエパデール。
レボフロキサシンの粒状カプセルも、まんまエパデールのようなもんだ。w
サンプルもらったけど、こっちは原薬の入っていないサンプルだったので、
実際に味がどうかはわからないけれども・・・。
粒状カプセルなら、苦味をカバーすることはさほど難しくないと思う。
少なくとも、OD錠や液剤よりはましだろう。
持田さんは、エパデールでの実績があるし。
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さて、実はレボフロキサシンもオーソライズドジェネリックが出ている。
先発品(クラビット)の製造元、第一三共の系列会社である、
第一三共エスファさんが、レボフロキサシンのジェネリックを出してきた。
もっとも、カンデサルタンの時と違って、
他者に先駆けて発売、とはいかなかったようだけど。
それでも、「先発品と全く同じ品質」が保証されているのは大きいと思う。
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最後に。
東和薬品さん。難しいことにチャレンジしたことは高く評価します。
今回は、なかなか満足のいく製品ができなかったかも知れませんが、
今後も、チャレンジは続けていただきたく思います。
患者さんは、のみやすくて安い後発品を待っていますので。
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