人命を第一に
自分の気持ちを整理するための雑文。
あとで振り返って、「あの頃はこんなことを考えてたんだ」と思うために、
あえて、いま考えていることを残しておく。
いわゆるイスラム国による、邦人殺害予告から一週間。
事件はまだ解決していない。いや、もっと複雑になっている。
私はニュース自体も見たくない、と書いたが、
ずっと、ずっと気にしている。
正直に書くと、私は、最初から人質二人の命は諦めていた。
イスラム国は、日本が交渉できる相手ではない。
2億ドルの身代金なんてありえないし、日本相手にヨルダンにいる
死刑囚の解放を求められても困る。
ところが、ヨルダン政府は自国のパイロットの身柄と引き換えに、
死刑囚の解放を認めた。
現時点では何も進んでいないし、話もかみ合っていないが、
後藤さんが解放される可能性が(わずかだが)でてきた。
.
理性ではもちろん分かっている。
テロリストと交渉すべきではない。
今後、日本人が新たなテロの標的にされかねない。
人命を第一に考えるといっても、人質の命だけが無条件に重い訳ではない。
極端な話を考えるとわかりやすい。1億ドルの身代金がそうだ。
身代金をテロリストに払うよりも、そのお金を他の事に使った方が、
はるかに多くの人の命を救うことができるだろう。
.
日本では、「自己責任」論がある。
私は基本的には、キライだ。
今回の件、悪いのは人質ではないし、もちろん安倍首相でもない。
悪いのはテロリストである。そこは間違えてはいけない。
後藤さんは、自ら覚悟してシリアに入っている。
多くの犠牲を払ってまで、救うべきか?
日本政府は、邦人の救出に全力を果たす義務がある。
でも、全力を果たしてどうしようもなければ、それはもうしょうがない。
最初から手を抜くことはあってはならない。
もちろん、救出されるほうも「いざとなれば国が助けてくれる」なんてのは
あってはならないと思う。
.
捕虜の交換、といえば聞こえはいいが、
死刑囚は捕虜ではない。ただの犯罪者だ。
それを言うなら、ヨルダンのパイロットは明らかに捕虜であるが、
人質は「捕虜」ではないだろう。ただの犯罪被害者だ。
そのあたりは、しっかり分ける必要があるんじゃないか。
.
それでも。
それでも。
私は、後藤さんが無事に解放されることを、心から祈っている。
日本が、ヨルダンが、どれほどの譲歩をしようが構わない。
われながら、理性的ではないと思う。感情に流されている。
それでも、これ以上、人が殺されるところは見たくない。
それこそ、テロリストの思うツボなんだろう。
これも、平和ボケなんだろう。
.
もう一つ。
おそらく、殺害されたことが確定的である湯川さん。
彼がなにをしようとしたのかは分からない。
報道が、生存している可能性の高い後藤さんに絞られるのは仕方ないが。
湯川さんがすでに殺害されていることを決して忘れてはならない。
私達は、イスラム国を決して許してはならない。
仮に、無条件で後藤さんが解放されることがあったとしても、
イスラム国は決して許すべきではない。すでに、人命は失われている。
私達は、殺された湯川さんを忘れてはならない。
.
.
とまぁ、われながら混乱していることがよくわかる、
支離滅裂な文章だ。(苦笑)
後藤さんは、何が何でも生きて帰ってきて欲しい。
そのためにどんな裏交渉が行われようが、構わない。
日本政府を信じるしかない。
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コメント
平和ボケの意見だと思いました。
これではテロリストの思うつぼではないですか。
何の為の渡航禁止なのでしょう。
ジャーナリストでも行き過ぎた行動です。
テロリストに莫大な金銭を与えるほど紛争のレポートに価値があるのですか?
家族も変です。
渡航禁止の国(通行禁止や立ち入り禁止の場所も含めて)自分の意志で行き事件や事故に巻き込まれたら、会見での言葉は「助けて」ではなくて「申し訳ありません」だと思います。私なら真っ先にそう思います。「助けてくれ」と要求する感覚にすごく違和感を覚えます。
私が変わってるのでしょうか。
最近の日本人に違和感を感じる事だらけです。
投稿: 児玉よしお | 2015-01-31 12:34
>児玉よしおさん
コメントありがとうございます。
基本的にはおっしゃるとおりです。(苦笑)
でも、感情はまた別なんですね。これはもう仕方ないです。
家族についてですが、あれが「普通」ですよ。
自分の家族が人質にとられれば、死のもの狂いで、何があっても
助けて欲しいと思うのが普通です。
みんながみんな、聖人君子のように振舞える訳はないです。
私でも、みっともなく懇願するでしょう。
おそらく、後藤さんのお母様の会見を仰られているのだと
思いますが、冒頭できちんとお詫びしていますよ。
報道ではカットされているところも多く、「助けて欲しい」という
メッセージが強すぎるので誤解されているようですが。
投稿: kitten | 2015-01-31 15:32
そうです。新聞とニュースで見たのですが、全文を伝えずに「助けて」の部分が強調されてました。
報道も編集次第で事実が正しく伝わりませんね。
しかし私ならいくら可愛い身内があの状況でも公にむかって助けてなんて厚かましくて要求できません。
心の中で無事を祈るのは当たり前ですが。
身内の身勝手な行動を考えたら申し訳なくて恥ずかしくて公の場には出ないと思います。
私が変わっているのですかね。
それから。湯川はるなさんのブログを興味深く閲覧していたのですが、一体誰が彼にあれほどの資金を援助していたのか不思議に思いました。
一読おすすめします。
投稿: 児玉よしお | 2015-01-31 19:18
残念な結果になってしまいました。
想定される中での最悪の結果だと思いますが、
そうなる可能性が最も高かったので、仕方ないのかも知れません。
「厚かましい」とか、「恥ずかしい」というのは、
人の命よりも重いものですか?
少なくとも、親にとっての子どもの命は、
そんなに軽いものではないです。
投稿: kitten | 2015-02-02 01:21
もちろん親なら誰でも子供を助けたいと思いますし願います。当たり前です。
でも公の場で「助けて」と発信するのは全く違うと思います。
『命の重さ』と言うなら、それを一番軽く考えているのは渡航禁止場所に自分の意志で行く人です。
一種のセルフネグレクトです。それによって親が兄弟が妻が娘が日本中の人が世界中の人が殺害シーンを見せられてどんなに悲しく悔しい気持ちになるか考えたら一番罪深いと思います。だから他人の立場なら「助けて下さい」ですが、身内のコメントは「申し訳ありません」しかないと考えます。
投稿: 児玉よしお | 2015-02-02 10:15
ですから、「申し訳ありません」と言われてますよ。
「助けて」とすら言ってはいけないとお考えなら、
公を重く見すぎていますね。
親ってのは、それだけ矛盾を抱えた存在であるとも言えますね。
わが子は特別で、他人とは別。理屈は関係ないんです。
この話はこれで終わりにします。
もう結果が出てしまっていますし、単に好き嫌いの話ですので
結論が出るわけもありません。
投稿: kitten | 2015-02-03 23:41