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薬剤師の適正人数は

 さて、少し仕事の話。

 薬歴未記載問題を起こした会社だけど、
とある新聞には「薬剤師の数は足りている」と強調していた、とされている。

 でも、実際には店舗を閉めるわけで、それって「足りてない」ってことだよね。

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 おそらく、この辺は報道側の問題だと思う。
実際にどういうやり取りがあったのかはわかんないんだけどね。

最初の朝日新聞の記事には、
「この会社は処方せん40枚あたりで薬剤師一人というルールが
守られていなかった疑いもある。」
みたいな記載があった。実際、一日でそれ以上投薬していた、という
薬剤師の声も載っていた。

 処方せん40枚あたり薬剤師1人、というルールをこの会社は破っていたのか?
おそらく、会見での質問はそういうものが出たんじゃないのかな?

 それに対する答えとして、
「処方せん40枚に対して薬剤師一人、というルールには違反していない」
と会社はこたえた、それを、「薬剤師は足りている」と報道したのではないか?
と思う。まぁ、全て私の憶測だが。

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 実は、この「処方せん40枚に対して薬剤師一人」というルール、
守るのはそんなに難しい話じゃない。
これは、「平均」でいいからね。

 具体的には、1年間の処方せん枚数を、その期間の営業日数で割る。
例えばそれが1日あたり100枚、だとすれば、薬剤師は3人いればよい。
そういうルールなんだけど。。

 1日あたり100枚って言っても、200枚の日もあれば、50枚の日もある。
200枚の日を3人で回せば、1人あたり66枚だわな。
例えば、土曜日とか木曜日とか、半日しか営業していない日も「1日」で
カウントされるからね。

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 あともう一つ、こっちの方が大きいんだけど、薬剤師の人数は、
別に常勤薬剤師に限らない。非常勤でも構わない。
また、「常に」3人いなきゃいけないって話でもない。
ようするに、登録上その薬局に3人いればいいのさ。

 さて、問題となった企業は、他店への応援も多かったって話がある。
複数の店舗に勤務する薬剤師は、両方の店舗で「薬剤師」の数にカウントできる。
管理薬剤師はかけもちできないけど、他の薬剤師は可能。

 ぶっちゃけ、100枚の店が2つあったとして、薬剤師が4人いれば
「法的に問題ない」状態を作ることは可能だ。
それぞれ、管理薬剤師一人に、応援薬剤師を二人(これは重複可能)登録
しておけばいいんだから。

 だから、この規模の企業で、法律違反のレベルで薬剤師が不足することは
考えられないだろう。

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 じゃぁ、実際問題として薬剤師一人あたり、1日何枚受け付けられるか、だけど。
これはもう、薬局によって全然違う。
これをルールで縛ろうってのがそもそも間違い・・・だと思う。
まぁ、事実上ザルな規制でも問題はない、とも言えるかな。

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 では、実際問題として、薬剤師一人で処方せん何枚くらい?
こんなもん、薬局によって全然違う。

 1枚を5分で処理できる処方せんもあれば、30分以上かかるものもある。
「一人で40枚でしょ」と言われても、30分クラスを40枚なんて絶対無理。
それだけで20時間かかってしまうじゃないか。(苦笑)

 また、薬局の設備によっても、調剤にかかる時間は変わる。
錠剤自動分包機があるか、とか。散剤の分包機でも、1回で何包作れるか。

60日x分3の粉薬を42包手撒きタイプの分包機でやると10分以上はかかるが、
円盤型の90包までいける分包機なら5分かからない、とか。

あとは、軟膏の混合処方が来たときに、自動混合機があるかないかで、
これまた時間は倍以上変わってくる。

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 しかも、当然、薬剤師にだって休みをやらなくちゃいけない訳でね。。
1日平均100枚の店を回すには、薬剤師は常勤3人+非常勤(パート)2人。
最低でもこれくらいはいると思う。法的には常勤1人非常勤2人で回せるけど。

 ようは、法律で規制されている「薬剤師の数」と、
現場で必要な「薬剤師の数」には、大きな開きがあるってことさ。

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 あとは、患者さんの待ち時間の問題になる。
1時間以上待たせても平気ってんなら、それなりの人数でも大丈夫だけど。。
薬剤師の数を増やせば増やすほど、待ち時間は短くなる。
また、患者さん一人あたりにかけられる時間も長くなるので、
服薬指導も丁寧にできる。もちろん、薬歴もちゃんと書ける。(苦笑)

 という訳で、薬局における薬剤師の適正人数は、
各薬局ごとに異なる。また、それぞれの薬局(あるいは会社)の
考え方も、かなり違うと思う。

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 薬歴未記入が発覚した企業は、法的に問題ない薬剤師の数をおいていても、
現場レが満足するだけの薬剤師の数はおけなかったんだろう、
と推測できる。

 まぁ、後は個々の薬局の状況だとか、それこそ個々の薬剤師の能力、
みたいな話にもなるから難しいんだけどね。(苦笑)
薬剤師の能力差は、そりゃ存在するさ。w
一人で三人分くらい働く薬剤師もいれば、その逆の薬剤師もいるってこと。
そりゃ、どんな職場でもそうじゃないかな?

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コメント

はじめまして。いつも楽しくブログ読ませていただいております。
いつも大変勉強になるお話をしていただいているので、よく参考にさせていただいてます^^

薬剤師の適正人数、本当におっしゃる通りですよね。
処方箋にかかる時間は処方箋の内容で随分変わってきますし、設備も、それこそ薬剤師の能力も・・・(苦笑)

私は毎日違う店舗を回るヘルプ薬剤師として会社に所属していますが、やはり各店舗によっても客層などの差も激しいですし。

とある店舗には薬剤師は常駐が3人、パートが1人いる状態だけど、能力の差が激しすぎて仕事がし辛い状態だったりします。
気難しい患者さんや、在庫してない飛び込みの薬、疑義をしなければいけないものなど、判断できるのは管薬だけ。
でも処方箋は毎日150枚は超える。
これは・・・・と頭を抱えます。
能力差をできるだけ埋めるためには、そういった会社員としての責任能力やら判断力やら何やらを育てるための措置も必要なのかな、と痛感しています。

もちろん、人員確保できない会社にも問題はあるのですが・・・;;

投稿: さっくん | 2015-02-21 15:17

コメントありがとうございます。

頭数はもちろん必要ですけど、できる人間を育てることも
大事なんですよ。でも、忙しいから育成まで手が回らない、
となると、悪循環が待ってます。

 能力差が激しいと、色々大変です。
ただ、若手はともかく、年配の方はもはや成長を見込めなかったり
しますしね・・・。それでいて高給取りだったりして。(苦笑)


投稿: kitten | 2015-02-23 23:25

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