機能性表示食品の今後
短期集中連載となった機能性表示食品について。
今日で、一区切り・・・できるのか?(苦笑)
おそらく、この問題は今後も追いかけていくことになると思うので、
カテゴリを一つ作りました。(「トクホと機能性表示食品」)
過去のトクホ記事と、今年以降の機能性表示食品についての話題を
一つのカテゴリでまとめてあります。
といっても、今後、トクホが出てくる気がしないんだけど。
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さて、前の記事までの流れを再確認。
国が内容をチェックしていない機能性表示食品。
薬剤師が、それをチェック、評価してみたらどうなるか。
それを、実際にやってみた様子と、問題点を前の記事まででまとめた。
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いい加減な根拠で機能性表示を申請してくる企業をどうするか。
まず、この問題の一番の急先鋒であろう、FOOCOMの松永さんの記事を
リンクしておく。
「FOOCOMが6月19日、消費者庁に機能性表示食品について申し入れ」
http://www.foocom.net/column/editor/12869/
安全性や、機能性に問題のある商品を13製品、名指しであげている。
もっとも、多いのは安全性について。理由はほぼ同じで、
「食経験」が足りていない(と思われる)のに
安全性評価を実施していないパターンだ。
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私は、今回の評価で安全性に関しては目をつぶっている。
医薬品で考えると、効果の高いものほど副作用が多いのが普通。
それほどの効果(機能性)を含むものが少ない以上、
安全性はまぁ、いいんじゃね?という感覚だから。(苦笑)
でも、ガイドラインに違反しているっぽいので、
やっぱりちゃんとした方がいいのかな。
資料を一通り、ざーーっと見たけれども、うん、これは大変。
ガイドラインのレベルを満たしていない、のかも知れないけど、
ガイドラインって、絶対に守らなきゃならんものなのかな……。
消費者庁がこれを受けてどう動くか、あるいは動かないか。
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ここに上げられている13製品以外にも、
機能性でのシステマティックレビューに問題がある例がある、と。
やっぱりね。
システマティックレビューを恣意的にやられると、
専門家でないと太刀打ちできない。
どうすればいいんだろう。
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まず、前提としての問題なんだけど、
おそらく、機能性表示食品は、これから加速度的に増えていくだろう。
現時点でFOOCOMさんが全部詳細に調べることができるのは、
まだ「たったの」36製品しかないからだ。
これが、例えば月に数十件(あるいはそれ以上)のペースで増えていけば?
チェックしきれる訳がないだろう、それは明らかだ。
また、チェックしきれる訳がないのは、国(消費者庁)も同じことじゃないか。
何人で仕事しているのかは知らないけれども。制度として、
「事業者の責任で」と明記している以上、形式的な書類チェックしかしないはず。
ガイドラインを守るも守らないも、事業者の責任じゃないのか?
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判断するのは、消費者。でも、消費者は判断が難しい。
なら、専門家がその助けをしなければ。
薬剤師が評価すると、少し厳しく評価してしまう、という問題。
あとは、客観性をどうやって担保するか。
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私が、「こうなれば理想的」と思う構想を書いてみよう。
ようは、「機能性評価食品wiki」のような、ネット上の辞典があればよい。
今だって、知らないことはとりあえずwikipediaで見る人は多いだろう。
あれの、機能性評価食品版を作れないだろうか。
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一人で評価すると客観性が担保できないけれども、
複数で評価すれば、ある程度の客観性は担保できるだろう。
当然、色々な立場の人が評価してくれれば、なお理想的。
さすがに、ド素人はまずいかも知れないけれども、
理系(生物系)の学生くらいなら、普通に評価できるだろうし、
専門家や、メーカーの人の評価も見てみたいし。
その際、客観的評価のためのガイドラインを用意する必要がある。
例えば、「被験者20名未満のRCTは低めに評価する」とか。
「内臓脂肪面積の変化量は、この数値から高めに評価する」とか。
もちろん、個々の製品についての評価だけれども、
成分ごとにまとめると、もっと楽に評価できる。
たぶん、「難消化性デキストリン配合」みたいな商品は、
これからも山のように出てくるんじゃないかと予想されるし。
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まぁ、一番の問題は評価してくれる人がどれくらいいるか、だけれども。
大勢が評価するシステムだとどうやったって、お金は発生しないだろうし。
でも、お金にならなくても、色々書き込む人って、結構いないかな?
情報が集積してくれば、恣意的なシステマティックレビューの不正も、
割と簡単にわかるようになるんじゃないかと思う。
あとは、どうやってそんなシステムを作るか、だね。(苦笑)
ネット関係には詳しくないからなぁ。
本気でやればできるかも知れないが、私は私の仕事があるんだよ。w
レビューするだけならまだしも、システム構築はさすがにハードルが高い。
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私はこの「機能性表示食品」の制度は、割と前向きにとらえている。
今までの「いわゆる健康食品」というくくりよりは、はるかにマシだろう。
「いわゆる健康食品」は、本当に玉虫色で、何でもありだったから。
この制度がドンドン進んでいけば、
「科学的根拠の乏しい健康食品」があぶり出せると思う。
科学的根拠のある製品がどんどん機能性表示食品になっていけば、
「機能性表示食品にすらならない」=「科学的根拠に乏しい」
ということがわかってくるだろう。
まぁ、そのためには、科学的根拠の全くないような商品が
機能性表示食品になっているとマズいよね。
そう考えると、合格点は低めで構わない。
少々怪しいくらいなら目をつぶっても構わない。
でも、「これはダメでしょ」というものは、全力で叩くべきだ。
(この基準が人によって違うかも知れないけど)
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まだ何か、書き忘れているような気がするけれども、(苦笑)
とりあえず、短期集中連載はこれで終わり。
あとは、週一回くらいのペースで適当に書いていく予定、
にしておこう。カテゴリも作ったことだし。w
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