イオン……恐ろしい子!
休み明け一発目は、機能性表示食品の紹介。
の予定だったが、土曜日に一つ、どうでもいい記事をあげてしまった。w
予定なんて、いつでも未定ってことさね。
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今回は、軽い話。
成分は、もはや常連と言ってもよい「難デキ」こと、
「難消化性デキストリン」である。
「難デキ」って略すのどうなんだろうね?
個人的にちょっとツボだったから押していきたい。
実は、キリンビバレッジさんが使ってる略語である。
(どうでもいいことだけどw)
キリンさんは、現時点で機能性表示食品を3つ申請しているが、
すべて、この「難デキ」配合の商品になっている。
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ただ、同じ難デキなんだけど、表示が微妙に異なる。
以前に紹介した「食事の生茶」はすでにテレビCMも入ってるが、
「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかに」
「おなかの調子を整える」の3つの機能をうたっている。
でも、その後に申請のあった難デキ配合の2製品。
「キリンメッツプラス スパークリングウォーター」と
「キリンメッツプラス レモンスカッシュ」の機能性表示は、
「脂肪の吸収を抑える」しか入っていない。
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なんでだろうねぇ・・・?
食事の生茶の「トリプル機能」にしっかり科学的根拠があるのであれば、
後発のキリンメッツのシリーズでも3つ謳ってもよさそうなもんだ。
トクホなら、個別の製品でもう一度試験やりなおさなきゃ表示できないけど、
機能性表示食品なら、研究レビューなんだから、(ほぼ)同じ申請書で
問題ないと思うんだが。
おそらく、これはメーカーの販売戦略なんだろう。
お茶は多くの人に飲んでもらいたいから、機能を多く見せた方がよい。
一方でキリンメッツは少し間口が狭い。
その分、「脂肪」の一点に特化している、というイメージの方が
より売れる、という判断かも知れない。
機能を3つ書くのも戦略なら、1つに絞るのも戦略。
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さて、ここまでキリンさんの話だったが、今日の主役はイオンさんである。
日本の流通最大手。イオンが、プライベートブランド(トップバリュ)で
機能性表示食品に参入するようだ。
「難消化性デキストリン配合コーラ」
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A51-kinou.pdf
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もう、名前がそのまんまである。
ひねりも何もありゃしない。プライベートブランドだからな。
そして、機能性表示なんだけど、
「本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。
難消化性デキストリン(食物繊維)は、食後血糖の上昇を抑制する
機能があると報告されています。」
なんと、糖についてしか書いていない。
いやいや、大本になっているトクホ商品(キリンメッツコーラ、ペプシスペシャル)は、
どっちも「脂肪の吸収をおだやかにする」って書いてあると思うんだが。(苦笑)
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イメージとしては、糖よりも脂肪の方が気にする人が多いと思う。
だからこそ、トクホコーラは、あえて脂肪の表示を選んでいるんだろう。
脂肪の吸収をおだやかにする、ということがどれほど意味があるのか?
という疑問は、食事の生茶でもやったから割愛する。
その点、イオンさん、トップバリュは、もはや気にしていないのだ。
その辺のアピールは、すでにナショナルブランドである、キリンやサントリーが
やってくれているから。
おそらく、イオンさんがこの商品で本当に欲しかった表示は、
「機能性表示食品」という、表示だけではないか、と推測する。
あとは、知っている人であれば、他のトクホコーラと同じであることは分かる。
売り場での工夫も簡単だし。(トクホコーラと一緒に並べておけばよい)
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なので、イオンさんは一番ツッコミが入りにくい、
確実に効果が証明されている「食後血糖の抑制」だけに絞って申請したんだろう。
しかし、この機能性表示の資料に目を通したが、その感想がタイトルだ。
「イオン……恐ろしい子!」
(元ネタ知らん人はおらんよね?)
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申請書類の評価をしておく。科学的評価といってもいいけど。
これはもう、100点満点。AAA。
私がこれまでにチェックした機能性表示食品の資料の中ではダントツである。
難デキで糖だけに絞ればそりゃそうなんだけどさ、
もうちょっと手を抜いてもいいのに、本当に完璧に仕上げてきている。
さすがは、イオン、と言わざるを得ない。
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研究レビュー、システマティックレビューなんだけど、
もっともエビデンスレベルが高いといわれる「メタ・アナリシス」までやっている。
1次スクリーニングで253件の文献を集めて、
そこから150件除外して、本文入手が103件。
本文精査の結果、60件除外して、43件でメタアナリシスを行っている。
しかも、論文リストで除外した60件の除外理由を全て記載している。
採用した43件もきちんとバイアスリスク評価までやってるし……。
難デキの糖だけの機能性で、74pも資料があるわ。
ってか、メタアナリシスやってるの初めてみた。(苦笑)
まぁ、ほかの成分ではメタアナリシスできるほど文献多くない、
って理由が大きいんだろうけど。
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実のところ、メタアナリシスのデータの見方に慣れていないので、
細かいところはよくわかっていなかったりするんだが。(汗)
結論は問題ないだろう。
食後過血糖を、有意に抑制することは間違いない。
食後の血糖値を10くらい下げる、といっていいかな。
(どれくらい臨床的な意義があるかは別問題として)
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学問の世界では、大企業だろうが中小企業だろうが、関係ない。
でも、この機能性評価食品の申請書類に関してだけ言えば、
かなり企業間格差があるように感じるなぁ。(苦笑)
日本を代表するような企業の出す資料は、素直にすごいと思う。
社名、ブランドという看板を背負ってるからかな。
全ての機能性表示食品が、このレベルで資料出してくれれば楽なのにね。
いや、本気で探せばこの資料でも齟齬がみつかる可能性はあるが……
ま、たぶんないだろう。ってか、これを本気でチェックするのって
専門家でないと無理だろうし。
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