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ロキソニンSプラスは胃にやさしい?

時期を逸した気もするが、最近、CMも始まったので、
ロキソニンSプラスについて、書いてみる。

 今、1類医薬品でもっとも多く売れているのは、
ロキソニンSではないだろうか??
(金額で言うとリアップの方が上かも知れんが)

.

 そのロキソニンに、新製品が加わった。
ロキソニンSプラスである。
私の周りの薬剤師からの評価は、おしなべて低い。
ぶっちゃけ、微妙……。

 どのように微妙なのかは、先達が書いてくれている。
OTC関係に強い薬剤師ブロガーさん達。
今現在、googleで「ロキソニンSプラス」と検索をかけると、
検索順位3位と4位に引っかかってくる!

「ロキソニンSプラスとロキソニンSのちがいは、ささやかな”やさしさ”です」
(ドラッグストアとジャーナリズム)
http://drugstore.hatenablog.com/entry/2015/06/23/223000

「ロキソニンSプラスが謎」(むむろぐセカンド)
http://phmumu.blog79.fc2.com/blog-entry-161.html

.

 OTC(一般用医薬品)では、よくある、と言えるかも知れない。
鎮痛薬に、(申し訳程度の)胃薬を追加して、
「胃にやさしい」と宣伝するパターンだ。

 古い薬でいうと、「バファリン」がそうだ。
鎮痛成分のアスピリンに、胃を保護する「ダイアルミネート」
を配合して、「胃に優しい」と言っていたし。

.

 ただ、酸化マグネシウムをたった33mgってのはねぇ……。
医療用なら、330mgが一番メジャー。つまり、10分の1)
それでプラスを名乗っていいのかよ、と。

 やっぱり、定期的に新製品出さないといけないんだろうね。
こういう業界って。
あとは、PB(プライベートブランド)対策もあるかも。
 ロキソニンSと同成分で、少し値段の安い商品、
(いわば、ジェネリック医薬品のようなもの)が出回りつつ
あるので、差別化もはかりたいんだろうな。

.

 そもそも、ロキソニンって鎮痛薬の中では、胃に優しい方だ。
プロドラッグなので、胃障害はおこしにくい・・・はず。
もちろん、個人差はあるんだけど。

 ただ、医療用で処方される時も、胃薬とセットで出ることが多い。
ムコスタ(一般名:レバミピド)やセルベックス(一般名:テプレノン)が
多いけど、ガスター(一般名:ファモチジン)を出す医師もいる。

 なので、胃薬を配合する、という考えは間違ってるとは言えない。
やっぱり問題は、「酸化マグネシウム33mgでいいのか?」
って話でね。

.

 じゃぁ具体的に、どのていど胃にやさしくなってるんだろうか?
これを、調べてみようと思ってみたんだが、
そんなデータ、どこにも見当たらない。(苦笑)

 いや、私が調べなれてないだけかも知れないけどさ。
一般用医薬品の臨床試験データって、そうそう探せるものではないのかも。
誰か、調べ方を知っていたら教えてください。

 こんなんじゃ、まだ機能性表示食品の方がデータ見られる分だけマシだ。
こんな、効くのかどうかはなはだしく怪しい量の酸化マグネシウムで
「胃に優しい」って言っていいのか?
そこまで言うなら、データ出してくれ。(苦笑)

 調べたいのは、ロキソニンSプラスによる胃障害(副作用)の発生頻度。
これを、ロキソニンSのものと比べれば、どれほど「胃に優しくなった」か
がわかるはずなんだけどな。

.

 もっとも、これはロキソニンSプラスに限った話ではない。
他の一般用医薬品だって、同じことだしね。
また、一般用医薬品に限った話でもなさそうな気もする。

 医療用でも、ロキソニンとレバミピドやテプレノンの併用って、
どこまで効果があるものやら……。
まぁ、さすがにこれは探せば論文が出てくるんだろうけどさ。

 ただ、こないだのるるー主さんの記事を見ると、
意外にこの辺もエビデンスが薄い可能性はありそうな気も。

「痛み止めは食後じゃなきゃダメ?」(薬剤師4コマ劇場R2)
http://pharmacymanga.blog.fc2.com/blog-entry-547.html

.

 さて、ロキソニンSプラスなんだけど。
うーん、普通にロキソニンSでいいんじゃないかな。
胃が弱い人なら、ロキソニンSプラスもありかも知れないけど、
酸化マグネシウムじゃ、たかが知れてる。

 ロキソニンSプラスだと大丈夫で、ロキソニンSだと胃障害の
副作用おこす人って、一体どれくらいいるだろうね?(苦笑)
臨床的には非常に狭い範囲だと思うんだけど……

 ただし、おそらく売り上げには貢献するだろうから、
メーカーの販売戦略としては極めて正しいと思われる。

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コメント

市販薬の情報をとるのは地味に至難の業ですw。医療用ならIFとか申請資料がサクッとみれるんですけどね。市販薬は新発売の商品でもPMDAの検索にもでてこない。イブクイックを調べた時、PMDAになんで申請資料を公開しないんですかって聞いたら、いろいろ制度上のことを説明されました。機能性表示食品の方がよっぽど、というのはなるほどその通りだと思います。どうしたらいいんでしょうね。

投稿: kuriedits | 2015-07-30 20:37

>kurieditsさん

コメントありがとうございます。
やっぱり至難の業なんですね・・・。
今まで本気で調べようと思ったことはなかったんですが、
調べようと思って調べられるモンじゃないんですね。
 行政の審査を信用しろ、ってことなんでしょうけど、
まず間違いなく「胃に優しい」ことを行政は確認して
ないと思われます。(苦笑)

投稿: kitten | 2015-07-31 22:52

薬剤師kitten様初めまして

ド素人が出しゃばってすみません(薬科大学と電子工
学を悩んで電子工学に進んだ女子です)

kitten様の文中「酸化マグネシウム」が多用されてい
ますが「炭酸マグネシウム」では?と余計な口出しで
すみません

酸化マグネシウム=カマグで下剤になっちゃうのかな
と知ったかぶった嫌味な指定ですみません


投稿: おとは | 2015-08-07 15:54

>おとはさん

 コメントありがとうございます。
そういえば、本文中にロキソニンプラスの公式情報への
リンク、貼ってませんでした。(苦笑)

http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/loxonin-s_plus/index.html

 はい、やっぱり酸化マグネシウムです。
下剤として使われることが圧倒的に多い薬ですね。
それにしても33mgは少なすぎなんですが。

投稿: kitten | 2015-08-07 22:33

酸化マグネシウム今でこそ便をやわらかくする目的として使われることが多いですが、昔々は制酸剤、制酸作用は微量で発揮、おそらくこの程度が適量かと

投稿: | 2015-10-21 09:09

「制酸剤として使う場合、1日0.5g~1gを、数回に分割」
と、酸化マグネシウムの添付文書に書かれています。

 やっぱり、一桁違いますね。

投稿: kitten | 2015-10-21 19:59

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