「ボーコレン」は膀胱炎に効くのか?
今日は一般用医薬品より。最近、よくCMを見る気がする、
小林製薬の「ボーコレン」
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/bkr/
パッケージには、
「つらい排尿痛、残尿感に」「炎症を抑え、菌を押し流す」
と書かれている。
.
中身は漢方薬。五淋散と呼ばれる処方で、
「膀胱や尿道などに違和感を感じる方の、排尿痛、残尿感、頻尿などの
つらい症状を徐々に緩和していきます」
とのことだ。(強調は引用者)
認可上の効能・効果には
「体力中程度のものの次の諸症:頻尿、排尿痛、残尿感、尿のにごり」
とある。(これは、漢方薬である「五淋散」と同じだろう。)
注意すべき点はただ1点。
どこにも「膀胱炎」に効果があるとは書いていない。
あのCM.ボーコレンというネーミングで、
いかにも「膀胱炎」に効きそうな気がするが、
どこにもそんなことは書いてない。
「炎症を抑え、菌を押し流す」ってのは?
うん、五淋散の効果としてはありそうだから問題ないが。
効果があるのは、「軽い」、あるいは「慢性的な」膀胱の炎症だけで、
急性の、いわゆる「膀胱炎」には、ほぼ効果がないだろう。
普通の「膀胱炎」に対しては、病院を受診して、
抗生物質を処方してもらうほうが、早く、確実に治る。
実は、ドラッグストアでも時々、膀胱炎の相談を受けるんだけれども、
よほど病院に行く暇がない、とかでない限り、基本的には受診をすすめる。
確実に効果のある抗生物質って、市販では取り扱ってないので。
効果、値段のことを考えると、ほぼ確実に受診する方がよい。
.
ボーコレンの使用上の注意に、以下のような記載がある。
「1ヶ月くらい服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、
製品のパッケージを持って医師、薬剤師または登録販売者に相談すること」
効果の判定に1ヶ月もかかるんか!
「ボーコレン」が対象としている患者さんは、
「よくならなくても1ヶ月くらい我慢できる人」ってことか?
確かにその程度の症状であれば、ボーコレンを服用しても問題ない。
とうてい1ヶ月も我慢できない、という人は、
病院を受診することを強くお勧めする。
普通の膀胱炎なら、抗生剤使えば2,3日で治るからね。w
ちなみに、ボーコレンの希望小売価格は、96錠(8日分)で3240円。
48錠(4日分)で1680円である。
.
ところで、一般の消費者はこの小林製薬のやり方をどう思う?
私は、違法でこそないものの、かなり悪質だと感じているのだが。
効能効果や、説明書をよく読めば、どこにも嘘は書かれていないが、
いかにも、「膀胱炎」に効きそうな優良誤認を引き起こしかねない。
膀胱炎は、病院で診てもらって薬を服用すれば、
割と簡単に治ることが多いので、特にそう思う。
企業の論理からすれば、「ネーミング」と「マーケティング」の力、
ということになるんだろうか。
個人的には、そういうことをする企業は信用を失うと思っているんだけど。
とはいえ消費者も、「所詮、小林製薬の製品だし」と諦めるかもね。w
.
薬剤師や登録販売員に相談してくれれば、
「ボーコレン」の効果の程度を説明できると思うけれども、
これって第2類医薬品だからな。対面説明なしで買えてしまうし・・・。(苦笑)
私がボーコレンにわかりやすいPOPつけろって言われたら、
「膀胱炎には効きません!」って書いてやる。w
まぁそんな機会は絶対にないだろうけど。
| 固定リンク
「('14~16)仕事(薬局)」カテゴリの記事
- 2016年の記録とカテゴリ変更(2016.12.31)
- カルボシステインが出荷調整?(2016.11.14)
- 抗がん剤、オプジーボが大幅値下げ?(2016.11.12)
- 武田テバの失策(2016.11.05)
- エチゾラム、ゾピクロンの投与上限適用は11月から(2016.10.14)
コメント