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安定供給のためには

 先日の、ラノコナゾールの回収で思った事。

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 原薬メーカーの問題で、日本中のラノコナゾールの大半が使えなくなった。
(一部、ジェネリックメーカーで販売続けてるとこはあるけど)

 医療用、OTCまで含めて、一発で供給が止まったわけだ。
これ、命に関わるような薬じゃないからいいけれども、(水虫の薬)
もし、命に関わるような薬だったら、と思うと恐ろしい。

 もっとも、本気でヤバイ薬なら、回収しなかった可能性はあるかも。
製品として、健康被害をおこすようなことはないらしいので。

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 東日本大震災の時には、チラーヂンSが問題になったなぁ。
私も、何回か記事に書いたけれども。
多くの人が必要としている薬だったが、作っていたのは実質一社のみ、
それもいわきの工場でしか作っていなかったので、被災して供給が止まって
えらいことになってしまった。

 もう少し、「余裕」というか「遊び」を持てないものだろうか?
と書いた記憶がある。
徹底的に効率化、無駄をそぎ落としていった結果として、
こういうトラブルに弱くなってしまっている。
 ラノコナゾールにしても、原薬メーカーが一社でなければ、
これほど問題にはならなかったのにね。

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 そういえば、グラクソ・スミスクラインのテノゼットはどうなった?
と思って調べてみたが、まだ安定供給できていないらしい。
これも、一歩間違うともっとひどいことになっていた可能性が高い。
まだ、シェアが少なかったから問題が大きくなっていないだけで。

 知らない人の方が多いだろうから解説。
グラクソスミスクライン(略してGSK)という製薬会社が、
B型肝炎向けの新しい抗ウイルス剤として、
テノゼットという薬を発売した。
 特に、今までの薬が効かないタイプのウイルスに効果が高いとされ、
これから徐々に、シェアを伸ばしていこう、という矢先に事故はおきた。

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 8月12日。中国の天津で爆発事故がおきた。
もう、3ヶ月近く前の話なんだけど、みんな覚えているかな?

この事故で、GSKの天津の工場が被災し、操業を停止した。
今でも、まだ復旧のメドは立っていないようだ。
日本向けのテノゼットは、この工場でのみ生産していたので、
日本への供給はストップしてしまった。

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 とりあえず、新規処方や長期処方を制限して、
残り少ない在庫をちびちびと使っている状態。

あと、天津が復旧しないなら、他から輸入する方向でも動いているし、
日本国内での製造も検討されている。
年内に何とかなればいいけど……。

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 安定供給できないものは、それは薬にはなりえない、って、
学生の頃に教わった記憶がある。
必要なときに、いつでも供給できないと、困る。
病気によっては、命に関わることもありえる。

 そのためには、色々なところで複数の供給源が必要だろう。
原薬メーカーも、一社だけだとラノコナゾールみたいに全滅するし、
工場も一箇所しかなければ、チラーヂンのようなことになる。

 テノゼットに至っては、日本国内の話ですらない。(汗)
海外の工場が被災するだけで、一気に困った訳で。

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 可能な限り、複数の供給ルートがあった方がいい。
また、それほど売れなくても(苦笑)
何かあったときのために代替薬も残しておいて欲しい。

 でも、そういうのって何の事故もおきなかった場合、
単なる無駄にしかならない……よね。
無駄は極限までそぎ落とすべき、という風潮の現代では、
やっぱり維持するのは難しいのかな?

 そういう「安定した供給のための」コストって、どうすればいいんだろう。
薬価として評価できればいいんだろうけど、
それって医薬品がまた高くなるということで。(苦笑)

 痛い目にあった時は、そういう仕組みが必要って思うけれども、
何事もない平穏な日々が続けば、とたんに疑問視されるよね、そういうの。
最終的に、困るのは患者さんだから、何とかしておきたいんだけど。

 

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