アボルブはどうなっている?
先月の末に、グラクソスミスクライン社(以下、GSKと省略)の
前立腺肥大症治療薬、アボルブが出荷調整に入っている、と記事を書いた。
「アボルブが出荷調整」(2015.11.28)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-2441.html
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さらに、続報がでて、アボルブを製造委託しているフランスの工場で、
通常ではありえないような混入事故があったため、
製造が全てストップしている、という。
「アボルブの出荷調整も、工場のGMPの問題?」(2015.12.04)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/gmp-6072.html
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で、その後どうなっているのか、という話。
アボルブはその後、出荷調整どころか、
ほぼ、出荷が止まっている状況となっている。
処方元の先生には、もうどうにもならないので処方を止めてください、と
GSK社から連絡がいっているはず。
少なくとも、基幹病院のレベルでは全処方ストップ。
街中の開業医とかだと、ほそぼそと出し続けているところも
あったかも知れない。
というのは、調剤薬局に在庫が残っていれば出せるからね。
応需している薬局に在庫があれば、処方は継続されるだろう。
また、大きな病院クラスだと全て処方がストップしたので、
残りわずかなアボルブも在庫に、ほんのわずか余裕ができたため、
そういう小さな薬局の分は残っていたかも知れない。
処方元の病院が完全に処方中止したら、その病院の分の在庫は
必要なくなるからね。
ただ、それにしてもなくなるのは時間の問題だった。
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で、ここからが問題。
アボルブを中止しました。かわりに出す薬は、原則、ない。
んだけれども、あえていえば、似たような薬としてクロルマジノン、になる。
先発品は、あすか製薬さんの「プロスタール」
基本、中止するだけで変更しない先生もいるんだけれども、
全面的にプロスタールに切り替える先生もいたらしい。
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通常時の出荷量は、アボルブ>>>プロスタールである。
プロスタールには各社から後発品が出ているけれども、それにしたって
そんなに在庫がある訳ではない。
結果として、
先発のプロスタール、後発のクロルマジノン製剤の全てが品薄になり、
出荷調整がかかっている状態になった。
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これ、以前からそっちを服用していた患者さんには、本当に迷惑な話。
自分の服用している薬と似た薬を作ってたフランスの工場の問題で、
自分の薬が手に入りにくいとか……
意味がわからん、ありえない、ってなるよね。
なので、メーカー側はアボルブからクロルマジノンへの切り替えは
出来る限りやめてもらいたいらしい。
今までクロルマジノンを服用していた患者さんが困ることの無いように、と。
とはいえ、こちらは完全に在庫がない、という訳でもないので難しい。
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そういう状況で、未確認ではあるが、以下のニュースである。
アボルブの供給が、一部再開されるらしい。
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メーカーさんに聞いたところによると、
国内の在庫で出荷しても問題のないアボルブが存在していて、
それらを順次出荷していけるかも知れない、と。
いや、いいニュースなんだけどね。
それ、どのくらいの量になるの??
少なくとも、この騒動が終わるほどの量でないのは確実。
余った在庫を使い果たす前に、問題の工場が再開できるとか、
そういう甘い見通しは誰ももってない。
むしろ、今の状況で「あと少しだけアボルブありますよ、どうします?」
と言われても、医療機関としても困ってしまう。
全員にいきわたるだけの量がないのは確実で、
しかも、すでに中止している人も大勢いる。
かといって、代替しようにもクロルマジノンも在庫がないし……。
少しだけ在庫残ってるって、一番対応に困るんだが。
あるなら、先に出しておいてくれよ。
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そういえば、こないだウチに薬を取りに来た患者さんも
アボルブが中止になってた。医師から話は聞いていたらしいから、
大した問題にならなかったんだけど……
患者さん「実は、ウチに飲み忘れてたアボルブがたくさん余ってるねん。
これ、高値で売れたりせえへんかな??」
……。
とりあえず、ある分は、なくなるまで服用続けといてください!w
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でも、意外にそういう残薬ってたくさん残ってるかもね。
そういうのを引っかき集めて、どうしてもアボルブが必要な人に、、
ってのは、やっぱり無理だろうね
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