在宅が安定するまで
昨日の話の続きである。
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ようやく、契約が成立して、実際に在宅医療が始まる。
2週間に1回くらいの訪問ペースが普通なんだが、
最初は1週間に1回、医師が訪問していた。
当然、処方箋も1週間に1回。
最初は本当に大変だった。
Iさんは基本的に寝たきりに近いんだけれども、
まともに生活できるようにするまでが苦労した。
もっとも、このあたりはケアマネの力が大きい。
ほぼ毎日、ヘルパーさんなり看護師さんなりが訪問して
様子をみて、世話をする。
体の状態は、寝たきりの状態はもう仕方ないとして、
主に栄養状態に問題があった。まともな食事が少ない。
なので、処方箋としてはラコールなどの栄養剤が多かった。
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ただ、これがなぜか途中で足りなくなるという。(汗)
これは結局最後までナゾだったなぁ。
カギをかけない家だったから、誰かが勝手に取ってた
可能性が一番高いけれども。(苦笑)
もともと、どこか別の病院で薬をもらっていたようだが、
本当に適当に服用していたので一旦全部削除。
実際に必要な薬はあんまりなかったなぁ。(苦笑)
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夏になって問題発生。エアコンがなかったため、
水分がとれないと熱中症の危険があり。
ケアマネ含めて何回か注意したんだけれども、
なかなか改善されず。
見た目にもこれはまずい、という感じがした。
……結果として、熱中症で倒れて、
一時入院することになった。
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正直、ホッとした。
状態が不安定な時期は、本当にこちらとしても心配で、
通常業務をしていても、頭のどこかでIさんのことを考えてた。
常に、脳内リソースの数%をIさんに使ってるような状態。
熱中症の危険は分かっていたけれども、
結果としてみると、対策を進めるためには何らかの
イベントが必要だった。
入院は、本当にいい契機になったと思う。
しぶる本人を説得してエアコンを設置。
実際に倒れてしまった、という経験をしたので、
こちらの言うことも少しずつ聞いてくれるようになってきた。
薬とは全然関係ない雑用を頼まれることも多かったが。
まぁ、それなりに信用してくれている、ってのもあるだろう。
退院してからは、かなり状態は安定していて、
訪問頻度も2週間に1回のペースになった。
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ケアマネだけでなく、医師や訪問看護師とも
少しずつ連携が取れるようになってきた。
訪問の報告は、医師とケアマネの両方に
書類をFAXで送っていた。
正直、医師はどこまで読んでいるのかわからんかったが(苦笑)
少なくとも、残薬調節くらいはできてたかな。
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最初は大丈夫かいな、と思っていた医師との関係だったが、
向こうもなれてきたのか、Iさん以外の仕事をふってくることもあった。
医師は、最初は「薬剤師嫌い」だったんだと思う。
それで院内処方でやってた訳だし。
でも、(それなりとはいえ)一緒に仕事をするうちに、
少しは慣れてきてくれたのかも知れない。
結局、居宅療養管理指導という形ではIさんしかなかったけれども、
麻薬とか、一包化とか、めんどうな処方箋をウチの薬局に
回してくれることもあった。
もちろん、仕事としては通常業務とやや異なるので気を使うが、
医師との信頼関係を少しずつ築いていくのは
やりがいもあった。
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