「薬のデギュスタシオン」
本の紹介
「薬のデギュスタシオン」 岩田健太郎(編集)
上記リンクはamazon。
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デギュスタシオンって何?ってのがわからんのだが。(苦笑)
フランス語では、味見?テイスティングのこと、
と書いているけど、この本では違うよね。
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この本における「デギュスタシオン」の意味は?
「比較」とか、そういう意味だろうか?
以下、「はじめに」より引用
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医薬品の価値は、「他者との比較」によってなされる。
単にある医薬品の効能や副作用を勉強するだけではだめで、
その薬がほかとの相対的な関係からどの位置にいるか、
そのポジショニングが重要になる。それが分からなければ
Aという薬とBという薬の使い分けは出来ない。
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引用終わり
ようは「この分野の薬って、こういうのと、こういうのがあるけど、
ぶっちゃけ、どれがどうよ?」という話を、医師の感覚で語る本だ。
もちろん、感覚だけではなくて、ちゃんとした論文の根拠のある話が多い。
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たくさんの医師が執筆しているのを、岩田先生が編集しているんだけど、
肝心の岩田先生が書いてるところがね……
「フロモックスとメイアクトとバナンとセフゾントミロンの比較
(と次いでにケフレックスについて」
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……、なんで、あえてこんなところ書くかなぁ。
第3世代経口セフェムを認めていない岩田先生がそんなとこ書いたら、
「そもそも、経口3世代セフェムは臨床上ほとんど必要ない」
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って、そう言われるに決まってるやん。比較もへったくれもないわ。ww
ちなみに「ついでに」書かれているケフレックス(第1世代セフェム)の方が
マシ、という話だからね。
ただ、セフゾンの味の良さについては認められているようだ。w
と、ここの章が、この本の一番の笑いどころだろう。
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あとは、知ってる話も多かったけど、知らない話も多かった。
とりあえず、糖尿病薬は第一選択はメトホルミン一択、ってことかな。
SGLT2阻害薬については、あまり触れられていなかった。
勉強会を聞く限りでは、SGLT2阻害薬は、ほぼ差がないんだけど。
緩和ケアのオピオイドは、参考になったけど、
薬剤師としてはちょっと複雑。
モルヒネの原末を水に溶かして服用させるってのがあったんだけど、
調剤するのは、結構神経使いそうだ。(汗)
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あと、印象に残ったのは、あとがきの岩田先生の文章だ。
「薬についての情報を得たければ、薬のプロで利益相反のない
薬剤師さんを活用すればいいのです。」
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……果たして、今の薬剤師でそれができるかどうか。(汗)
まぁ、そうあるべきだ、というのはよく分かる。
でも、薬剤師にしたってMRからの情報に頼ってるところは多いよ。
それを素直に信じるかどうかは別として、ね。
薬剤に必要なのは、そういう知識もそうだけど、
医師と対等にやりあうだけの、自信じゃないかなぁ。
自分が正しい、と思っていても、やっぱり医師相手だと
遠慮してしまう。
そういう薬剤師って多いと思うよ。
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薬剤師は、医師から頼られる存在であるべき、か。
こりゃまた、なかなか高いハードルだねぇ。
でも、医師も、薬剤師も、MRにいいように操られる、
ってことだけは避けなければいけない。
薬の売上って、その薬の性能だけでは決まらないからね。
プロモーション力によって、大きく変わる。
どんなひどい薬でも、一流メーカーがやれば売れるし、
どんなによい薬でも、MRが弱ければ売れないのが現実。
それじゃ、患者さんのためにならないよね、やっぱり。
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