「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
本の紹介。
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
(リンク←例によってamazon)
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昨年から話題?の恋愛小説。
特に、読書メーターでの人気が高かった。
現時点で60万部くらいなのかな?
図書館で予約して読んでみた。
幸い、7人待ちくらいでなんとかなった。w
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んー、この作品をネタバレなしで語るのは不可能だろう。
ってか、タイトルの時点でネタバレしてるといえなくもない。
一応、ネタバレが入るので、嫌な人は避けてください。
<ネタバレ注意>
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行数稼ぎの雑談。
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正直、この作品に関して言えば、
ネタバレしてもそれほど問題ないような気が
するんだよね。
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ってのは、タイトルがすでにネタバレ、っていう。
この点で、不満を抱く人もいるかも知れない。
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でも、この作品は、
このタイトルじゃなければ、
ここまで売れなかったんじゃないかなぁ、
と思う。
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売れるためには、
作品の中身も、もちろん大事なんだけど、
タイトルのインパクトとか、
表紙の絵柄とか。
そういうのも、結構重要。
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この本の場合、
カバーもいい感じ(私にはセンスないから説明できないが)
何より、この「意味わからん」タイトルが
人を惹きつけるよね。
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作者の七月隆文さんは、全く知らんかったけど、、
他の作品を見る限り、
ラノベ作家のようだ。
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この作品も、ラノベと言えなくもないし。
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もっとも、ラノベだからダメだとか、言うつもりはない。
ってか、ラノベでも面白いものは面白いし。
読みやすさってのは、重要だと思う。
なかには、読みにくいラノベもあるんだろうけどさ。
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タイトルのインパクトといえば、
「君の膵臓を食べたい」(住野 よる)
これも、相当なインパクトがあって、やっぱり売れているらしい。
図書館で予約したら、65人待ちになってた。
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タイトルって、やっぱり大事なんだろうなぁ。
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<ネタバレ警報>
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こっから、完全ネタバレ解禁します。
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「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
これはもう、その言葉通りの意味。
主人公、高寿は、ヒロイン、愛美に一目ぼれして告白する。
そこから40日間の二人の話。
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ただ、愛美はこの世界の住人ではなくて、
「となりのせかい」であるパラレルワールドの人間で、
5年に1回、40日間しかこっちの世界に滞在できない。
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しかも、時間の流れ方が「逆」。これが、少しわかりにくい。
まぁ、一番わかりやすい言い方が、タイトルである。
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
「ぼく」にとっては明日のことが、「きみ」にとっては昨日のこと。
「ぼく」から見れば、「きみ」は時間を逆流して生きている。
(当然、「きみ」から見ても同じで、逆流している)
愛美は全て最初から知っている。高寿は知らない。
高寿は、途中で愛美から教えてもらうことになる。
でも、出会いは出来る限り不自然にならないように、
愛美は前もって予習していて、懸命に演技をしている。
まぁ、涙もろいんだけど。
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この本を楽しむのに必要なこと。
「細かいことを気にしてはいけない」
ということだろう。.
これが出来ない人は、多分、しっくりこないと思う。
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設定がかなり無茶。(当たり前だが)
いや、その設定なら、こんな場合どうなるのさ??
みたいな例がわんさか考えられる。
タイムパラドックスを解決しようがない。(苦笑)
重要なアイテムに「箱」があるんだけど、、
この「箱」は、一体、誰がどうやって用意したんだろう?とか。
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また、二人は運命に逆らおうとしない。
というか、運命をなぞるように生きようとしている。
これだけ切ない状況なんだったら、
もう少しどうにかならんか、考えないのかなぁ?とか。
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二人の行動は、あらかじめ決められている。
これが、どうやって決まっているのか分からない。(苦笑)
彼は、彼女から昨日のこと(彼から見ると明日のこと)を聞けるし、
逆もまた然り。
彼女は、彼の小説の感想を手紙で渡す。
でも、彼女が小説を読んでいる時点(彼にとっての未来)で、
すでに、彼の手元にその手紙は存在している。
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ドラえもんの話の、タイムパラドックスを思い出した。
とある人気ヒーローマンガの先が知りたくて、
ドラえもんは未来に行って話を見てくる。
それを聞いた作者(どうすればいいか、行き詰ってた)は、
その通りの話を描く。
最終的に、作者が倒れてしまってドラえもんが描くんだけど、
ドラえもんは常に、未来の原稿を写しているだけ。
1ヵ月後にいって、1ヵ月後の原稿をみて、その原稿を写す。
以下、繰り返し・・・
って、この原稿、本当に考えて描いているのは誰なの?
というオチ。作者は倒れているから作者ではありえない。
ドラえもんは未来から写してくるだけ。じゃぁ、この原稿はそもそも何?
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この小説も、同様のパラドックスを内包している。
お互いに、子供のころにお互いの命を救うことになるんだけど、
これ、どっちが先?どっちが後?因果はどうなってるの??
まぁ、そういう訳のわからん話だ。w
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また、パラレルワールドの設定もよく分からない。
片方からだけの一方通行。しかも、時間軸の進む方向が逆。
いやいや、少しでも交流があるんなら、技術とか伝わるでしょうよ。
もう、気にし始めると、本当にキリがない。
なので、SFとして読むならば、これは駄作と言いきっていいだろう。
世界設定がおかしいんだから。
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じゃぁ、なんでこんなに売れているの?
それは、本作品があくまで「恋愛小説」だから。
そういう、細かいところを気にしてはいけないのだ。w
私は恋愛小説はそれほど読んでいないけれども、
細かいところを気にしなければ、
なるほど、売れているのはよくわかる。
読みやすく、しかも切なく、美しい。
「読み返し必至」と帯に描いているけれども、
全ての状況を分かった上で愛美視点で読み返すと、
なぜ、彼女が涙もろかったのかがよくわかる。
エピローグ、5歳の愛美の命を救った35歳の高寿は、
「さようなら」と愛美に伝えてから、言い直した。
「また、会えるよ」
愛美にとっては、これから先、何度も会える相手だけど、
時間を逆に進む高寿にとっては、これが最後なんだよね。
この辺、物語冒頭の告白シーン後の愛美の涙と重なってくる。
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少し悩んだけれども、
エンターテイメントとしてはいいかな、と思って購入した。
元々、文庫書き下ろしだから大した値段じゃなかったしね。
5年後くらいに、娘が読んでくれればうれしい。w
そういえば、映画化も決まったそうだ。
主演が福士蒼汰で。(苦笑)
まぁ、絵になるだろうけどさ。
話的には、主人公の方はそんなにイケメンじゃないぞ。w
うまく表現できれば、いい映画になるかもね。
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