わからん薬学事始
本の紹介
「わからん薬学事始」(まはら三桃)
リンクはamazon1巻
3巻で終了、だと思う。
図書館の子供向け小説の棚にあった。
あまりにもタイトルが気になったので借りてみた。
読んでみた印象だと、小学校高学年~中学生くらいが対象かな。
主人公は、久寿理島(くすりじま)出身の木葉草多(きばそうた)
島で何にでも効く万能薬、「気休め丸」という伝承薬を作っている家、、
久寿理島製薬の御曹司(というほど立派なもんじゃないが)
で、東京で、和漢学園高校(薬科大学の付属高校)に通う3年間の話。
当然、下宿することになるんだけど、
そこが「わからん荘」という、下宿。
そこには、優秀だが一癖もふた癖もある先輩たちが住んでいた。
また、大家さんの蘭さんの孫娘である、黒田真赤(まき)や、
その双子の妹のブランカも、下宿によく訪れる。
和漢学園高校には、特に伝承薬について学ぶことができる、
特別な「Xクラス」という授業が存在する。
Xクラスの先生は、超速の授業をする
(おかげでノートを取ることさえ難しい)矢野先生が担当。
Xクラスには、草多と真赤のほか、
国内有数の製薬企業、大塔製薬の御曹司である、
大塔秀有も所属している。
秀有は「気休め丸」を超える薬を自分で作り出そうとする、
草多のライバルになる。
草多の目標、というか使命は
「気休め丸を超える薬を作り出すこと」
これは、一族に生まれた男子にしかできない、とされていて、
草多は木葉家に何百年ぶりにうまれた男子、という設定。
(基本、女系の家系だったようで)
てか、そもそも父親が誰かが分からん。
島の誰に聞いても「草多は島の子」と言われるだけで、
父親が誰かは全くのナゾ。
「いない訳ないだろう」ということが分かる程度には、
草多も成長している。
.
で、東京に出てきての学校生活が描かれる訳だけど、
読んでいて思ったのは、これ、「ハリー・ポッター」を意識してるよね、と。
薬学とは言っても、生薬や伝承薬中心だから、魔法学校と雰囲気が似てるんだ。
草多を鍛える矢野先生とか、まさしく魔法学校の先生のようだ。
1巻につき、だいたい1年間。3巻で、高校生活3年間が終わる。
少しネタバレが入るけど、ま、いいよね。
1巻の終盤で、草多の特殊能力が明らかになる。
「生薬の声が聞こえる」というのがそれ。
でも、ファンタジーなのはせいぜいその程度。
.
物語通じて、たくさんの生薬がでてくるけれども、
ほぼ全て、実在の生薬で話が進んでいく。
まぁ、「竜骨」だけはちょっと違うけど。
竜骨という生薬は存在するし、効能も物語に出てくる通りなんだけど、
この話の中では本当に、「竜」の「骨」だからなぁ。w
ほかには、「ハトムギ」=ヨクイニンが、いぼ取りの薬としてでてくるとか。
それほどの効果があるかわからんが、ヨクイニンは、いぼに使うなぁ。
.
気休め丸の成分を、直接薬に聞くことで調べようとする。
そこで聞こえてきたのが、以下の声。
リンデラン
リンデレン
リンデラクトン
リンデネノン
おぃおぃ。そこまでマジにやりますか。
さすがに薬剤師である私も聞いたことのない成分なんだけれども、
成分名を聞くだけで、これは確実に実在するだろう、と予想できた。
これは、天台烏薬の成分だ。
天台烏薬は、「気休め丸」にも入っている、という設定らしい。
そこまでリアルを追求するかよ。
何にでも効く「気休め丸」というネーミングも素晴らしいと思う。
「気休め」=プラセボ効果主体だから、何にでも効くってことだろう。
最終的には、父親のナゾも解ける。
実は、親世代にも重大な事件が隠されていて、その辺に学校の先生も関わっている。
こういう設定も、ハリーポッターっぽいと思った。
.
話としては、もう少し色々と膨らませることはできたと思うけど、、
そもそも字が大きいし(青い鳥文庫より大きい)、ページ数も少なめ。
読書入門編、といった感じだろうか。
主人公が男子だから、男子向けの話かな。
女子向けだったら、もう少し恋愛要素をからめてきそうなもんだけど、
かなり淡白だったから。w
実は児童書のゴールとしては、「ハリーポッター」かなぁ、と思ってる。
あれを読めるようになれば、もう一人前でしょ。
ってか、私も最後まで読んでないんだが。(苦笑)
薬を前面に押し出した児童書なんて珍しいから、紹介してみた。
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