ベゲタミンが販売中止に
仕事の話。
シオノギ製薬の向精神薬、ベゲタミン配合錠が販売中止になる予定だ。
2016年末で、塩野義製薬からの供給が停止。
以降、流通在庫品限りでの販売中止となる。
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詳細は、シオノギ製薬のHPから探っていける。
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なんでも、日本精神神経学会から「薬物乱用防止の観点からの販売中止」
の要望が提起された結果、らしい。なるほどねぇ。
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私が薬剤師になってから今までで、
ベゲタミン配合錠の処方箋を見た回数と、
ベゲタミンをニュースで見た回数と、どっちが多いか、と聞かれれば、
ちょっと悩んでしまう。w
つまり、実際に処方されることが少ない割りに、
薬物乱用などでニュースになることが多い薬、という訳。
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昨年も、乱用が多くて問題になっていた「エリミン」が
販売中止になっている。
「エリミンが販売中止」(2015.8.20)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-282b.html
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エリミンは、通称「赤玉」と呼ばれていたらしいが、
元祖「赤玉」は、ベゲタミンAではなかろうか?(苦笑)
ベゲタミンは、AとBがある。
含まれている成分は、クロルプロマジン、プロメタジン、フェノバルビタール。
で、A(赤玉)の方がBよりも含有量が多い。
販売開始が1957年11月。60年近く前の薬である。
使われている成分をみてもわかる。
薬理の教科書の最初に出てくるような古典的な成分だ。
特に問題なのは、フェノバルビタールかな。
睡眠目的でバルビツール系って、まず使うことないから。
ベンゾジアゼピン系の方がまだ安全だから。
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たぶん、エリミンと同様の理由だと思う。
今時、こんな薬を使う理由は見当たらない。(苦笑)
もっとほかに安全な薬、ナンボでもある。
さらに、薬価が非常に安くなっているため、
メーカーとしても作り続けることにメリットはない。
むしろ、乱用されるデメリットの方が大きい。
それなら、販売中止にしてしまう方がみんなのためだろう、と。
未だにベゲタミン使ってる患者さんもいるんだろうけど、
どうにかして、他の薬にスイッチするしかないかな?
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コメント
教えてくださいm(_ _)m
鎮静目的にベゲタミンA長期服用し、安定して見える患者様なんですが、kittenさんならどう変更提案されますか?
投稿: まるる | 2016-06-15 18:30
20年以上前に新卒で就職した当初、ベゲBは、何度か目にしました。病気でない人が飲んだら「3日くらい寝続ける(くらい強い薬)」とささやかれてましたが、乱用される薬なのですね(+o+)
そういえば、値段は忘れましたが(1錠数千円以上?)「これ、高い薬やねんぞ」と患者さんが見せてくれたものが、ハルシオンで、ぶっ飛んだ記憶もあります。真相は怖くて話せませんでした(+o+)
投稿: pega | 2016-06-15 19:34
>pegaさん
だいぶ前の話ですが、ウラ社会で手に入れた
ベゲタミンを他人に与えて死亡させた、なんて
ニュースがあった記憶があります。
ハルシオン程度ならともかく、ベゲタミンはあかん……。
>まるるさん
んー、基本的にはドクターに任せます。(汗)
そこは、精神科のドクターなら今ある薬でなんとかするかと。
どうしても、ベゲタミンでなきゃ、というなら、
それぞれの成分は単剤として生き残ってますので、
フェノバール(フェノバルビタール)、
コントミン(クロルプロマジン)、
ピレチア(プロメタジン)
の散剤を混合すれば、同じ成分のものを作ることは可能です。
投稿: kitten | 2016-06-15 22:41
薬理を観察できるならいいでしょう
ベゲタミン、赤玉を出して大人しくさせたら金になる!を理念に採算目当てに薬物を利用する経営理念と製薬会社のマーケティングにむしろ問題がありますね!
ちなまに、親族は相互作用で
泡を吹いて倒れたり、痙攣、過剰な抑制、
弛緩でヨダレ、、歯がボロボロ、最終、ジスキネジア、で
病院はただただ、薬を与えるのみで調整かけられない、診察できない、30数年、死にました。
ベゲタミンだめなら、、ジェネリックは良いのか?また、ベゲタミンと同類も沢山ありますよね?
単剤ならオッケーで、多剤なら、、、
本当、いたちごっこ。
それで死んだり悪害を信じ混まされた者はどうなるの?
セールストークで薬害や科学反応どーしょーもならないが。
診断上の薬品による、操作的に診断も
いくらでもできるから、薬品以上に医者次第ってとこだな!
投稿: | 2016-06-21 20:51
薬品以上に医者次第ってのは、まさにその通りです。
投稿: kitten | 2016-06-23 23:46