配達だけでは在宅医療ではない
以前、初めての在宅経験を3日にわたって書いたけれども、
在宅の始まり(2015.12.10)
在宅が安定するまで(2015.12.11)
在宅の終わり(2015.12.12)
そのほかにも、話は上がったことがある。
結果的に、在宅は始まらなかったケースが、2つ、3つほど。
それもついでに書いておこう。
まず言いたいのは、
「在宅はただの配達ではない!」
ということだ。
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とある医院から、いきなり処方箋がFAXで送られてきた。
普段は処方箋を発行する医院ではない。
たまに処方箋を見かけることがあったけれども、
自分とこにはない薬を出す場合だったり、
一包化したい場合だったり。
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で、処方箋の内容は、循環器の薬が何種類かと、
エンシュアリキッドという栄養剤。
でも、一包化の指示はなかった。
医院に確認してみると、薬を配達してほしいとのこと。
で、処方箋原本は本人が持ってる、とのこと。
住所確認すると、それほど遠くない。徒歩圏内。
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こういう場合、いきなり居宅療養管理指導料を算定する、ってことは、ない。
状況がわからないし、そもそも介護認定を受けてるかどうかもわからない。
介護保険をもっていたとしても、
先に契約書をかわさないといけないし、
医師からの指示書もいるし、ケアマネとも連絡とりたいし。
でも、薬はいるだろうから、とりあえず届けるだけは届ける。
この時点では在宅ではない。
(あとから点数取ることはあるかも知れないが)
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薬をもってお邪魔したところ、
70代くらいのご夫婦で、患者さんはご主人の方。
お二人とも、見た目は普通で、お元気そう。
薬を服用するくらいだから病気は病気なんだろうけど。
ただ、認知症とかいうことはなさそうだった。
で、お話を伺ったところ・・・
「エンシュアを持って帰るのが厳しいから、在宅を頼んだ」
とのことだった。
介護認定は受けていない。
うん、そうだね。どうみても問題なさそうだもん。
エンシュアリキッドは、2週間分で10kg近くになるので、
徒歩で持って帰るのはきついし、車はもってない、と。
で、医師が在宅訪問している訳でもない。
普通に医院にまで歩いていって、帰ってきてる。(苦笑)
つまり、本当に「重いのがしんどいから持ってきて」という。
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いや、これ在宅でやる必要ないんじゃないか?
医療保険の方でやったら、自己負担金は650円だから、
配達料としてはそんなもんかな、という感覚かもしれんが。
それは1割負担だからそうなんであって、医療費としては6500円
10kgを家に運ぶだけで6500円。
薬剤師による在宅医療には、他に服薬支援であったりとか、
残薬整理だったりとか、いろいろあるんだけれども、
そういったことは、全く必要なさそうだった。
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結局、この在宅はこっちから断った。
エンシュア運ぶだけで650点も取っていいのかよ、と。(契約や毎回の書類も面倒だし)
割と近隣だったし、期間限定だったこともあって
(近いうちに子どもの家の近くに転居予定だった)
それくらいならサービスで配達だけしますよ、と。
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そうでなくても、配達だけなら宅配便という手もあるし。
自己負担は似たようなもんかも知れないけれども、
この患者さんに必要なサービスは「配達」だけだからね。
それならその道のプロでいいんじゃないか?w
医療費削減にもなるし。
まぁ会社的には、そういう在宅受けてほしいかもしれんけど。
在宅の実績が必要になる点数もあるしね。
でも、薬剤師のプライドとして、配達するだけでお金とるのは
ちょっとね。。
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この患者さんは予定通り3か月ほどで終了になった。
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今、また別の患者さんに配達を行っている。
こっちは、医師の在宅訪問が入っているんだけど、
やっぱり薬の管理には何も問題がなくて、問題なのは
「団地の3階に、20kg弱の栄養剤を持ち上がれない」
という。もちろんエレベーターなし。(苦笑)
介護保険持ってる患者さんだったから、
こっちは居宅療養管理指導とってもよかったんだけど、
ケアマネさんとも相談した結果、自己負担があるなら
できれば避けたい、とのことで。
これはもう、宅配便で対応した方がいいかも知れない。
階段で3階ってのは、(私の腰)薬剤師にとっても厳しい。
その点、宅配便のお兄さん達ならプロだしね。w
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