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「火花」

 書籍の紹介。

 少し前に芥川賞を受賞した話題作、「火花」
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昨年の末に(ブックオフで)購入していた。

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 (見る気はないけど)いま、ドラマ化されているらしい。
あと、驚いたことにもう文庫化されている。
単行本が文庫になるタイミングってのは、出版社の自由なんだけど、
2年前に発売されたとこなのにもう文庫化って。かなり早いと思う。
(それより前の西さんの直木賞作品「サラバ」は、
 まだまだ文庫化の気配がない。)

 著者である又吉さんが2作目の長編を発表するという話もあり、
ドラマ化と併せてまた話題になるので、この売り時を逃すな、って
ことなんだろう。

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 でもね、もともと中編小説で、単行本でも150pほどしかない。
(物理的に)かなり薄い本だったんだけど、
それをさらに文庫にしたらもっと薄くなるんじゃないか。(苦笑)
 文庫の方には、受賞記念エッセイを追加で載せているらしいけど。

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 たった150pの薄い本である。ただこれが、「重い」
文章を読みなれていない人だと、読み切るのも大変じゃなかろうか。(苦笑)
私の感想は、「純文学ってこんなに重いんだ」という、内容と関係ないところ。

 私は、いわゆる「ライトノベル」そのものはたまにしか読んでないけど、
ラノベよりの軽い大衆小説を主戦場にしているので、
久々に純文を読むと、非常に重く感じた。

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 「重い」というのは、テーマという訳ではなく、読み進めるのに時間かかると。
多分、普段の倍くらいの時間がかかっている。(薄いのに!)

 言葉が重くて意味を考えながら読み砕いていくから、
それだけ時間がかかったのかなぁ、と思う。

 おそらく、話題作だから買ったはいいが、読み切れなかったという人も
結構いるんじゃないかと思う。w

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 これ、いわゆるタレント本とは訳が違うよ。
「作家」又吉が、真剣に純文学やった結果の作品だわ。

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 と、ここまで内容については何一つ触れていないな。(苦笑)

 この作品「火花」は、作家でなければ書けないんだけれども、
同時に、芸人でなければ書けない小説になっている。
ようは、「作家」であり「芸人」である、又吉にしか書けない話と言うこと。

 売れないお笑い芸人徳永が、さらに独創的な笑いを目指す先輩、神谷に
あこがれて上京する、という話。
「笑いってなんやねん?」という話を真摯に書いている。

 本職のお笑いだけあって、これがリアルだ。
実際にモデルがいるんじゃないか、と思うんだけど。
いてもおかしくない。

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 ネタバレはあえて書かないが、
ラスト近く、「スパークス」の漫才の内容は、本気で感動する。

 そこからのラストがあまりに衝撃的で、
受け付けない人もいるんじゃないかと。
そこで終わっとけばええ話やなのに、なんでこんなことするかな、と。w

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 でも、それが先輩芸人である神谷の真骨頂だと思う。
神谷にとっての笑いの哲学は、そうなっているから。
既成のものを破壊すること、それが笑いなんだろう。

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 さて、興味は発表されるという二作目なんだけど。
どれほどのものを書いてくれるんだろうか。
作家としての評価は、二作目で定まるだろう。
 「火花」はよくも悪くも全身全霊を使って書いた話だったので、
これ、又吉は二作目かける余力あるのか?と不安になっている。
実際、2年も開いてしまっている訳で。

 やっぱり、一作目以上の作品。それも長編を望まれるから。

 興味はあるけれども、いきなり買うことはないかな。w

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