浅田真央、引退
昨日。フィギュアスケートの浅田真央が、現役引退を発表した。
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一つの時代が終わったなぁ、と。
各局でまた、特番とか組まれるだろうけど。
とりあえず、ソチ五輪の時のFSの演技を、ニコニコ動画で見た。
何回みても、泣ける……。
これ、確か私は当時、真夜中に一人で見てたんだよね。
ラフマニノフ2番。すべてのジャンプをクリーンに降りた、8トリプルの演技。
私は、「浅田真央史上最高の演技」と評したけれども、
いまだに、彼女の演技を超えるものは出てこないなぁ。
今の女子フィギュアはロシアの全盛時代。
世界女王、メドベージェワに死角は全くないし、
スコアだけ見れば、浅田真央の得点よりはるかに高得点なんだけど、
それでも、3Aを跳んでいる訳でもなく、ましてや8トリプルなんて。
浅田真央のすごさは、あれだけ高難度のジャンプを跳んでおいて、
あれだけの表現力を誇るところ。点数が出ないのは、ジャッジに見る目がないだけ。w
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私は、ソチ直後の段階で、浅田真央は引退するものだと思っていた。
彼女は、もう十分すぎるほど頑張っていたから。
それでも、1年後、復帰を宣言した。
復帰してからの彼女は、思い通りの演技ができず、苦しむことになった。
ただ、復帰したことに悔いはない、とブログで語っている。
あそこで辞めていたら、今も復帰することを望んでいたかも、と。
実際にやってみなきゃ、わからないこともある、と。
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彼女が日本フィギュア界に残した功績は非常に大きい。
オリンピックの金メダルこそ取れなかったものの、
世界選手権優勝3回。グランプリファイナル優勝4回。
全日本選手権優勝6回。10年連続表彰台。
本当に、「浅田真央」の時代だった。
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デビューの頃は覚えていないけれども、
15歳でグランプリファイナルを制した時のことは覚えている。
とんでもない選手がでてきたと思った。
あんなに軽やかに、さらっとトリプルアクセルを決めるなんて。
もう、他の選手とは全く次元が違った。
年齢制限でトリノ五輪には出場できなかったが、
トリノでは荒川静香が金メダル。
4年後のバンクーバーでは、ライバルのキム・ヨナに敗れて銀メダル。
それでも、トリプルアクセルをショート、フリー合わせて3回という記録を
残している。これ、当然、いまだに破られていない。
ってか、トリプルアクセルをまともに跳ぶ女子選手が絶滅危惧種だ。
一時期、トゥクタミシェワが挑戦してたかな?日本のジュニアでも
跳べる選手がいるらしいけど。
コンビネーションのセカンドジャンプでトリプルループを跳べるのも、
非常に貴重。日本人選手では、安藤美姫もやっていたかな?
あと、今の若い子で何人か跳べる選手はいるけれども。
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バンクーバーの時は、プログラムから苦手なルッツとサルコウを外していた。
銀メダルに終わってから、ジャンプを一から見直してルッツとサルコウも跳ぶ。
それが、最終的に「8トリプル」のプログラムになる。
技術的には、誰も追随できてない。(苦笑)
キム・ヨナが芸術点でひっくり返していただけで、
技術点では圧倒的に浅田真央だった。
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ソチ五輪のショートで大失敗の16位。
そこから、あの伝説のフリー。もう、メダルなんてどうでもいい。
浅田真央が、一番輝いていた。
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彼女が復帰せざるを得なかったのは、
おそらくは周りの影響もあると思う。
1シーズン休んだ時、日本女子は苦境に立たされていたから。
ソチ後に鈴木が引退し、浅田は休養。
いきなりトップに立たされた村上はパッとしないし、
安定感のある宮原知子は、華がなかった。(当時、ね。今は違う)
もちろん、本人の希望もあったんだろうけれども、
周りの環境としても、「復帰してほしい」という環境にあったと思う。
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逆に、このタイミングで引退というのも、わかる。
若い選手がたくさん出てきて、もう、浅田真央の人気に頼る必要性が
薄くなってきていたから。
今年、びっくりしたのは世界ジュニア選手権を地上波で放送したこと。
確かに、日本のジュニア選手には強い選手が多いけれども、
ジュニア選手権を放送するなんて、聞いたこともなかった。
おそらく、本田真凛という人気選手が生まれたからだろう。
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エースの宮原は貫禄もついてきた。
若手では、樋口新葉もいるし、三原舞依という新しいスターも生まれた。
そして、ジュニアには本田真凛を筆頭に、次々と新しい顔が生まれている。
特に今の若い選手は、それこそ、浅田真央の演技をみて育った選手たちだ。
ある意味、浅田真央が生み出した選手たちともいえる。
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浅田真央の復帰は、決していい結果には恵まれなかったけれども、
若い選手たちにとって、いい影響を与えたことは間違いないだろう。
そして、この「若い選手たち」は別に日本人に限った話ではない。
ロシアの選手たちだって、伝説の浅田真央と同じリンクで戦えたことは、
貴重な体験だったに違いない。
そうして、次の世代に移っていく。
ロシアでも、プルシェンコの引退が正式に報じられていた。
(もっとも、ソチ後からほとんど引退していたと思うが。)
羽生はプルシェンコにあこがれたスケーターの一人。
プルシェンコから、羽生へ。そして、また次の世代へと受け継がれていく。
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もう、十分がんばったよ。お疲れさま。
ゆっくり休んで、自分のためだけに、生きてほしいと思う。
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