医薬品産業に未来はあるのか?
政府の骨太方針2017で、新たな薬価体系の構築といったことが言われているらしい。
長期収載品の利益に頼るのではなく、革新的な新薬を創出することで
発展していけるように。だってさ。
医薬品産業は成長産業に位置付けられているので、もっと発展してほしい。
でも、医療費の伸びを放置しておく訳にはいかない。
だから、どんどん画期的な新薬を開発しないと、
利益を出せないように薬価をコントロールすることで、
医療費削減と医薬品産業の成長の両方を狙う……。
.
非常に無理がある話だと思う。(苦笑)
医薬品産業の利益は、医療費の伸びと表裏一体なんだけど。
それでいて、成長しろ、でも医療費は抑制しろ。
どんな魔法を使うとそんなことができる?
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可能性があるとすれば、
革新的な新規医薬品を海外に輸出して成長する、
しかないと思う。
C型肝炎の特効薬、ソバルディやハーボニーは、
海外からの輸入だったので、医療費は跳ね上がったけれども、
国内の医薬品産業が成長した……とは言わないだろう。
逆にオプジーボみたいな画期的な抗がん剤は、
海外での売上も大きいだろうから、よかったはずなんだけど、
日本国内の薬価が高すぎたために、医療費がそれ以上に跳ね上がった。(苦笑)
.
つまり、日本国内でハーボニーのような画期的な新薬が開発できれば、
医療費の高騰以上に、国内の医薬品産業が潤うはず……。ってことかな。
.
いや、言うのは簡単だよ。
画期的な新薬を作って儲けろって。
でも、画期的な新薬って、研究費を使えばできるってもんじゃないでしょ。
画期的な新薬を作らなければ成長できないような環境にされて、
画期的な新薬ができなければどうなるの?w
医薬品産業が滅ぶと思うんだが。(苦笑)
.
私は研究者じゃないからわからないんだけど、
画期的な新薬って、「計画的に」できるもんか?
基本的には、宝くじを買い続けるような博打だと思ってるんだけど。
.
画期的な新薬って、いつまで出続けるのかな?
以前も書いたことのあるような気がするんだけど、
この手の新薬は、減っていく一方だと思う。
医薬品産業なんていっても、せいぜい100年程度の歴史しかないけど、
簡単に開発できる新薬は開発されつくしているだろう。
残っているのは、難しい領域のものだけだ。
それも、開発費をかければ必ず開発できるわけでもない。
.
私の意見は単純で、
もはや、医薬品産業を成長産業に位置付けるのが間違ってる、と。
もう、開発費にお金をかけるのをやめて、
その分、浮いたお金で薬価を下げるというのは無理なのかな。
まぁ、そんなことやってて、ハーボニーみたいな外国の新薬に
市場をかっさらわれるのも、悔しいんだけどさ。
医学の進歩、進化が、そのまま医療費に跳ね返ってくる。
いったい、どこまで進化を続ければ気が済むんだ?
医療費を抑えたいなら、進化をやめればいいんだ。
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とはいえ、希少疾病だから薬は必要ない、とも言いにくい。
何より、認知症関連は、本当に画期的な新薬が欲しい。(苦笑)
.
なんか、根本的な解決法が必要だと思う。
それも、日本だけではなくて国際的な枠組みで。
医療費の高騰に悩まされているのは、日本だけの話じゃないだろうから。
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コメント
はじめまして。
経済オタク的なコメントになりますが、
そもそも「医療費が高騰しているから抑える必要がある」と言うのは、財務省の繰り広げる偽情報、いわゆるプロパガンダになります。
と言うのも、日本政府はこの3年で約300兆円のお札を刷っています。(金融の量的緩和)
しかし、それらは未だに使われずに、銀行の金庫に放置されています。(超低金利状態 = 金あまり)
つまり、今の日本政府に財政問題は存在せず、刷った300兆円を金庫に仕舞って眺めているだけという状態です。
医療費は毎年1兆円ペースで増加していきますが、15年後には減少に転じます。(団塊の方がお亡くなりになって行くので)
その際に掛かるコストは15年間で130兆円程度。既に存在する300兆円を考えれば、軽くお釣りが来ます。
同時に、「国債は借金」と言うフェイクニュースが、大手マスコミで平然と流されている現実があります。
国債は一般人が考える借金とは全く別のシステムなのです。(この場合、地方自治体の公債は普通の借金なので、マスコミはその辺を巧みに利用して、一般人に誤解を広めて行っています)
そもそも、
日本に流通する紙幣は、日本銀行が刷らせる分けですが、刷った紙幣を民間にタダで配る事は出来ません。その場合、日本銀行は民間銀行が保有している国債を買い取る形で、紙幣を市場に供給します。
つまり、日本国債を全て返済すると逆の循環が発生し、日本国内から紙幣が消滅する事を意味します。
日本国債とは、【国内の紙幣流通量をコントロールすためのシステム】なのです。だから「国債900兆円で大変だ! 返済して減らすんだ!」などと言う話は、端から大間違いになります。
紙幣流通量は、GDP規模に比例して増やしていかなければならないので、必然的に経済成長すればするほど、国債残高を増やす必要があります。
逆説的に、日本国債残高900兆円と言うのは、日本が今までに発展してきた功績と言えます。
以上の事から、本来、日本政府は医療費削減をする必要性はありません。
では、なぜそんな事をするのか?
と言う所まで話すと、更に長くなるのでこの辺で終わります。
最後に、デフレ不景気とは消費(需要)不足が原因です。
つまり、政府が節約すればするほど、デフレは悪化する。
そして、国債残高は減らしてはいけない。
さらに、刷った300兆円が金庫に放置されている。
この事実を日本国民が理解すれば、日本はあっという間に好景気を取り戻すでしょう。
ポール・クルーグマンが「さっさと不況を終わらせろ」と書籍の題名にしたように、デフレ不景気は簡単に終わらせる事が出来ます。(90年前の世界恐慌当時に、既に高橋財政として実証ずみだからです)
でも、日本国民が理解していないと、グローバル企業に良い様に利用されて、「新たな薬価体系の構築」とか言う話になるのです。
長々と失礼しました。
投稿: 辰政 | 2017-06-17 16:41
>辰政さん
コメントありがとうございます。
経済については、正直わかりません。
人によっていうことが違い過ぎです。
専門家ですらそうなんですら、
私のような素人に判断できることではないんでしょう。
投稿: kitten | 2017-06-19 00:02
>kitten さん
少し長く書き過ぎました。すみません。
本来は、素人にでも分かる簡単な話なのです。
「日銀が300兆円を刷った」
この事実だけで、日本は医療費増加なんか気にする必要すらない程、莫大な財源が手に入った事を意味すると言う話です。
この事を一人でも多くの人に知ってもらう事が、日本の医療を守る事にもつながるから、書き込みさせてもらいました。
失礼しました。
投稿: 辰政 | 2017-06-20 19:30
>辰政さん
その簡単な話が、どうして経済学者全体のコンセンサスを
得られないのでしょうね?(苦笑)
その辺が経済学の難しいところだと思います。
科学や医学なら、そんな基礎レベルの話で議論になることは
まずありえません。
でも、経済学だとそんなレベルの話でも、わかりません。
辰政さんのおっしゃる説も、私はどこが間違ってるのか
わかりませんが、全力で否定する人がいるのはわかります。
でも、全力で否定する人が正しいかどうかもわかりません。
難しいですね。
投稿: kitten | 2017-06-24 00:15
>科学や医学なら、
>そんな基礎レベルの話で議論になることはまずありえません。
全くその通りなのでしょう。
経済学の厄介な所は、経済学者そのものが利益団体に属している、
もしくは企業後援の影響が非常に大きい所にあります。
属している団体の利益目標に引っ張られた形の学説を広める事を
求められてしまうからです。
つまり、
経済学の目標を【国家繁栄=GDP拡大】とした場合と、
【企業利益の最大化】とした場合では、別々の正解が存在します。
それが、経済学者の間で意見が割れる原因の一つです。
(企業(ミクロ)の利益は、国家国民(マクロ)の利益とは反発します)
(合成の誤謬と言われます)
ちなみに、私の書き込みは
現安倍政権の内閣官房参与・【藤井 聡】京都大学教授の講演内容が
そのまま元になっています。
日本が「世界最大の純資産国(お金持ち国家)」であり、「日銀が300兆円も刷った」と言う事実を知って、「日本は貧乏な国でお金がない」と言う誤解に疑問を持ってもらえたらと思います。
その誤解が解けるだけで、日本はずっといい国になれる。
少なくとも、新しい薬価体型の構築なんて無謀をする必要がなくなります。
投稿: 辰政 | 2017-06-24 23:33