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2020年2月

PCR検査


 新型コロナウイルス問題。
PCR検査が問題になっているので、専門家の片隅の端っこに生息する人間として
思うところを書いてみる。

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 テレビの報道、特に一部のワイドショーがかなりひどい情報を流したらしいが、
ネット上ではまともな記事も散見されるので、あえて私が書く必要は薄いかも。

「新型コロナ、全日本人が知っておきたい大騒動の論点」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200229-00070701-gendaibiz-bus_all

以下、一部引用。

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ウイルスに感染したかどうかを検査するには、PCR検査という検査が必要で、
インフルエンザのように病院で簡易キットによる検査ができない。
このことが「検査難民」を生み、さらに不安が増大しているという。

(中略)

「検査を受けても新型コロナウイルスは特効薬もないわけですし、
 基本的に自宅で安静、重篤化したら病院に行くっていうわけで、
 検査結果がどうであれ対応は変わらないわけですよね」

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 引用終わり。

正直なところ、これだけで終わりでいい。
検査しても治療の役には立たないので、
検査する必要はない。

なんで検査したいの?

 検査する目的は、感染拡大を防ぐためだ。
でも、ある程度感染が拡大してしまっている現状では、
すべての患者さんを見つける必要性は薄くなってきている。
もう、全員を発見するフェーズは終わってる。

 現役のドクターでも見当違いのことを言う人がいるのに驚く。
そりゃまぁ、患者さんが検査してくれ、と泣いてくるから、
検査してあげたいという気持ちはわからなくはないけどね。

 重症者の早期発見っていうけど、そりゃ新型コロナに限らんよ。
重い肺炎は、新型コロナじゃなきゃ放置していいのか?違うだろ。
肺炎は日本人の死因第5位だよ。コロナじゃなくても要注意。

 結局、コロナウイルスだけ特別扱いする必要ない。
コロナなら、感染対策に気を付ける?
そりゃ、コロナじゃなくても必要なんだって。
なんで、そこ手を抜こうとするかな。

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 すぐにコロナと分かっても、現状で効果の確認できている治療法はない。
いくつか臨床試験があるけど、すべて実験段階で、実用段階ではない。
(この辺の話もそのうち書く)

 前のエントリに書いたように、風邪っぽかったら家にいろ、休め。

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 検査体制が整ってないのは何故か。
PCR検査ってそんなに一般的な検査じゃないから。
設備も機械も人員も少ない。

 それを、すぐに増やせと言われて増やす方法もない。
民間に任せろという人はいるけれども、
民間がそこまで動いてくれるとも思わないんだけどね。

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 だって、民間の検査会社だって、設備はほかで使っている訳で、
誰も新型コロナ専用の機械とか人員を持っている訳ではない。
仮に、PCRの機械1台で1日50件(たぶん、もっと少ない)
検査できたとして、10000件さばくには200台必要。
そんな規模の発注しても、すぐに納品されるとも思えない。

必要なのは機械だけじゃなくて、きちんと感染対策を施せる
設備も必要だし、技術者も必要。
それも、不眠不休で検査し続けるわけにもいかない。

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 そもそも、このご時世で「余ってる機械」とか、
「余っている人員」とか民間にいる訳ないだろう。
みんな、ほかの仕事持ってるに決まってる。

 相当なお金もかかるけど、
お金かけてもどうにもならない問題があるんだ。

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 次に、お金の問題。
だいたい、検査一回に人件費込みで1万円くらいかかるとしよう。
(まだ、正式には決まってないけどだいたいそのくらい。)

 100万人が検査したら、100億円かかるね。
しかも、感染者の場合検査は1回では終わらないよ?
国の持ち出しになるだろうけど、それだって元は税金だ。
100億のお金あれば、ほかにできることたくさんあるよ?

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 もちろん、それでも国民の命を救うために必要なら、
100億だって惜しくない。
でもね、治療の役に立たないのよ?これ。
こんなにコストパフォーマンスの悪い話はない。

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 だから、軽症者は家で寝ていてください、ってなるんだ。

 来週から保険適応されるという話はあるけれども、
現実問題としてそんなにたくさん検査できる体制になってないんだから、
対象者はかなり絞られると予想する。
 そうしないと、民間の検査会社もすぐパンクして終わる。

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 新型コロナかもしれないのに、何もせず家にいるのは無理って声もあるけど、
その程度の症状の人間を全員検査するのは、もっと無理なんだわ。

 もちろん、医療機関のキャパシティーの問題もあるけれども、
コスパで考えても、軽症者は自宅療養してもらわないと困る。

 

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風邪をひいたら休みましょう


 ニュースより。

新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。
正直、どこまで広がるか予想もつかない。
このまま、抑え込めるのかも知れないし、
日本中に広まってしまうのかもしれない。

 今回は、広まってしまう場合で考えてみる。

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 新型コロナウイルスの検査は、RT-PCRで行われている。
それなりの時間、手間、技術が必要なため、なかなか検査が進まない。
広まってしまった場合、検査が全く追いつかなくなる可能性が高い。

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 そもそも、新型コロナの検査は、治療上の意味はほとんどない。
新型コロナとわかったところで、今のところ特効薬はないので。
対症療法を続けるだけならば、それは通常の肺炎と同じだ。

 ただ、感染対策を考える上で検査が必要になってくる。
検査しないと、ただの風邪、肺炎と区別がつかない。

 例えば、「新型コロナウイルスに感染したら出社停止」というルールを作っても、
検査が追いつかないと全く機能しない。感染したかどうかわからないので。

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 結果として、もし蔓延した場合の有効な対策は、

風邪症状があれば、自宅で休みましょう

 となる。無理して出勤しちゃだめ。感染が広がってしまう。
軽症なら自宅待機。重症になりそうなら病院にかかろう。

まぁ、街を閉鎖してしまうよりはマシじゃないかな、と思うんだけど。
日本人にこの対策が実施できるだろうか?

 そこまで感染が広がらなければいいんだけどね。

 

 

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