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2020年3月

志村けん、死去


 日本を代表するコメディアン、志村けんさんが亡くなった。
コロナウイルス肺炎のため。70歳。

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 私や、私よりも少し上の世代。今の40代、50代の方なら、
「8時だよ全員集合」を見ていた世代だろう。

 日本の芸能史に残る偉大な人だったと思う。

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 喫煙歴があったとはいえ、こんなに早くなくなってしまうとは。
もちろん、そうなる可能性は認識していたけれども。
この病気の怖さを見せつけられた。

 コロナとの長い戦いは、まだ始まったばかり。

 志村さんの、弔い合戦だ。
先人の死を無駄にしてはいけない。

 

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東京都が外出自粛要請


 歴史が動き始めた。

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3月23日 感染者16人
3月24日 感染者17人

 これは、東京都の新規感染者の数字。
この時点で、かなり怪しいものを感じていた。

3月25日 感染者41人

 戦慄の数字である。

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 私は、ちょうど帰宅途中、スマホで情報を受け取った。
東京都で感染者40人以上。震えた。
私の直感では、「これは、始まったな
ここまで、日本では比較的おとなしかったが、
新型コロナウイルスの脅威が、いよいよ目の前に現れた。

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 小池都知事は、その日のうちに会見を開いた。
私は、すぐさま緊急事態宣言が出るのではないかと思ったが、違った。

不要不急の外出を控えて。夜間の外出を控えて。

 え、そんなもんでいいの?
感染爆発 重大局面」とかいたパネルを持っていた。
なるほど、危機感はある訳か。
でも、まだロックアウトや、緊急事態までではない、と。
まぁ、専門家がそう言ってるのでそのまま伝えただけだろうけど。

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 東京都は、とにかくスイッチは入れた訳だ。
でも、すぐに効果は現れてこない

 今、見つかっている感染者は、一週間から二週間前に感染している人たち。
まだ、一斉休校、自粛要請の期間中の感染である。

 潜伏期間が5日として、4日間発熱があると検査する、とすると、
感染してから、検査で引っかかるまで一週間から二週間のタイムラグがある。

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 私の予想。
おそらく、今日から一週間は、東京都の数字は積みあがっていく。
下手すれば、一日の感染者数は三桁に到達するだろう
それに加えて、先週末の三連休の人出がある。

 専門家会議は「引き続き警戒を」呼び掛けたが、
リスクを見極めればイベントしてもよい、全国一斉休校も解除、となり
コロナウイルスに対する警戒が緩まっていた。
 ここで、感染爆発が起こっていないと言えるだろうか?

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 で、この辺の数字が出てくるのが来週末くらいになるだろう
昨日の会見による外出自粛要請の効果が見えてくるまでに2週間かかる。
それまでにどこまで数字が積みあがっているか。恐ろしい話だ。

 下手すれば、東京の検査能力を超える可能性もあるな。
東京だけでは、たぶん1日1000件の検査もできないと思う。
そういう意味では、1日400人から500人くらいの陽性者が出てくれば、
それはもう日本では「飽和」状態だ。

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 あとはもう、どこで緊急事態宣言を出すか、という話である。
早ければ、来週の頭に出てもおかしくない。
どうせ緊急事態宣言出すのなら、早い方が効果は高い。
(むしろ、即座に発動させてもよかったくらいだ。)

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 最悪のケースでは、新学期開始直前になりそうな気がする。
学校が無事に始まる可能性は、5割もないように感じる。

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 それが、今の私の相場観。
もちろん、何の根拠もないので、外れる可能性もある。
というか、外れて欲しい。本当に。

 そして、もちろん東京がこうなった以上、影響は日本全国に及ぶだろう。
少し前から怪しかった大阪や兵庫も例外ではない。

 ここからの2週間が、正念場の中の正念場になるだろう。

 

 

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東京オリンピック、延期


 新型コロナウイルスのパンデミックにより、
東京オリンピックの延期が決定した。
延期時期は、来年の夏まで(のどこか)。
これから調整されるんだろうけど、状況によってできるかどうかは不明。

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 戦争で中止になったことはあったけど、感染症で延期ってのは史上初。
日ごとに状況が変わっていき、もうどうしようもないよね、という状態になった。
実際、今年の夏に実施ってのは無理だ。
 たとえ日本が落ち着いていたとしても、世界が落ち着いているとは思えないし
落ち着いた日本に、また世界中からウイルスが持ち込まれても困る。
それよりは、終息したあとに派手にやった方がいいだろう。

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 最初は、5月くらいまで結論を伸ばす、みたいな話だったけれども、
それがどんどん短くなった。(苦笑)
早くても4月に決めるかな、と思ったいたが、3月中の決着となった。

 ほんの一週間前まで、安倍さんは「完全な形で実施する」って言ってたんだが。w
でも、一週間前とは状況が全く変わってるからしょうがない。

 ただ、欧米のパニックに巻き込まれているような気がしないでもない。
ヨーロッパもアメリカも、今は絶賛ウイルス拡大中で都市封鎖(ロックアウト)中。
あの科学重視のイギリスでさえも、学校休校を決めざるを得なかった。
 最初は、専門家の意見から「全国規模の休校は必要ない」と言っていたのに。
ただ、イギリスも感染拡大してロックアウト状態になっているので、
そんな中で学校だけ開ける意味はないから、結果的に見れば当然だけど。

 でも、みんながパニックになっているのは間違いないと思う。

オリンピック延期って、時間的にはもう少し待ってみてもよかったと思う。
ただ、時間かけても結論はほぼ変わらないと思うので、
みんなの不満を抑えるために、決めちゃった、ってとこだろう。

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 最初、中国だけのころはオリンピックがどうとかいう話はなかった。
日本にクルーズ船が来たあたりから、どうなの?みたいな話が出てきて、
オリンピックのために検査絞ってるんじゃないかとか言われ始めた。
(完全に的外れだと思うが)

 結果的には東アジア(中国、韓国、日本)の方がまだマシで、
欧米が炎上してしまったため、とうていできる状況ではなくなった、と。
もう封じ込めは不可能だし、感染ピークを遅らせていく対策をとるので、
ピークが夏にずれ込む可能性も高い。

 それまでにワクチンが開発できてれば何とかなっただろうけど、
そのスピードで世界中の人にワクチンって無理だ。

 オリンピックは、ワクチンをみんなが接種できるようになってからかな
年内は無理だろう。やっぱり来年の夏が濃厚。

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 本当、いろいろなところに課題が山積みになるけれども、
とにかく延期して実施。それに向けて、調整していくしかないな。

もう、今年は、「コロナイヤー」として、すべてのスポーツイベント中止して、
来年以降の予定を順繰りにしていけばどう?

 日本のプロ野球は4月下旬に開幕する予定だけど、どうだろうね。
オリンピックの間、休む必要なくなったのなら、まだ予定組み替えられない?

 東北では、春の甲子園(センバツ)出場予定だってチームが大会するらしい。
東北はまだまだ落ち着いているから。

 もし日本がうまいこと夏までに収束したら、
同じように収束してる国だけ集めて別の大会とかやってみたらどうだろう?
会場は開いてるんだし。

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 でも、この文章も1週間後に読んだら、
「何をのんきなことを書いてるんだ」って思われる状況になってるかも。
本当に日々、状況が変わるから怖いな。

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まだ、希望はある

 金曜日に、専門家会議から報告があった。

「まだ、ぎりぎり持ちこたえている」ようだ。

 クラスター対策班が予想以上の効果をあげていて、
感染者数の伸びを抑えている。

「感染者数が右肩上がりじゃないか」という意見もあるが、
累積の数字なんだから右肩上がりで当たり前だ。
問題になっているのは一日当たりの増加数。

 増加数が倍々になっていくようだと、感染拡大は止まらない。
でも、現状そこまではなっていない。
じわじわと増えているけれども、抑え込めていると言ってよい。

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 私も分かっているようで、分かっていなかった。
COVID-19は、インフルエンザとは違うということだ。

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 私が安部さんの一斉休校を批判したのは、
いや、COVID-19は学校が感染の重要舞台じゃないだろう、と。
安部さんは、過去のインフルエンザの対策から休校にしたけれど、
COVID-19は子供から大人への感染例があまり見られない。
そして、子供は非常に軽症で済むことが分かっている。
なので、休校措置そのものに、あまり意味はない。

 ただ、政府の姿勢を示したことで、
自粛ムードを盛り上げて感染拡大を防いだの事実だろう。

 実際、専門家会議も、
「一斉休校の効果は分からない」と言っていた。
効果はあったかも知れないし、なかったかも知れない。

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 実のところ私は、かなり早い段階で封じ込めを諦めていた。
潜伏期間が長いこと。無症状でも感染させる恐れのあること。
患者の大半が軽症者であること。
この三つが揃えば、もう蔓延は避けられないのではないか、と。

 患者数のピークを抑える方向にシフトすべきだと思っていた。

 でも、COVID-19はインフルエンザとは違う。

インフルエンザなら、ワクチンなしで蔓延を防ぐのは困難だ。
ただCOVID-19は8割の感染者は誰も感染させない。
残りの2割の感染者が多数の感染を引き起こす。(クラスター)

 このクラスター感染は、インフルでは認められない。
COVID-19の特色だ。
クラスターを発生させなければ、感染力はインフルより低い。

 それなら、抑え込める可能性が出てくるんだ。

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 そこで必要になってくるのが、「検査」だ。

 私が検査を軽視していたのは、
「どうせ蔓延して検査能力を超えるから、無意味だろう」
という思い込みからだった。

 封じ込められる可能性があるのなら、検査は極めて重要だ。
もちろん、海外渡航者や濃厚接触者が優先になる。
検査は、治療の役には立たないが、
感染の広がりを確認することはできる。

 ただ、検査体制を整えるのが難しい。
他国はどうやって検査してるんだろうね。
イタリアやアメリカでは、一日で数千人の感染が報告されてる。
これ、日本では無理だ。(苦笑)

 日本では、頑張っても1日5千件検査できるかどうか、というところ。
仮に陽性率が5割としても、2500人までしか発見できない。

 本気で蔓延してくれば、陽性率も上がってくるから
もっと効率よくなるんだろうけど。
でも、幸いなことに日本はまだそこまでではない。

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 まだ希望はあるのなら、まだ正念場は続く。
気を緩める訳にはいかないんだろう。
むしろ、欧米のようにあきらめてしまう方が楽かも知れないが。
でも、日本政府はまだあきらめていないようだ。

 まぁ、中国も封じ込めた(と言っている)し、韓国も踏ん張っている。
ここで日本だけアウトブレイク起こすわけにはいかないだろうよ。w

 

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新型コロナとイブプロフェン


 WHOから、COVID-19にはイブプロフェンの服用を避けるように勧告がでた。

新型肺炎にはイブプロフェンの服用を避けて

以下、一部引用

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この仮説についてスイス・ジュネーブで報道陣から質問されたWHOの
クリスチャン・リンドマイアー(Christian Lindmeier)報道官は、
WHOの専門家らが検討中であり後日指針を出すが、「当面は、
自己投薬するならイブプロフェンではなくパラセタモール(アセトアミノフェン)
の服用を勧める。これは重要なことだ」と述べた。

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 引用終わり。

もともとはフランス発の情報なんだけど、
イブプロフェン服用例で悪化したケースが多かったらしい。
まだ検討中とのことなので、確定ではない。

 医療従事者の感覚としては、
ホントなの?でもまぁ、あり得ない話ではないかな。くらい。
詳細情報待ち、といったところ。

 ただし、「アセトアミノフェンの服用を勧める」は、強く同意する
よくわからないけど、アセトアミノフェンの方が無難だろう、
というのは多くの医療従事者が同意してくれると思う。

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 市販の風邪薬でも、イブプロフェン配合のものは多い。
商品名は多すぎてあげられないので、気になる人はお店で聞いてみよう。

 ただ、今のところ絶対にダメってほどの話ではないので、
「風邪かと思ってイブプロフェンのんじゃった、どうしよう!」
という場合は、次から控えてもらえればよいと思う。
もちろん、呼吸器症状が悪化したら病院へ。

 ただ、アスピリン喘息なんかの可能性もあるのでなんとも言えないけどね。

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 さて、イブプロフェンはとりあえず避けるとして、
ロキソプロフェン(ロキソニン)はどうなの?

 というのは、気になるところ。

 私の感覚では、「避ける方が無難」だと思う。
ロキソプロフェンもイブプロフェンと同じプロピオン酸系の鎮痛解熱薬。
イブプロフェンがダメなら、ロキソプロフェンもやめとく方がいい。
アセトアミノフェンの方が安全性が高いのは間違いない。

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 ロキソプロフェンは、WHOからの勧告とか出ないの?と思う人もいるだろう。
まず、間違いなく出ないと思われる。

 ロキソプロフェンって、日本では繁用されてるけど世界的には知られてない。
ほとんど、日本でしか使われていない薬だからね。

kurieditsさんが昔に書いてるな。

日本人ばかり大量消費する市販薬3
 ロキソニンことロキソプロフェン

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 あと、イブプロフェン配合の風邪薬は多いけれども、
ロキソプロフェン配合の風邪薬は存在しないからね。
ただの風邪薬には入ってないから、それほど気にする必要はない。

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 じゃぁ、リウマチとか整形外科領域で、医療用のロキソプロフェンをずっと服用してる人が、
風邪にかかったらどうしたらよいだろう?

 この辺は、医師の判断が必要になると思う。
医師が必要だと判断するのなら、服用続けてもらう方がよいだろう。
(これは、イブプロフェンでも同じこと)

 アセトアミノフェンにした方が安全だけど、鎮痛効果は劣るからなぁ。
大量に服用すれば効果はあがるけど、今度は肝障害みたいな副作用もでるし。
ケースバイケースになるので、判断が難しくなる。

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 イブプロフェン、ロキソプロフェンは避けた方が無難。
ただの風邪症状なら、アセトアミノフェンの方が安全、ってことで。

 

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一斉休校の是非


 安倍首相が、全国の小、中、高等学校に一斉に休校を要請してから2週間。
いきなり降ってわいた休みに喜んでいる子供たちもいるが、
その陰で、困っている親も多いと思う。

 私はそれほど困っていないけど、子供たちの面倒を見切れないのでちょっと不満。
せめて9時には起きて欲しい。

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 この一斉休校は、安倍さんが専門家の意見も聞かず、独断で行った。
評判は、最悪だ。せめて文科省に大丈夫か相談しろよ。
科学的根拠を聞かれても、子供を守るための一点張り。

 安倍さんはインフルエンザを念頭において休校を決めたらしいが、
コロナウイルスとインフルエンザは違う。
インフルエンザは学校が感染の温床になることが分かっているが、
コロナウイルスではそうではない。

 子供の場合、軽症者が圧倒的に多いことも分かっているし、
大人から子供に感染したケースはあるけれども、
子供から大人に感染したケースはほとんど見られない。

 なので、私は即座にこれは安倍さんの勇み足だと判断した。

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 2週間経って、状況を見てみる。
当初の予想以上に、休校の効果が大きいことが分かってきた
学校での感染を抑える、という以上に大きいのが、社会の自粛ムードだ。

 もともと、政府は2/24から、大規模イベントの自粛を要請してきた。
でも、その時点ではみんな「どうするよ?」って感じで
お互いの動きを見張りあってる感じがあった。

 ところが、安倍さんが「全国一斉休校」をぶちあげたもんだから、
「学校を全部休みにしなきゃいけないレベルの非常事態だ」
という認識が、日本全国に広まったんだ。

 なら、仕方ない、休むか、という流れになる。
自粛ムードを盛り上げる?のに果たした役割は非常に大きいと思う。

 少なくとも、感染拡大に対して一定以上の効果があったのは間違いない。

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 それでも、私はあの時点での一斉休校は誤りだと思っている。

 効果が少ないからじゃないよ。感染拡大に対する効果は十分にある。
では、感染拡大を広げないためなら、何やってもいいのか?
国は常にバランスをとる必要があるはずだ。

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 自粛ムードが広まった結果、経済は一気に冷え込んだ。
観光業はもちろん、飲食店もやばい。
ライブを中止せざるを得なかったアーティストの損失も大きい。

 経済への損失が大きすぎやしないか?

 かりに、今回の措置で1000人の命が救われたとしよう。
その陰で、100万人が職を失って、1000人が首くくってたら、どうよ?

 命は地球より重いというけれども、
経済を回さないことによって失われる命もあるんだよ。
なんでもかんでもやっていいもんじゃない。

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 そりゃ、武漢のような状態になればやむをえないと思う。
あるいは、今のイタリアのような状態でも、休校やむなしだろう。
でも、まだ日本はその状態じゃないよね?

 結局のところ、今回の休校がよかったのかどうかは、
COVID-19の病原性がどの程度のものか、によると思う。

 もし、そこまで恐れるほどのことはなかったね、っていうことなら、
経済の損失の方が、メリットをはるかに上回ることになる。
つまり、政治的失策だ。

 本当に致死率2%程度の病気なら、今回の措置もやむを得ない。
前の新型インフルの時は、病原性に対して行った処置が過大だったので、
後になってから批判された。

 今回も、そこまでやるほどの病原性だという証拠はない。
少なくとも、安倍さんが決断した時点では、なかった。
どうしてそんなことがおこったのか、後から検証できるように、
しっかり記録に残しておいてもらいたい。

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 その後、各国もあいついで休校にしていることから、
いや、日本の方針は間違っていなかったんだ、っていう人もいるけど。

 みんなで間違えば怖くないってか?(苦笑)
いかにも、日本人的な発想だと思う。

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 中国、武漢がひどいことになったのは知っていたが、
中国は色々特殊だから、よくわからないところが多かった。
つまり、自分の国はそうはならないんじゃないか、と期待していた。

 ところが、イタリアが武漢に近いレベルで崩壊しつつある。
それを見て、各国の対応が一気に変わったと思う。
カナダとかアメリカとか、一種パニックになっていないか?

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 香港やマカオ、台湾では、このウイルスは抑え込めている。
中国も新規の発症者は激減しているし、韓国もそうだ。
東アジアは、日本も含めて落ち着いてきているんじゃないだろうか。

 日本も、最初期にクラスターが発生した和歌山は抑え込んだし
非常事態宣言を出した北海道も、それほど広がっていない
今は大阪のライブハウスがひどいことになっているけれども。(苦笑)
でもあれって、自粛要請の前の話だからね。

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 まだ、よくわかっていないことが多いが、
恐れすぎても経済への悪影響がひどい。
株式市場は、パニック状態になっているな。(苦笑)

 とにかく、個々人がしっかり感染対策をすること。
何がいけなくて、何が問題ないのか、はっきりさせる。
必要以上に自粛するのは、経済のためによくないよ。

 

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WHOがパンデミック宣言


 WHOが、ついにパンデミックを宣言した。

 ちょっと遅かったかな、という気もするけど。
世界的に広がったから、かな。
中国だけでひどいことになってる分には、世界的な危機ではなかったんだろう。

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 あと、遅かったのは11年前の新型インフルの時が早すぎたから、かも。
あの時は病原性が大したことないのにパンデミック宣言して、
いや、そんなに大したことなかったやん、ってWHOが責められた。

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 日本としては、パンデミックと言われたところで何も変わらない。
っつーか、先進国にはあんまり意味がないと思われる。
WHOは、基本的に途上国相手にしている機関かなと思ってる。

 日本みたいな国は、別にWHOなくても大丈夫。
発展途上国は、WHOの助けが必要なんだろう。
WHOのパンデミック宣言は、
「マジ危ないから、ちゃんと準備しろよ!」っていう
途上国に向けてのメッセージなんだろう。

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 それよりもびっくりしてるのが、各国のスポーツイベントの中止だ。
アメリカでは、テニスのインディアンウェルズでの大会が中止。
これ、グランドスラムに次ぐ規模の大会なんだけど。
あっさり中止にした。

 カナダで行われる予定だった、フィギュアスケートの世界選手権も中止。
カナダもまだまだ感染者は少ないよ?
無観客でやるっていう選択肢はなかったのかな。
 芸術系の種目で無観客ってのは無理があるのかな。

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 一番びっくりしたのは、NBAのシーズン途中終了だ。
アメリカの4大スポーツの一角。
選手に感染者が出てしまったのが非常に痛かった。

 そのチームはもちろん隔離しなきゃいけないし、
そのチームと対戦したチームも濃厚接触者になるので隔離。
っていう風にやっていくと、10チームくらい隔離が必要に。。
それじゃ、リーグを維持できないという判断なんだろう。

 他のスポーツはどうするのかな?MLBはどうする?

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 と、ここまで中止が広まれば日本での春の高校野球中止もやむなし、
っていう流れなのかなぁ。無観客試合でもよかった気もするけど。
屋外のスポーツだし、感染の危険はそれほどないような気もするが。

 でも、宿舎で集団感染とか起こしたら棄権するしかないか。
そう考えると、やむをえないのかも知れない。

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 スポーツ(見るのが)大好きな私としては、ちょっとどころでなく悲しい。
もちろん、甲子園を夢見ていた球児たちも悔しいだろうけど。

 でも、本丸が残っている。東京オリンピックだ。
これはもう、何としてでも開催したい。しなきゃいけない。
あと4ヶ月で可能なのか?

 たぶん、今の状況では無理だと思う。
状況ってのは、感染の広がりだけの話ではない。
今は特に、みんなが新型コロナウイルスを必要以上に恐れている。
それは、未知のウイルスだからしょうがない。

 4ヶ月で終息していることはないと思うけど、
みんなが慣れてしまって、騒ぐのに疲れてしまってたら、
開催できるんじゃないかな。
COVID-19が、日常に溶け込んでしまうパターンだ。

 スポーツに限らず、イベントの中止は経済にとっても痛手だから、
早々何でもかんでも中止にすればいいってもんでもない。

 ただ、イタリアの状況は予想以上にひどい。
韓国は頑張って抑え込めているように見えるけれども。
これ、同じ病気とは思えないほど差があるな。

 どうして、イタリアでこんなひどいことになってるのか。
そこが見えてくれば、もっと対策も考えられると思う。

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東日本大震災と新型コロナ


 今日は、3.11.東日本大震災からまる9年。

新型コロナ一色だった報道も、さすがに今日だけは震災復興の話もある。

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 こういう大災害の時に思うこと。
安易な政府批判は慎むべきだ、ということ。

 政府を批判したいがために、騒いでいる人たちがいる。
東日本大震災の時もいたし、今回も。

 こういう科学的な話に、
政治的立場を持ち込むのやめてくれないか?

 私は、安倍さんが嫌いだと公言してきた人間である。
でも、今回の日本政府の対応がそこまで間違っているとは思っていない。
そもそも、日本政府のやることを外務省から厚労省、文科省まで含めて、
すべて安倍さんのせいにするのは無理があるだろう。
たいていは、役人、官僚が考えているはずなんだから。

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 例えば、中国人の入国規制。
もっと早期にやっていれば、こんなことにはならなかったという人がいる。

たいていの場合、単に中国が嫌いな人だよね。(苦笑)
普段から中国好きだけど、今回は入国規制すべきだった、
なんて人間いないんじゃないかな?

 私は、春節前のあの時点での入国拒否は政治的に難しかったと思う。
もちろん、経済上の問題もあるし、外交上の問題もあるからだ。
国は、全体のバランスを取らなきゃいけない。
中国嫌いな人の主張ばっかり聞くわけにはいかないんだ。

 私は、水際対策は時間稼ぎに過ぎないと思っている。
COVID-19みたいな病気が防ぎきれる訳がない。

 逆に、今になってから韓国や中国の入国規制するのは
疫学的にみてあんまり意味はない。すでに国内に広がっているんだから。
あれは、政治的なパフォーマンスじゃないかな。
ウイルスを政治に利用するな、と言いたい。

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 クルーズ船、ダイヤモンドプリンセスの問題。
あれは、結果から見る限り明らかに、日本政府の検疫は失敗している。
いくら私でも、あの結果を擁護することはできない。

 でもね、じゃあどうすればよかったの?
最初から日本への接舷を認めなければよかった?そりゃ、非人道的だよ。
早々に上陸させて、しっかり隔離すべきだった?どこにそんな場所がある。

 最初から、非常に難しいミッションだったんだ。
そりゃ、成功すれば称賛されるべきだけど、失敗することもあるわな。

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 安倍さんが全国一斉休校を呼び掛けた時、
安倍さん支持の連中は、
「これを批判するのは、安倍のすることを脊髄反射で批判してるだけ」
と盛り上がっていた。

 今まで後手後手だと言われていた安倍さん(日本政府)が、
初めて先手打ったのがうれしかったんだろう。

 私は、逆に目いっぱい批判するけどね。
むしろ、今までの日本政府の対応はそれほど間違っていなかったけれども、
全国一斉休校は専門家の意見も聞かない安倍さんの独断で、勇み足だ。

 安倍さんだから批判しているわけではなくて、
政府の対応、それぞれを是々非々で対応すべきだと言っている。
これをできない人が多すぎる。

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 そう考えると、日本にもアメリカのCDCみたいな組織が必要なのかも知れない。
政府からある程度独立した機関で、あくまで科学的に対応する機関が望ましい。

 あんなクルーズ船の問題で政府の対応を批判するのはお角違いだ。

 野党も、あほな批判ばっかりしていないでちゃんと政府に協力しろ。
COVID-19を政争の具にするんじゃないよ。

 自民党は東日本大震災を政争の具にしたじゃないかって?

相手にやられたから、自分もやり返すってレベル低いと思わないか??
こういう、未曽有の大災害に政治的思惑を絡めるとろくなことがない。

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正念場はいつ終わる?


 新型コロナ関連の話。

 国は、2月24日に
ここからの1、2週間が、感染拡大するかどうかの正念場
として、スポーツやイベントの自粛を要請した。
その後、学校の一斉休校に踏み切った。

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 今日で、ちょうど2週間になるけれども、どんなもんだろうか?

 専門家会議は、
爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえている
という見解らしい。

 ただ、実際の対策の効果はまだわからない。
最大で2週間の潜伏期間がある。
感染者は相次いでいるけれども、2週間より前に感染した人も多いし。
ここからの1、2週間で、対策の効果がわかってくるだろう

.

 で、この正念場はいつまで続くんだ?という話。

2月24日の段階で、2週間頑張れば収束に向かう、と考えた人は
(少なくとも専門家では)ほとんどいなかったんじゃないかな。

爆発的に感染が拡大して、医療崩壊をおこすのが怖かったが、
今のところ、そうはなっていないと言える。

 つまり、最善の道は進まなかったが、最悪でもない、と。
医療崩壊しつつあるイタリアや韓国に比べると、はるかにマシ。
まぁ、ある意味一番想定されていた状況になっている訳だが、

 こっからどうするの?

.

 もう、「正念場は終わったからイベント自粛やめまーす!」
っていうのは、あまりにも無責任じゃないかな。

 かといって、「もうしばらく耐えてください!」ってのも、
いや、正念場はいつまで続くの?って話になる。
そりゃ、感染対策は必要だけど、イベント自粛や休校により、
経済は激しく落ち込んでいる。

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 私の結論。

とりあえず、もう2週間くらいは正念場続くと思うよ。

今までの2週間の結果がどうなっているかを解析するのに、
もう2週間くらいはかかるだろうから。
それが実証されないうちには動けないだろう。

 つまり、正念場は最初から2週間で終わる訳はなかったってこと。

.

 ここから問題になってくるのは、感染者増加のペース。
ここで増加のペースが鈍ってくれれば、ある程度光が見えてきたと言える。
増加のペースがさらに勢いを増すようなら、危険だ。

 日本の検査体制の不備はあるにせよ、
韓国、イタリア、イランはあっという間に日本の感染者数を抜き去った。
ドイツ、フランス、アメリカもそれに続いている。
数字だけみると、日本はよく持ちこたえている方だろう。

.

 ここからの2週間で問題になるのは、
どうやって経済活動を再開させるか」という問題だ。
例えば、プロ野球やJリーグは開幕延期、中断しているが、
いつから再開させるのか。

 学校の休校はいつまで続けるのか。イベント自粛はいつまで?

 そりゃ、感染対策だけを考えるならば、収束するまで自粛するのが一番よい。
でも、経済の落ち込みの方が、社会的ダメージが大きくならないか?

 これは、COVID-19の病原性の大きさにより変わる。
もし、インフル程度の毒性しかないのであれば、今回の措置は明らかにやり過ぎ。

かつてのH5N1新型インフル級の病原性なら、きわめて妥当である。

.

 そういえば、10年前の新型インフルの時も、
もともと強毒性を想定して対策を練っていたために、
かなりやり過ぎてしまった。
 実際は、季節性インフルよりも毒性は弱かったんだが。

 何事も、全体のバランスが大事である。
公衆衛生と経済状況がトレードオフの関係なので、
最適解を導き出すことが必要になる。
 ここは、オールオアナッシングでやってはいけない。

 少しずつ緩和していくソフトランディングが望ましいと思う。

 

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相場

 久しくブログを休んでいたので、しっかりとした記事がなかなか書けない。

以前は、ちゃんと一次資料まで読み込んで時間かけてやってたのに、
そこまでする力がなくなってきている。

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 なので、私が新型コロナウイルスのニュースをみて、どう感じているか。
どれくらいありそうなことなのか、今後どうなるのか。ということを、
全く、私の感覚だけで書いていこうと思っている。

 あくまで私の印象であって、根拠は何もない。(苦笑)
あとで間違えてて、外れたって文句言われても困るけど。

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 たとえば、このウイルスは人工的に作られたものだ、という説がある。
この説は、どの程度確からしいと言えるのか。

 ネット上で調べると、(調べ方にもよるが)肯定する人間も否定する人間も多い。
どれくらい確からしい説なのか。

 私の感覚では、「ありえんだろ、常識的に考えて」
まぁ99.9%ありえない話だ。(この数字に根拠はない)
こんなやばいもんを人工で作るのは難しいし、作る理由もない。

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 例えば、今の時点で日本の感染者数は331人だ(クルーズ船含まず)
実際の感染者は何人くらいいると思うか?

 私のカンでは、4桁~5桁。数千人から数万人といったところ。
千人もいないなんてことは極めてありえないと思う。

 検査していない人も多いし、それ以前に無症状の人も多い。
数十万、とまではいかないと思う。それならもっと目に見える形ででてきそう。

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 もちろん、ただのカンに過ぎないが、私のカンは一般人よりは当たる。
根拠を書くのは難しいが、ベースとしての疫学や感染症の知識からくる、
「こんなもんだろう」という「相場」だ。

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 しかし、わからないのがこの感染力だ。
中国は無理やりにでも収束にむかっている感じ。
他の国でも、完全に抑え込んでるところもあるのに、
一方で爆発的に広まっている国もある。

 これだけ感染力のあるウイルスを簡単に封じ込められるもんかね?と思うし、
逆に封じ込められるのなら、感染力大したことなくない?

 検査する方針による違いも大きいんだろうけど、
いまいち全体像がぼやけて見えるんだよなぁ。
そのうち、もう少し明らかになってくるといいんだけど。

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シクレソニドの期待度


 昨日、新型コロナに対する医薬品候補について書いた。

 大雑把にまとめると、臨床試験の成功確率は
多めに見積もっても20%~30%なので、
期待しすぎてもよくない、という話だった。

 ところが、昨日の夜、もう一つの候補医薬品のニュースが入ってきた。
それが、シクレソニド吸入薬だ。(製品名:オルベスコ)

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「COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し
 改善した3例」(日本感染症学会の症例報告)

 気管支喘息の治療薬であるシクレソニドを使用して、
症状が改善した3例についての報告である。

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 これも簡単にまとめると、

シクレソニドは(なぜか)コロナウイルスに対する抗ウイルス活性をもつ。
シクレソニド以外の吸入ステロイドには、抗ウイルス活性は確認されていない。

この抗ウイルス活性は、試験管内の試験では抗HIV薬のロピナビルと同等以上

 まだ3例だけであり、はっきりしたことはわからないが、
どんどん試していって、実績を集めて欲しい。

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 という話。
この3例に関しては、シクレソニド投与後に症状が改善されているが、
実際に効いたのかどうかは、まだハッキリとは分からない。
たまたま、症状が改善するタイミングに切り替えただけかも。

 実際は、他の治療法やプラセボと比べてみて、
どの程度の有効性があるのかを検討していくことになるだろう。

 基本、「効けば儲けもの」レベルの話に変わりはない。
使い物になる確率は、やや多めにみて30%くらいが相場だろうか。

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 しかし、私は他の抗インフルエンザ薬や、抗HIV薬よりも、
むしろ有望ではないか、という感触を持っている。
抗ウイルス活性は薄くても、吸入ステロイド自体に抗炎症作用があるのが一つ。

 何よりも、他の候補薬に比べて(喘息に対する)使用実績が多いため、
副作用があらかた分かっていることに加え、
そもそも副作用が非常に少ない薬であることが重要である。

 仮に、効果が他の薬と同等程度の弱さだったとしても、
使用実績の少ない、副作用の多い薬よりも
副作用が少ないことが分かっている薬の方が、
圧倒的に使いやすいからだ。

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 自分自身で考えてみてもそう。
軽症ならば、そもそも薬を使おうとは思わない。
熱が続き、症状が重いときに、薬を使うことを考える。

1.使用実績はほぼ0、副作用の読めない抗インフル薬。
2.使用実績少ない。副作用のある抗HIV薬。
3.使用実績多い、副作用の少ない喘息の薬。

 とりあえず試すのなら、「3」になると思わないか?
実際、私も疑いがあれば試してみようと思うし。
シクレソニドを使ったことはないが、私はもともと喘息なので、
吸入ステロイドの使用経験はある。

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 で、今日、たまたま新しい患者さんにシクレソニド吸入薬が処方された。
うちの薬局に在庫がなかったので、卸業者に発注したのだが、

供給制限がかかってます、しばらく待ってください」と言われた。

 どうも、朝のワイドショーでこの薬が取り上げられたらしい。
それを見た医療機関からの買い占めを警戒しての、メーカー側の処置だ。
いや、こんな時に買い占めとかやめてよ……。
 まぁ、処方せん受け付けちゃってるから、無理言って入れてもらったけど。

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 これは書くのがちょっと怖いんだけれども、正直に書く。

 医師が、COVID-19を疑った時に、シクレソニドを処方することは、
たとえコロナウイルス感染が確定していなくても、不可能ではない。

 もともと喘息の人であれば、全く問題なく処方できるし、
そうでなくても、保険病名で「喘息」と診断してしまえば、
シクレソニド処方しても保険通るんじゃないか?

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 そう、メーカーが制限かけたのは、それがあるからだ。
治療薬候補になっている抗インフル薬は、特殊な薬だからまともに流通していない。
抗HIV薬も流通が少ないし、コロナ疑いでは処方できない。
無理やり処方するためには、HIVだ、っていう診断が必要になる。

 でも、喘息の薬なら、処方しようと思えば処方できてしまう。
値段もそんなに高くないし、大した副作用もないので、ハードルが低いんだ。
つまり、医師がCOVID-19の診断なしで、シクレソニドを乱発する可能性は0ではない。

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 まだまだ、期待しすぎはよくないよ。
効果がないかも知れない、というか、その可能性の方が高いくらいだ。
現時点で怪しい症状があるからといって、医師にシクレソニド処方をお願いすべきではない。

 ただ、比較的重症でPCR検査できない状態であれば……どうだろうか?

 まぁ、一つの可能性として、少しだけ希望をもって続報を待っていて欲しい。

 

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ブログを再開します。(新型コロナ対策)


 しばらく、開店休業状態を続けていたブログですが、
新型コロナウイルス(COVID-19)に対する情報提供のため
ブログを再開します。

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 私程度の、専門家の片隅の風上にこそっといるだけの人間でも、
無駄に不安をあおるマスコミに対して、ほんのわずかでも力になれれば。

カテゴリ「新型コロナウイルス」に記事を追加していきます。

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 いろんな情報が乱れ飛んでいて、何が正しいのかわからない、
という声をよく聞きます。

 実際に、わかっていないことも多いんですが、
医療従事者、専門家であればわかることもあります。

 特にマスコミに多いのが、定説から離れた異説を主張する学者を
大きく取り上げてしまうこと、です。

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 例えば、「コロナウイルスは空気感染する」という説。
もちろん、その疑いはありますし、そう主張する方もいます。

 しかし、ほとんどの研究者はそんなに重く考えていません。
もし空気感染するのなら、もっと爆発的に広がっているはずです。
現実はそうなっていません。

 もし、空気感染するとしても、非常に限定的ではないか。
そのように推測できますし、そう考えている研究者が多いと思います。

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 それなのに、マスコミは「空気感染が確認されている」と報道します。
もちろん、そう主張する研究結果があるのは事実なのですが、
メインストリームにはなっていないです。

 なんでしょう。
99:1くらいの確率の話を、50:50くらいで報道してしまうことが
ままあったりするんです。

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 COVID-19に関するニュース、情報を、医療従事者の立場で、
かみ砕いて説明していきたいと思います。
正しくはないかも知れませんが、「相場感」を伝えていけたらな、と
思っています。

 コロナウイルスが落ち着くまで、更新頻度を上げます。
少なくとも、週1回は更新します。

 落ち着いたら、また休眠する予定です。

 

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新型コロナに対する医薬品候補


 引き続き、新型コロナに関する話題。

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 もともと、コロナウイルスに対する薬は存在していない。
SARSやMERSはもちろん、普通の風邪としてのコロナウイルスも
(インフルエンザに対するタミフルのような)特効薬はない。

 でも、重症化して命を落とすこともあるため、
なにがしかの対抗策は欲しいところ。

予防としてはワクチンなんだけど、これが必要になるかどうかも不明。
SARSもMERSも、ワクチンって話は出てこなかったよね。

ワクチン開発は、早くても半年くらいはかかる。
半年後の状況を想像してみよう。
全世界のほとんどの人がかかっていた場合、ワクチンは必要ない。
逆に、封じ込めにうまく成功した場合も、ワクチンは不要である。

 どっちの可能性もそれなりに高いので、ワクチン開発は博打だ。
もちろん、治療薬開発も同じように博打なんだが。

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 通常、医薬品の開発には早くても10年かかる。
今から開発を始めたら10年後だ。
いくら何でも、10年も待てないだろう。

 そこで、今ある薬のうちで、効くのがないかな?と探しているわけだ。
うまくいけば、それなりに在庫はあるし、開発期間を短くできる。

 でも、そうそううまい話はないだろうな
薬の効き方(作用機序)を考えると効果があっても不思議ではないが、
実際に効果があるかどうかはまた別物。

「理論上効くはず」の薬が実際は効果がないなんて事例は、
吐いて捨てるほどあるんだ。

 一つ、ネット上に情報があったので紹介しておく。

臨床試験から承認までの成功率は9.6%!?

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 今回の場合、フェーズ1はクリアしてると考えてよいので、
フェーズ2とフェーズ3の問題になる。

フェーズ2の成功率は30.7%。フェーズ3の突破率は58.1%。

単純に掛け合わせると、17.8%。

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 つまり、既存の薬が新型コロナに効果がある確率は、
多めに見積もっても20%~30%程度だと言うことがわかる。

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 でも、悠長にフェーズ3の試験なんて待ってられないから、
フェーズ2だけでOKが出れば承認強行するかも知れない。
それでいいかどうかの問題もある。

 薬には、リスクとベネフィットのバランスがある。
どの程度のリスクをかけられるかは、その薬の効果によるんだ。

 例えば、抗がん剤であればある程度の副作用は許容される。
それよりも延命効果の方が大事だとされているからだ。

 では、既存薬の新型コロナに対する効果のほどは?

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 ここで問題になるのは、そもそも8割の人が軽症だということ。
無症状のキャリアまで考えると、この割合はもっと高くなる。
ほとんどの人が「ただの風邪」程度の可能性が高い。

 ただの風邪に対して、リスクのわかんない薬使うのか?
それって、薬害の方が病気の害よりも大きくならないか?

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 以前からの「早期発見、早期検査を!」という訴えは、
効果のある抗ウイルス薬があることが前提である。
薬がないのであれば、早期検査してもできることはないからだ。

 今のところ、抗ウイルス薬の候補はまだ試験すら終わってない。
よって、現時点で検査しても治療には何の意味もないんだ。

 まぁ、コロナ陽性と分かれば、臨床試験に参加できる可能性はある。

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 でも、臨床試験って、全員に薬のませないよ?
「対照実験」って言ってね、薬のませない人と比べる必要があるんだ。

 つまり、臨床試験に参加しても、抗ウイルス薬がのめるとは限らない。
あくまで実験台であって、治療ではない。
(もちろん、抗ウイルス薬以外の治療はしてくれるけど。)

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 患者さんの数が増えてきたので、いよいよ臨床試験が始まる。
でも、あまり期待しすぎないでいて欲しい。
もともと、コロナウイルス用に開発された薬じゃないんだから。

「効けば儲けもの」くらいの感覚だと思うぞ。


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