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2020年12月

2020年の読書まとめ。


 今年も終わり。
2020年は、人生で一番本を読んだ年になった。
読書メーターで記録を残しているけれども、
1年間で402冊読んでる。

 小説に関してはtop20を上げたが、
今年読んだ作家さんのベスト10.

1位 赤川次郎 32冊
2位 香月美夜 14冊
3位 小路幸也 11冊
4位 額賀澪  10冊
4位 綾崎隼  10冊
4位 矢崎在美 10冊
7位 近藤史恵 9冊
8位 野崎まど 7冊
9位 柚木麻子 6冊
10位 古宮九時、友井羊、ユゴー、越谷オサム、早見和馬
   似鳥鶏、ほしおさなえ、辻村深月、三浦しをん 5冊

 赤川さんは、1年かけて「杉原爽香シリーズ」を読み通したため。
小路さんも、ほぼ全て「東京バンドワゴン」この2作は追いついた。
どちらも、毎年1冊ずつ刊行されるシリーズもの。

 額賀さんは今年、一番好きになった作家さん。
矢崎さんは全て「ぶたぶた」。近藤さんは「サクリファイス」シリーズ他。
野崎さんは、新装版の「アムリタ」から「2」までで6冊。

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 さて、今年は小説以外で100冊以上読んでいる。
ここが、去年までとは大きく違うところ。

 きっかけになったのは、斉藤孝さんの
読書する人だけがたどり着ける場所

 それまでは、小説が9割以上だったけれども、
少し反省して、学術書や新書の割合を増やした。

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 もう一つのきっかけは、芦田愛菜ちゃん。
まなの本棚
(当時)中学生にして、私より読んでる??
少なくとも、古典の領域では負けてるよ。これはいかん。

 という訳で、教養として古典も読むようになった。
最近、新渡戸稲造の「武士道」を初めて読んだけど、
衝撃を受けた。さすが(旧)五千円札の人だ。

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 あと一つ生活に変化があって、
利用できる図書館の数が増えた。図書館カード3枚使い。
特に、大阪市立図書館を使えるのが大きい。
かなりマニアックな専門書でもあるから。

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 さて、小説はこないだやったので、
小説以外で今年読んだ本を紹介していく。
去年はそんなに読んでなかったので周回遅れなところもあるが。

FUCTFULLNESS
知識のアップデートの必要性を書いた本。
まだまだ問題は山積しているが、確実によくなっている。

ルポ 人は科学が苦手
科学を伝えるためには、「信頼」と「共感」が必要。
知識は「心」を通って「頭」に届く。

事実はなぜ人の意見を変えられないのか
ネガティブな情報を好み、自説にこだわる人達に、
どうすれば事実を伝えられるのか。

僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー
PC(ポリティカルコレクトネス)の概念。
日本でも、子供の方が大人より優れていると思う。

僕は偽薬を売ることにした
プラセボを売る、プラセボ製薬創業者の話。
プラセボ効果を複素数で論じるのが面白かった。

健康第一は間違っている
「死なないための医療」だけでなく、
「死ぬことを前提とした医療」への転換を。

「危機と人類()」
シャレド・ダイアモンド氏の大作。
人類は危機をどう乗り越えてきたのか。

マンガでわかる!子供のアトピー性皮膚炎のケア
アトピーに関する最新の話。保湿超大事。
マンガってわかりやすいよね。

小児科医ママが伝えたいこと 子育てはだいたいで大丈夫!
世の育児情報に振り回され過ぎないように。
だいたいで大丈夫!(ただし保湿を除く)

学力の経済学
教育にもきちんとしたエビデンスが必要。
医学と同じように教育でもRCTを!

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 これ、まとめるの大変だった。
月に1回くらいは読書記事書いておく方がよさそう。
今年読んだ本を検索するだけで一苦労だった。

「本を読める」というのも、才能の一つだと思う。
読めない人に「読め」って言っても無理だからね。
幸い、うちの子ども達は二人とも本を読める子に育っている。

………そりゃ、父親が常に本読んでりゃね。w

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#読めよ薬剤師2020


 黒の薬剤師、るるーしゅさんのtwitter企画。
「#読めよ薬剤師2020」

【2020読めよ薬剤師企画】
《目的》2020年発売のオススメ書籍を他の薬剤師と共有する。
《日時》2020年12月30日(水)21時〜
《方法》
#読めよ薬剤師2020
    のハッシュタグでオススメの書籍(2020年発売されたもの)
    3冊
をツイート(自分のブログリンクでも可)
《罰ゲーム》なし

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 先に、書籍を紹介する。

新型コロナからいのちを守れ!」(西浦博・川端裕人)

 今年は新型コロナを外すわけにいかないだろう。
岩田先生の本や、峰先生の本もよかったけれども、
一番、面白かったのは「8割おじさん」西浦さんのこれ。

 そう、この本は、「面白い」んだよ。

 学術的な話はほとんどなくて、
西浦先生が、理論疫学者としてどう考えたか。
何が見えていたか。どのように伝えたか。その結果どうなったか。
 その辺が、聞き手の川端さんを通じてうまく表現されている。

 私は、この本は西浦先生の失敗の記録だと思った。
今回は、何もかも初めての挑戦だったので、うまくいかない部分もあった。
次回以降に、もっとうまくやるために出した、反省の本だ。

 私の今年の読書は、
正しいことを正しく伝えるにはどうすればよいか
が、一つの大きなテーマになっていた。
 これは、薬剤師としても避けることのできない話。
正論だけで、患者さんを行動変容させることは不可能だ。

 西浦先生は、国民全体の行動変容を促した。

 後だしじゃんけんみたいな批判も多かったけれども、
西浦先生の言ったことは、ほぼ全て正しい。
あとは、どのように伝えればよかったのか。
それを今後に備えて考える必要があるね。

 個人的には、尾身先生がアベノマスクにブチ切れた話が面白かった。w

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 次。

歴史を変えた10の薬」(トーマス・ヘイガー)

 タイトル通り、歴史を変えるほどのインパクトのあった医薬品が10個。
(そのうち、オピオイドだけで3つもあるが。
 現代社会にも深く爪痕を残しているからだろう。)

 現代となっては当たり前に使われている薬だけど、
それって、実は奇跡的にすごい発見なんだよ、と。

 特に印象深かったのは、クロルプロマジン。
抗精神病薬は、今まで向こうの世界に行ってしまって
帰ってこられなかった人たちをこっちの世界に引き戻した。
 今となっては副作用が多くてほぼ使われないけど、
発見当初は、本当に夢のような薬だったんだな、と思った。

 医薬品の「すごさ」を体感できる本。

 著者のトーマス・ヘイガーはあまり知られていないと思うけど、
私は以前に「大気を変える錬金術」という本を読んでいて、
すごくお気に入りだった。アンモニア合成のハーバーとボッシュの話。

大気を変える錬金術」(2012.10.8)

 あ、リンクはamazonじゃなくて私の過去記事ね。
その人が薬について書いたんだから、もう読むしかないでしょ、と。

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 最後。

ボクはやっと認知症のことがわかった」(長谷川和夫)

 長谷川式でおなじみ、認知症研究の第一人者、長谷川先生が、
自身が認知症になってみてわかったことを書いた本。

 NHKスペシャルで放送されたから知ってる人も多いと思うけど、
著書で読んでみた。なるほどなぁ。

 私も、今後は親の介護にあたることがあると思う。
また、いずれは私も認知症になっていくんだろう。
そうなった時に、是非読んでいて欲しい、読んでもらいたい本だ。

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 実は、この本だけレギュレーション違反である。
発売日が、2019/12/27で、今年じゃない。(苦笑)
いやでも、この本を去年紹介するのは無理だろうよ。

 他にも色々と読んだけど、
この本は認知症に関わる全ての人が読んだ方がよいと思った。
一般向けで非常に読みやすいので、おススメ。

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 この3冊。西浦先生の本はさすがに発売間もないから無理だけど、
他の2作は、KindleUnlimitedで、電子書籍で格安で読むことが可能だ。
(amazonプライムでも可能かも?)
 月額980円だけど、今まで登録したことがなければ、1ヶ月無料だし。
そうでなくても、稀に「2ヶ月99円!」みたいな格安セールもあるので、
読んでみたいけど、お金がな、という人にはぜひおすすめしたい。

 もちろん、図書館で予約して借りるという手もあるけど。
西浦先生の本だけは、人気あるだろうから買わなきゃ無理だろう。

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 という訳で、今年のおススメ三冊。
フィクションを入れられなかったのは痛恨の極みである。w
専門書は他の薬剤師の方が紹介してくれるだろうという
安心感があるんだけどね。

 フィクション、特に小説の分野は私が一番強いだろう、と。
(年間読書量約400冊、うち小説300冊)
ただ、今年発売という縛りが厳しいんだよな。
シリーズものの最新刊だけ紹介するのも変だし。

 来年もこの企画があれば、フィクションをぶっこんでやる。
そのためには、買い集めなきゃいけないよなぁ……。

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 さて、最後に企画に参加した経緯。

 るるーしゅさんとは、このブログがアクティブだったころに
よく絡んでた時以来かな。
 実は、私もtwitterはかなり前からやってたんだけど、
完全に読書アカウントなので、薬剤師との絡みはほとんどなかった。
実際、薬剤師はほとんどフォローしていない。

 きっかけになったのは児島先生(Fizz-DI)で、
薬剤師のための医療情報検索テクニック」を読んで。
(この本も、発売日は昨年末なので範囲外だ。)

 おそらく児島先生の意図とは全く異なるが、
英語が非常に苦手な私にとって、論文検索はハードルが高い。
結果として、この本の感想は、

「よく分かってる人に聞くのが一番早いんじゃね?」となった。w
まぁ、職場では私が一番よくわかってる人にあたるんだが。

 もっと言うと、
児島先生をtwitterでフォローしておけばそれでよくね?

 という訳で、今までの慣習を破り児島先生をフォローした。
実際、この先生は情報発信に優れているし、
そうでないつぶやきも面白い。

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 でも、そうするとTLに他の薬剤師の方も出てくる訳で。
そんな中で、るるーしゅさんの企画を見つけてしまった。

 もう、情報発信に関して言うと私は並以下になっているけど、
フィクション含む読書量だけなら、薬剤師でもかなり上位だろう。
という訳で、参加してみることにした。
 もともと、twitterも読書アカウントやし。

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 私は、職場でも色々本を勧めるけれども、
専門書を勧めることはほとんどなかったりする。
患者さんでも読めるような一般書の方が、
へっぽこ薬剤師には読みやすくて勉強になることが多いからね。

 さて、来年も頑張って本を読み続けよう!

 

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全日本フィギュア


 スポーツより。

 フィギュアスケートの全日本選手権が行われていた。
私はフィギュア好きだったから、このブログがアクティブな頃は
毎年のように記事を書いていた。

 一旦休止状態になってるのでスルーしてもよかったんだけど、
今年の全日本はマジすごかったので書いておく。

 コロナで開催すら危ぶまれたけれども、
この規模のスポーツ大会は観客を制限したうえで開催するのが、
今のところの流れらしい。

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 男子。

 羽生が、また伝説を作った。
いくつ伝説作ったら気が済むんだろう、この神様は。

 ロックなショートもよかったけれど、
フリーの「天と地と」はまさに、圧巻としか言いようがない。

 どんなジャンプを跳んでも、GOEがガンガンつく。
GOEってのは、芸術点ではないからそうそう爆盛とかできないんやけど、
それだけ難しいことをいとも簡単にやってのけている。

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 羽生は、助走をしない。いらない。
いや、ふつうはありえないんだけれどもね。
何年か前のシーズンで、4Tのあとシークエンスで3Aとかやってたな。

 今回は、3A-2Tの直後に3Lo。
ルール的には、ほとんど意味のない助走省略だ。
別に、これやったからボーナス点が付く訳ではない。
ただ単に「やってみたかったから」やっただけじゃないかな。w
でも、羽生以外にやろうとする人間はいないだろう。

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 特に圧巻だったのが、後半のコンビネーション。
4T-3Tに、4T-1Eu-3S。
昔はこのコンビネーションを3Aからやってて、
それが羽生の得点源、と私は書いていたこともある。

 いともあっさりと後半にこんなの突っ込んでくるんだから。
もう、羽生にとっての4回転トーループって、
そういう位置づけなんだなぁ、と思った。
失敗するジャンプじゃないんだ、っていう。

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 ほぼノーミスの演技で今季の世界最高をたたき出した。
いやこれ、シーズン初戦よ?最初から伝説作っちゃったよ。
インパクトとしては、かつてのNHK杯の「SEIMEI」に近いなぁ。
4回転ルッツは封印、というかいらないんだろう。
質の良い4回転のGOEで勝負するんだから、もう手が付けられないな。

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 2位には、宇野くん。
全日本5連覇を狙ったけれど、あの羽生相手じゃ無理だわ。
昨シーズン最初はコーチ不在で、ジャンプが全然決まってなかったけど、
ランビエルがついてから復活の気配があった。

 そして、今期。うん、これは完全復活と言っていいんじゃないかな。
ジャンプの内容としては、得意の4Fに、4Sもいれて、4Tを2本の構成。
途中で4Tが3Tになってしまったけど、そこからさらに4Tを2本入れて
リカバリーしてきた。これもすごいよ。

 終わった後の笑顔がとても印象的だったなぁ。
羽生が伝説を作り、宇野が復活した。

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 3位に、鍵山くん。

 今年のNHK杯を制したといっても、上位二人不在だった。
4回転3本の構成は、上位二人にやや劣るけど、あの二人は人外だから。w

 特筆すべきは、3Lz-3Loのコンビネーション。
ロシア女子で飛ぶ選手がいるけど、男子では珍しいんじゃないかな。
これが使えるとコンビネーションのバリエーションがあってよい。

 お父さんも全日本チャンピオンだったらしいけど、知らないや。
まだ高校生だから、今後が楽しみ。日本のエースになりそうだ。
顔がちょっと地味なのがかわいそうだけど、まだ成長するよね。

 点数的にも、鍵山くんまでいれて上位3人が突出していた。
これ、しばらくほかの選手が入る余地はなさそうだな。
再来年のオリンピックもこの3人で決まりそうだ。

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 さて、女子。
男子は始まる前から、(宇野が万全なら)羽生、宇野、鍵山で決まりだと思っていた。

 女子は、紀平、坂本までは当確だけど、3位争いが激しくて誰が来るかな?
と思ってみていた。

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 1位に紀平。

 あのフリーには度肝抜かれた。4Sを完璧に決めて降りちゃったよ。
日本女子では、ジュニアの頃の安藤美姫以来の快挙。
世界的に見ても、女子の4回転ジャンパーの「最高齢記録」を作ったらしい。
そりゃ、ロシアは若い子しかジャンプ跳べないからね。

 そのあとも3A。見た目は完璧だったが回転不足取られた。
3F-1Eu-3S。高難度のコンビネーションを放り込んでくる。

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 後でテレビで言ってたけど、
実はプログラムで滑る方向を間違えてしまって、
修正するのに四苦八苦していたらしい。w

 思ったより点が出なかったのはその辺が影響したのかな?

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 にしても、後半に3F-3T。とんでもないプログラムだ。
最後こそ2Aにしてるけど、それだけしんどいってことだろうな。
まだ構成を上げる余地はあるけど、いやいやいや、難しいだろう。

 日本のシニアで、4回転ジャンパーが出てきた。
これでやっと、ロシアに対抗できる。

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 2位は、坂本。

 坂本の演技もものすごかった。2シーズン目のマトリックス。
高難度のジャンプこそないものの、加点が大きいよいジャンプ。
安定感が増したよなぁ。

 さらに、プログラム自体の完成度が高い。
最後のコレオでジャッジめがけて足を上げるんだけど、
ジャッジが3人ほどのけぞったわ。(近いよ!)

 そのうち、けが人でるんじゃなかろうか。w

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 坂本のすごいところは、トリプルアクセルも4回転もなしで、
150点取ってくるところだ。紀平と5点しか離れてない。

 5点差ってことは、ジャンプのミス一つでひっくり返るよ?
つまり、紀平が4Sで転倒していたら坂本が勝っていた可能性が高い。

 このジャンプ構成では、紀平ほどミスのリスク高くない。
それでいて150点出るんやからなぁ。この選手もすごい選手だ。

 いずれ3Aに挑戦するのかも知れないけれども、
今の方がバランスよいかも知れない。

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 熾烈な3番手争いを制したのは、実績のある宮原だった。
個人的には三原推しだったんだけど、
宮原のフリーもすごかったわ。

 宮原は、ジャンプは相変わらず。
回転不足との闘いが続いている。(今回はなかったけど)
サイズが小さいもあると思うが、GOEがそんなに出ない。
その分、ミスをしない安定感があるんだけど。

 今回のプログラムは「トスカ」
これが、本当にはまっていて、よかった。
芸術面では、若い子二人を圧倒してるんじゃないかな。

 昔は、ミスをしないジャンプが取りえって感じだったけど、
大人になって円熟味を増してきたなぁと思う。
世界選手権代表は宮原で間違いないわ。

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 さて、最後にアイスダンス。

 注目のペア、村本、高橋は2位に入った。
高橋大輔は、アイスダンス1年目だよね?1年で2位ってマジすごい。
まだまだトップは遠いけれども、これだけの成長力があれば、
来年はひょっとしたらひょっとするかも??

 ただ、日本人男子はどうしてもアイスダンス弱いよね。
ペアもそうだけれども、使う筋肉が違うと思う。
高橋の挑戦は、尊敬に値するなぁ。

 小松原のペアがもっと上位に入って五輪枠2取ってくれないか?w
壁が果てしなく厚いから厳しいだろうけど。

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 もっとも、世界選手権が行われる保証はないけど。
フィギュアは、今年ほぼ国際大会行われていない。
他の海外勢がどんな感じか、直接対決で見てみたいな。

 

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2020年おすすめランキングTop20

 読書記録

 今年は、たぶん私の人生で一番本を読んだ年になったと思う。
通勤時間で読めるのもあるが、図書館を3館使っていることと、
あと、緊急事態宣言で本を買う習慣ができたことも大きいかも。

 2016年から、年間に読んだ小説のおすすめ20冊をアップしている。
少し早いけど、今年もやってみる。

 2020年おすすめランキング20

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20位 「小説王」(早見和馬)
   早見さんは何を読んでも面白い。
   この作品は、小説に命をかける作家と編集者の物語

19位 「サイレントブレス」(南杏子)
   現役の医師である南さんが書く、終末期医療の本。
   人はいかにして死ぬべきか、という医療の根本をゆるがす物語

18位 「落日」(湊かなえ)
   過去の一家殺人事件を追う、二人の女性の話
   湊さんにしては、すっきりした読後感だった。

17位 「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎)
   「ぼくは、そうは思わない」という言葉が強烈に残った。
   伊坂さんが描く、小学生を主人公とした連作短編集。

16位 「ドミノin上海」(恩田陸)
   ドミノの続編だけど、徹底してエンタメに走った恩田作品。
   そんなアホな、の展開の連続に笑える。

15位 「革命前夜」(須賀しのぶ)
   ベルリンの壁崩壊寸前の東ドイツが舞台。
   ドイツにおける音楽の強さがひしひしと伝わる重厚な作品。

14位 「陽だまりの彼女」(越谷オサム)
   越谷さんの出世作。ありがちな恋愛小説だけど
   最後にひっくり返される。でも、幸せな気持ちになれる。

13位 「本好きの下剋上 第4部-IX」(香月美夜)
   第4部のラストは泣ける。娘が給付金で既刊全部購入した。
   アニメ第3期に、第4部コミカライズスタートと、まだ止まらない。

12位 「サクリファイス」(近藤史恵)
   日本ではマイナーな自転車のロードレースをテーマにした小説。
   でもミステリ。ツールドフランス見てみたくなった。

11位 「目を見て話せない」(似鳥鶏)
   コミュ障探偵、藤村君の物語。
   コミュ障あるあるが、めっちゃ共感できて楽しい。

10位 「君が夏を走らせる」(瀬尾まいこ)
   いきなりベビーシッターを任された不良高校生の話。
   とにかく、鈴香がかわいい。ブンブー!

9位 「活版印刷三日月堂」(ほしおさなえ)
   活版印刷をテーマにした連作短編の形の長編。
   これも、実体験してみたくなった。よいお話。

8位 「イマジン?」(有川ひろ)
   有川ひろ(浩から改名)さんの久々の新作長編。
   これぞ有川ワールド、堪能した。

7位 「盤上に君はもういない」(綾崎隼)
   帯に「全員号泣」ととんでもないアオリがついてる。
   綾崎さん渾身の、将棋小説。

6位 「二百十番館にようこそ」(加納朋子)
   親に捨てられたニートがネット環境だけある孤島で奮闘する。
   架空のネトゲが出てくるけど、やってみたいなぁ。

5位 「流浪の月」(凪良ゆう)
   2020年本屋大賞受賞作。幼女と誘拐犯?の話。
   「事実と真実は違う」の言葉が印象的。

4位 「ツナグ 想い人の心得」(辻村深月)
   死者と一度だけ会うことができる「ツナグ」の続編。
   前作から成長したキャラ達に会えた。

3位 「タスキメシ 箱根」(額賀澪)
   駅伝×食事小説の「タスキメシ」の続編。駅伝面白い!
   額賀さんは、東京五輪に二度裏切られた稀有な作家さん。

2位 「レッドスワンの死闘」(綾崎隼)
   待ち望んだレッドスワンセカンドシーズン最終巻。
   ファンタジスタ優雅の活躍と、衝撃のラストを堪能した。

1位 「東京すみっこごはん レシピノートは永遠に」(成田名璃子)
   成田さんのほっこりお食事小説、完結編。
   みんな、成長して大きくなって、巣立っていく。

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 今年は、シリーズものや完結編が多かった。
過去5年の自分のおススメを見直してみたが、
「東京すみっこごはん」と「レッドスワンサーガ」は、ほぼ毎年入っていた。w

 すみっこごはんは、ドラマ化を切に希望する。
一度企画されて撮影までいったんだけど、諸事情でぽしゃったままになっている。

 あとは、今年の読書まとめと、
るるーしゅさんの企画「#読めよ薬剤師2020」を書く予定。

 

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アビガンが承認されなかった理由


 先日、富士フイルム、富山化学の抗ウイルス薬「アビガン」の
新型コロナに対する処方について、承認審査が行われた。

結果、今回は承認されず、決着は来年以降の持ち越しとなった。

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 ニュースをみてまず思ったのは、「やっぱりな」と。
早期承認を目指した5月の時点で、劇的な効果がないのはわかっていたし。
効果はあったとしても限定的なものだと思う。

 で、ワクチンが出てくるめどが立ってるのなら、
効果が怪しくて副作用が明確に分かってる薬なんか、
そうそう承認される訳ないよね、と。

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 でも、承認不可の理由として報道されたのは、

「臨床試験が単盲検試験で行われていたため、結果に疑義が生じた」と。

ふぁ?

 なんで単盲検でやったの?
新薬の治験なんて二重盲検でやらなきゃダメに決まってるやん。
案の定、「データの信ぴょう性に疑義が残る」とか言われてしまってる。

 これに対して、アビガン信者が「利権だ」とか「政府の陰謀だ」とか騒いでる。
いやいや、単盲検でデータ信用できないなら、承認する方がおかしいよ。
むしろ、承認した方が科学的な知見よりも政治的圧力を優先したように見えて、
後々に禍根を残すことになるだろう。

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 まぁ、素人さんは治験がどういうものかわからんだろうから、
(プラセボが必要なことも理解できない人が、治験についてしゃべってもね)
仕方ないっちゃ仕方ないか。

 でも、個人的には気になった。
なぜ、単盲検で試験したの?」と。
こんなん、常識外れもいいところだ。そこで、ちょっと調べてみたところ、
思いのほか、闇が深かったので書いておく。

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 単盲検を採用した理由は、はっきりとは分からないけれども、
(治療に当たる医師が難色を示した、という未確認情報あり)
分かっているのは、
 単盲検の試験で行うことは、厚生労働省も知っていた
ということ。

 それでいて、別に富士フイルムを注意した訳ではない。
むしろ、企業と一緒になって治験デザインをやったようだ。
つまり、「アビガンの単盲検試験は、国公認のものだった」

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 いやいやいや、それやったら単盲検試験であることを理由にして
承認拒否したらあかんやろ。

 あんたら(国)がそれでええって言うたんちゃうんか?
いざ承認って時に、やっぱりあかんってどういうことやねん?
ほんまに。

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 まぁ、海外の第三相試験(これは二重盲検)の結果などで
承認される道は残されている。
というか、国内でも二重盲検で試験すればよかったのに

 単盲検でも十分な成績を出せれば承認されたんだろうけど、
おそらく、そうではなかったんだろうなぁ。
承認するかどうか微妙なラインだったから、
それを理由にして拒否されたんだろう。

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 で、なぜ単盲検で試験したか、なんだけど。

 これには、安倍さん(というか当時の首相官邸)が深くかかわっていると思う。
安倍さんはアビガンの早期承認を目指すという、政治家にあるまじき発言をした。
それは、政治が決めていい話じゃない。

 でも、当時の安倍さんの力をもってすれば。
厚労省が「総理の意向」を基に何とか早期承認を目指すのは
想像に難くない。(ある意味、「忖度」だわな。)

 ただ、今までの法律を全部無視するわけにはいかない。
現行法を(できるだけ)破らないように、どうすれば早期承認できるか。
それが徹底的に議論されたんだろう。
 「アビガンの早期承認」が目的だった。

 もちろん、臨床試験は必須だ。
でも、あの時点ですでにアビガンの知名度は大きく、
治験が難航することは予想された。

 だって、観察研究という形で「確実に」アビガン投与することできるのに、
あえてプラセボの可能性のある臨床試験の参加者を募るのは無理がある。
文字通り、人柱になれ、って話なんだから。
(そういう環境を作った政治の責任もあると思う。)

 そこで、何とか体裁を整えて治験する方法が「単盲検」だったんじゃないかな。
臨床試験に対するハードルも低くなるし、結果も評価されやすいから。
で、厚労省は早期承認のために、単盲検での治験をスタートさせた。

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 ところが思った以上に感染が広がらず、
5月で治験を終了させることはできなかった。
これは想像だけど、治験拒否した患者さんも多かったんじゃないかな。
(やっぱり、確実にアビガン欲しいよね)

 5月下旬に中間報告が出たけれども、
その時点では「まだ有意差はない」状態。
悪くはないけれども、劇的に効果があるわけでもないことがわかった。

 5月承認は無理だったけれど、その後も同じ枠組みで治験は続けられた、と。

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 結論から言うと、夏の第二波の時点で治験をやり直した方がよかったと思う。
軽症者や無症状感染者がたくさん出たんだから、そこで二重盲検試験すればよかった。

 でも、たぶん無理だったんだろう。
同じ薬の治験をやり直すなんて、聞いたことないしできるとも思えない。
どうしてもやり直すのであれば、「前の試験は間違っていた」という必要があるだろうが、
それ言うには、「総理の意向」出さなきゃ言えないよね。
それは言える訳がない。

 また、企業側としても「国が認めた方法でやれば、承認される」と思うだろう。

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 ところが、である。状況が変わってしまった。
旗振り役だった安倍総理は退陣した
(しなくても興味失ってたかも知れないが)
レムデジビルに加えて、デキサメタゾンも承認されて、
しかもワクチンができてくるのも現実味を帯びてきた。

 そうなると、アビガンを特別扱いする理由がない、、よね。
それほど効果ないことはわかっている訳で。
そんな薬を(総理の意向で)承認したら、また科学者が騒ぐだろうし。(当然だ)

 その結果、今回は承認されないことになったんだろう。

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 アビガンと富士フイルムは、首相官邸(と世論)に振り回され過ぎた。
じっくりと二重盲検で試験してれば、もっと早く承認されていたかも知れないな。

 もちろん、効果が認められなかったら承認されないだろうけど、
それでも、それはそれで仕方ない話だ。効いたら儲けもん、くらいの話なんだから。

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 私の感想としては、

政治家が科学に首突っ込むとろくなことにならない

 専門家に任せておいた方がマシだよ。
もちろん、チェック機構も必要だけどさ。

 そういえば、他の治療薬はどうなってるんだろう?
ヒドロキシクロロキンとか、HIVの薬とかはもう効かないだろう。
アクテムラも否定的な話だったような。
 シクレソニドの吸入はどうだったのかな?
個人的には一番期待していたんだが。
最近、イベルメクチンがどう、とか言われてるね。

 まぁ、本来なら年単位で時間がかかる話。
ワクチンができたとしても、それだけで制圧できる訳ではないので、
治療薬はもちろん必要になる。

 じっくり待つしかないのかな。

 

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勝負の三週間、敗北


 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。

 11月下旬に西村コロナ担当大臣が、「ここからの3週間が勝負」と発言。
大阪や札幌のGotoトラベル停止、一部時短営業要請などをかけたが、
東京に関しては「高齢者のみ自粛」というあいまいな要請に終わっていた。

 ここで抑えれば、もう少し落ち着いた年末年始もありえたのだが。

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 3週間経過して、感染拡大は止まっていない。
東京は過去最多の新規感染者数1日で822人を記録している。
全国でも新規感染者数が3000人を超えてきた。
 まだ、オーバーシュートの状況ではないが、東京も医療体制が切迫してきている。

 菅首相は、ことここに至ってようやく年末年始のGotoトラベル一斉停止に踏み切る。
また、東京や愛知、広島などもGotoトラベルを止めている。

 どうみても、勝負の三週間は敗北に終わったようだ。

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 実は、大阪に関していえば感染拡大は止まりつつある。
高止まりではあるものの、微減傾向が見えている。
問題は、東京だ。

 先週あたりから新規感染者数がさらに増加傾向になっている。これはヤバい。
また、今まで大したことがなかった地方にも飛び火していて、
各地で「過去最高」を更新しつつある。

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 もっとも、東京の上昇に関してはね。
これ、「駅前検査」みたいなクリニックが稼いでいるんじゃない?という気がする。
もしくは、検体を郵送して検査しているようなクリニックが東京にあって、
そこが東京の保健所に報告入れるので、全国からの分が東京を押し上げている?
という話もあるにはあるのだが。

 でもまぁ、高止まりには変わりないだろうなぁ。

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 こうなると、年末年始は静かに過ごすしかなくなる。
忘年会とか新年会とか、クリスマスとかも全部自粛モードだ。

にも関わらず、菅さんが二階さん達と8人で忘年会やった、
なんて報道が出てしまい、もう何が何やら。(苦笑)

 頼むからしょうもないことしないでくれ。本当に。

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 これで、医療従事者に年末年始はなくなったかな。
検査体制も維持せざるを得ないし。年内は減ることないだろう。

 もう、これでがけっぷちだ。

 この年末年始で抑え込めなければ、
緊急事態宣言を出すしか打つ手がなくなる。

 出さなかったらどうなる?
それはね、もっと厳しいロックダウンかけるしかない。

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 今、気になってるのは成人式。これ、かなり危険だと思う。
感染拡大地域はもちろん、地方も。
いや、全員が地元民なら問題ないよ。
でも、東京みたいな大都市圏から帰ってくる若者いないか?

 また、「成人式」そのものは、きちんと感染対策すれば、開催できなくもない。
でもさ、そのあとで集まってカラオケいったりとか、飲み会したりとかしないか?

 若者は重症化しないんだけど、それが親や祖父母世代を感染させることがあると、
地域医療が崩壊しかねないんだが。

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 早々に成人式の延期を決めている自治体もあるけれども、全体的にまだ動きが鈍い。
基本的には自治体主催だから、国からちょっかい出すのは難しいし。
中止というと色々問題あるけど、感染落ち着くまで延期でいいんじゃないかな。
夏以降ならワクチンが間に合ってくる可能性もある訳だし。

 

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イトラコナゾール、続報

 先週金曜日の夜に発覚した、
イトラコナゾール錠「MEEK」の回収の続報。

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 とりあえず、昨日付けの明治製菓ファルマの発表によると、
処方された患者さん全員と連絡がついて、服用中止は確認したらしい。

これ以上被害が広がることはなくなった。

 現時点で110件くらいの健康被害が報告されているけれども、
全体の数はまだわからない。予想よりも少なそうでほっとしている。
あとは、死者が出ていなければよいけど。

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 何がおこったのかは、まだ詳細な発表がない。
少なくとも、小林化工のヒューマンエラーであることは間違いない。
イトラコナゾール錠50mgに、リルマザホンが5mg混入したのがほぼ確実。

 リルマザホンは、常用量が1mgから2mg。
つまり、イトラコナゾール1錠に、常用量の倍以上の睡眠薬が混入している。

 さらに悪いことに、イトラコナゾール錠は、人によっては1回4錠服用する。
マックスで、リルマザホン20mg。常用量の10倍。

 ようは、大人10人寝かせるくらいの睡眠薬が混入していた、ってこと。

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 イトラコナゾールを服用して眠くなった、という副作用の報告があって、
そこから調べた結果、混入が発覚したらしい。

 よく、気づいたな、これ。

 申し訳ないが、イトラコナゾール服用して眠くなった、と言われても、
私はイトラコナゾールが原因だとは思えなかっただろう。
そんな副作用考えにくいから。

 全く違うものが混入する、という可能性は完全に想像外だった。

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 ようやく、今日になって報道が本格化。ヤフートップまでいったけれども、

遅いよ!

 金曜の夜の第一報で、ヤバいのわかったやろ?
医療関係者、薬局関係者なら、今回の件がどれくらいヤバいかすぐわかるのに。

 むしろ、一息ついた今となっては報道いらんのやけど。
患者さんからの問い合わせという余計な仕事が増えるだけだ。

 ある程度被害が積みあがらないと、ニュースにならないのか?
そんなん、第一報の時点で大惨事が予測できるんだが。
だから、twitter界隈では薬剤師が大騒ぎしてたんだよ。
野菜への農薬混入とかとは、全く次元が違うヤバさなんだから。

 私だって、第一報聞いたときはパニックになった。
他にも、同じような薬剤師は多かったんじゃないかと思う。

 まだまだ被害の報告は増えるだろうけれども、
それはもう終わったことだ。緊急性のある話ではなくなっている。

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 で、次。なんでこんなことがおこったのか。

 まさか故意ではないだろうから、過失だと思う。
ミスを犯した人間を責めるような話ではない。
こんなん、責任を取れるレベルの話じゃなくなってる。

 一番の問題は、ミスを発見できなかった管理体制だ。
こんなミスは絶対におこせないように。
万一があったとしても、出荷前に止める仕組みがあったはずだ。
そうでなければ、医薬品企業なんてできる訳がない。

 なぜ、それが機能していなかったのか?
これは、歴史に残る大事故になってしまったので、
徹底した再検証が必要だろう。

 全責任は、この会社の管理体制にある。

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 この会社はどうなるのかな?
前代未聞の大惨事を引き起こした弱小後発品メーカーなんだから、
普通に考えると潰れると思う。
誰も、こんな会社の商品を使おうとは思わない。
だって、他にいくらでも選択肢あるんやもん。

 ただ、小林化工さんは、製造メーカーでもある。
他のメーカーから委託を受けて作っている医薬品は、
想像以上に多い。

 今回のイトラコナゾールだって、販売はほとんど明治製菓ファルマだろう。
実際に薬局への報告や回収は、明治製菓ファルマが担当している。

 コロナのせいもあって、供給が不安定になる医薬品が増えているなか、
そうそう簡単につぶせる話ではないと思うんだが。
まぁ、品質管理部門は一から構築する必要はあると思うが、
ここの社員全員が路頭に迷うことはないんじゃないかな。

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 非常に勝手な話ではあるが、これ以上患者さんに被害が広がらないのなら、
これ以上騒いでほしくないのが本音だなぁ。

 もちろん、責任は追及しなければならないけどね。

 

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イトラコナゾール「MEEK」クラスI回収

 

 抗真菌薬「イトラコナゾール錠MEEK50mg」に、クラスI回収がかかった。

 服用すると、健康被害が発生する可能性が非常に高く
即時全回収が必要だ。
私が薬剤師になってから、このレベルのクラスI回収がかかった事例は
ちょっと記憶にない。ごく少量の発がん性物質とかなら時々あったけど。
おそらく、21世紀で初めての事件ではなかろうか。

 

 最悪なのが、これが発覚したのが金曜日の夜だということ。
土曜日開けてる薬局であればまだいいのだけれども、
まだ、すべての服用患者さんに連絡がいっていない可能性がある。

 服用すると危険なので、即座に行動が必要。

 イトラコナゾールは、水虫や真菌に対する薬。
これに、何をどう間違えたかわからないが、リルマザホンという睡眠薬が入った。
詳細な発表はないが、服用すると常用量を超えるという。

 つまり、水虫の薬の中に、多量の睡眠薬が入っているということ。
実際に、これを服用して交通事故を起こした例もあるらしい。

 ヤバすぎる。

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 報道では「小林化工」の製造した医薬品となっている。
それは正しいんだけど、これ、販売は「明治製菓ファルマ」だ。

 「チョコレートは明治」の明治だよ?
明治製菓が医薬品作ってることは知らない人の方が圧倒的に多いと思うが、
「小林化工なんて、地方の弱小メーカーだから影響少ないだろう」
なんてことはないよ。

 むしろ、報道では「明治製菓ファルマ」の名前で訴えて欲しい。
ネームバリューが違うから。

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 問題が2点。

 一つは、この大事な問題がろくに報道されていないこと。
規模が大きくなれば、カネミ油症やサリドマイド級の薬害になりかねない。
薬害の歴史上に残る大事件になる可能性がある。

 薬局まで連絡はいってるだろうけど、そこから患者さんに連絡がついてるかどうか。
ここで週末というのは、厳しい。
問題の薬をもったまま旅行とかいったら、非常に危険なんだが。

 できれば、ニュースのトップで報道して欲しい。
もっとできれば、
明治製菓の名前で緊急にCM打って欲しい

何もなければ、それに越したことはないんだから。

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 もう一つの問題。

 それは、医薬品への信頼の失墜。
特に、後発医薬品に対する信用が地に堕ちる。

 こんな事件、そうそうめったにおこることではないんだけど。
このニュースを知った人は、「他にもあるけど隠してるだろう?」と
絶対思うだろう。

 実際にそんなことはまずあり得ないんだけど、
そんなことわからんもんね。

 問題は小林化工や明治製菓に留まらない。
後発医薬品業界、どころか、医薬品業界全体に波及する可能性がある。

 この薬を服用する人が一人でも少なくなるように。
一刻も早く全回収できるように。

 メディアの力で何とかしてもらいたい。

 

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大阪赤信号

 新型コロナは第三波真っただ中。

 大阪の病床に余裕がなくなってきて、大阪モデルで初めて赤信号が点灯した。
緊急事態宣言に近いなぁ。不要不急の外出禁止。

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 11/12に私が書いた記事を引用する。

> 現時点で、まだ大した規制はかかっていない。
>それなのに、新規感染者数は1200人とかになっている。
>仮にここから規制をかけたとしても、2週間は上がり続ける。
>夏と同じであれば、2倍。
>一日の新規感染者数が2400人くらいまでは上がるんじゃないか?

 我ながら恐ろしいが、この予想がかなり的中している。
この記事の2週間後、11月下旬に1日で2680人の新規感染者を記録した。
私の予想より300人近く多かったが、まぁ誤差範囲だろう。

 3000人を超えるようなことがあれば、緊急事態宣言ありうるか?
と書いたが、どうやらピークは11月下旬、とみられる。

 今週は今のところ、横ばい、といったところ。
減少傾向とまでは言えないが、少なくとも指数関数的増加は止まったように見える。

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 もっとも、この高い水準で止まってしまっても困る。
ここから2週間で減少傾向に持っていけたらいいんだけど。
ただ、新規感染者数は減少傾向にもっていけたとしても、
重症者数はおそらく減らない。

 よって、医療崩壊の危機が目の前である。
重症者の病床に余裕がなくなった大阪は赤信号。
ってか、もう手遅れかも知れない。(汗)

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 東京、大阪は横ばいからやや減少かと思うんだけれども、
問題はその他の都市。
今までそんなに感染者がいなかったところが燃え上がりつつある。
そりゃ、大都市圏で炎上したら飛び火するに決まってるわな。
これが、ボヤで抑えられたらいいんだけど。

 Gotoキャンペーンで感染拡大した明確なエビデンスはないんだけど、
エビデンスになるようなデータを取ってないから当たり前だ。
感染者に「Gotoを利用したかどうか」なんて聞いてないんだから。

 まして、「Gotoを利用した人から感染した」データなんてわからない。
例えば、東京にGotoトラベル利用して1人が感染したとして、
その1人が大本になって200人感染したとしても、
Gotoが原因と分かるのは(分かったとしても)1人だけだろう。

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 また、Gotoキャンペーンには、
「政府が旗振ってるんやから、経済回すべき」みたいな空気にする効果があった。
何か気を付けようとしても、「いや、Gotoみたいなことやってるんやから」って。

 若い人は感染しても軽症で済むから、若い人だけで経済回すと言ったって、
若い人から高齢者への感染を完全にブロックすることはできない。
ここで潜り込まれると、クラスターが発生したりする。
同時多発的にクラスターが発生すると、もう手がつけられなくなるな。

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 現時点での予想。
ここから2週間、新規感染者数は漸減傾向になる。
ただここまでの流れをみると、減少傾向はあまり強くない。
クリスマスまでにもとに戻すのは不可能だろうな。

 病床は、パンク寸前、というかパンクする可能性が高い。特に大阪は。
4月と同じような状況が発生すると予想できる。

 都市圏から飛び火した地方が燃え上がれば、感染拡大自体が止まらない。
地方は、都市圏よりも医療体制が脆弱だ。
油断していた地方が火の車になってる可能性もある。

 決して楽観できる状況じゃないなぁ。

 今年は、クリスマスも忘年会も全部なしだな。多分、新年会も無理だろう。

 

 

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