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イトラコナゾール、続報

 先週金曜日の夜に発覚した、
イトラコナゾール錠「MEEK」の回収の続報。

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 とりあえず、昨日付けの明治製菓ファルマの発表によると、
処方された患者さん全員と連絡がついて、服用中止は確認したらしい。

これ以上被害が広がることはなくなった。

 現時点で110件くらいの健康被害が報告されているけれども、
全体の数はまだわからない。予想よりも少なそうでほっとしている。
あとは、死者が出ていなければよいけど。

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 何がおこったのかは、まだ詳細な発表がない。
少なくとも、小林化工のヒューマンエラーであることは間違いない。
イトラコナゾール錠50mgに、リルマザホンが5mg混入したのがほぼ確実。

 リルマザホンは、常用量が1mgから2mg。
つまり、イトラコナゾール1錠に、常用量の倍以上の睡眠薬が混入している。

 さらに悪いことに、イトラコナゾール錠は、人によっては1回4錠服用する。
マックスで、リルマザホン20mg。常用量の10倍。

 ようは、大人10人寝かせるくらいの睡眠薬が混入していた、ってこと。

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 イトラコナゾールを服用して眠くなった、という副作用の報告があって、
そこから調べた結果、混入が発覚したらしい。

 よく、気づいたな、これ。

 申し訳ないが、イトラコナゾール服用して眠くなった、と言われても、
私はイトラコナゾールが原因だとは思えなかっただろう。
そんな副作用考えにくいから。

 全く違うものが混入する、という可能性は完全に想像外だった。

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 ようやく、今日になって報道が本格化。ヤフートップまでいったけれども、

遅いよ!

 金曜の夜の第一報で、ヤバいのわかったやろ?
医療関係者、薬局関係者なら、今回の件がどれくらいヤバいかすぐわかるのに。

 むしろ、一息ついた今となっては報道いらんのやけど。
患者さんからの問い合わせという余計な仕事が増えるだけだ。

 ある程度被害が積みあがらないと、ニュースにならないのか?
そんなん、第一報の時点で大惨事が予測できるんだが。
だから、twitter界隈では薬剤師が大騒ぎしてたんだよ。
野菜への農薬混入とかとは、全く次元が違うヤバさなんだから。

 私だって、第一報聞いたときはパニックになった。
他にも、同じような薬剤師は多かったんじゃないかと思う。

 まだまだ被害の報告は増えるだろうけれども、
それはもう終わったことだ。緊急性のある話ではなくなっている。

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 で、次。なんでこんなことがおこったのか。

 まさか故意ではないだろうから、過失だと思う。
ミスを犯した人間を責めるような話ではない。
こんなん、責任を取れるレベルの話じゃなくなってる。

 一番の問題は、ミスを発見できなかった管理体制だ。
こんなミスは絶対におこせないように。
万一があったとしても、出荷前に止める仕組みがあったはずだ。
そうでなければ、医薬品企業なんてできる訳がない。

 なぜ、それが機能していなかったのか?
これは、歴史に残る大事故になってしまったので、
徹底した再検証が必要だろう。

 全責任は、この会社の管理体制にある。

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 この会社はどうなるのかな?
前代未聞の大惨事を引き起こした弱小後発品メーカーなんだから、
普通に考えると潰れると思う。
誰も、こんな会社の商品を使おうとは思わない。
だって、他にいくらでも選択肢あるんやもん。

 ただ、小林化工さんは、製造メーカーでもある。
他のメーカーから委託を受けて作っている医薬品は、
想像以上に多い。

 今回のイトラコナゾールだって、販売はほとんど明治製菓ファルマだろう。
実際に薬局への報告や回収は、明治製菓ファルマが担当している。

 コロナのせいもあって、供給が不安定になる医薬品が増えているなか、
そうそう簡単につぶせる話ではないと思うんだが。
まぁ、品質管理部門は一から構築する必要はあると思うが、
ここの社員全員が路頭に迷うことはないんじゃないかな。

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 非常に勝手な話ではあるが、これ以上患者さんに被害が広がらないのなら、
これ以上騒いでほしくないのが本音だなぁ。

 もちろん、責任は追及しなければならないけどね。

 

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