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2021年6月

緊急事態宣言解除

 

 新型コロナ第4波は、ひとまず落ち着いた。
延長に延長を重ねた緊急事態宣言も、これ以上延長できないので
一旦解除ということになった。

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 ただ、大阪も東京も、直近一週間では下げ止まり、というか
むしろ再上昇の兆しを見せつつある。
2度目の緊急事態宣言のときは、リバウンドを防ぐために
色々考えられた結果の上で解除したけれども、
アルファ株(イギリス変異株)の感染力に前に、
あっという間に緊急事態宣言に追い込まれた。

 今回も、デルタ株がスタンバイしている。
しかも、緊急事態宣言自体が長くなりすぎているので、
そもそも緊張感がなくなっている。
 続けていても効果が薄れているし、
といってマンボウに落としたらさらに緩むし。
やっぱり手詰まり。祈るしかない。

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 ワクチンの接種スピードが鬼のように上がっている。
高齢者にはかなり進んだから、次の波では重症者の減少が期待される。
ワクチン接種がいきわたるのが先か、デルタ株が爆発するのが先か。
そういったレースになりそうだ。

 ただ、全体としては「第5波待ったなし」だと思う。

これは、よい面と悪い面がある。
前回の緊急事態宣言解除時は、
「まさかすぐに第4波が来るとは予想していなかった」
というスピードで、次の波がやってきた。

 今回は、もうわかっているよね?
この状況で、第5波が来ないほうがおかしいよ。
来るのわかってれば、医療側も対応しやすいでしょ。
準備がしやすいのが、よい面。

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 悪い面は、逆で、
「第5波がくるのわかってるから、
 行けるうちに行きたいとこ行こう!」
 となってしまい、かえって人出が増えることだ。

 だって、これだけコロナ勉強して、
感染力もしっかりわかっている私でも外出したいんだよ?
こんなん、一般の人は我慢できるとは思えんよ??

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 高齢者のワクチン接種が進んでいるのが間に合うか。
高齢者施設でのクラスターが出なければ、
医療体制もそれほど逼迫しないんじゃないかな。
デルタ株が若者の間でどれだけ重症化するかによるけど、
重症患者が減ってくれば、医療はなんとかもつかも。

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 ワクチンに関しては、例によって陰謀論者がわめいてる。
もう、相手にするのも面倒くさい。

 一つだけ気になるのは、
彼らが気にしている「長期での安全性」って、
彼らはどの程度を想定しているんだろうか??

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 50億人にワクチン接種したとして、そのあと10年で、
世界中でどれくらいの人が死んでると思う?
ってアンケートとってみたい。

1)10億人
2)1億人
3)1000万人
4)100万人

 どれが一番近いと思いますか?

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1)が一番怖いけど、これは絶対にありえないと断言できるレベル。
このレベルの副反応があるなら、もうとっくにわかってる。

2))はどうだろう?かなり怖いよね。50人に1人なんだから。
でも、実はこれくらいの人数は「普通に」死ぬ。

世界の一日の死亡者数は15万人くらい。10万人としても、
10年で3億6500万人が亡くなる計算。

となると、3)とか4)って、少なすぎて話にならんのよ。
3)でも、500人に1人くらいの割合なんだけどね。
長期となると、これが検出できるかどうかが微妙なところ。

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 絶対に安全、と言っている訳ではないよ。
でも、私の感覚だとね、万一長期の安全性に問題があったとしても、

「1万人に1人くらいの割合で、何かあるかも知れない」

 くらいの相場なんだわ。
で、これって、統計的に有意差が出るかどうかは怪しいのよ。
タミフルによる異常行動と似たようなもんかな。

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 たとえば、受動喫煙に発ガン性があるのは分かってる。
でも、認められるのにかなりのデータ必要だった。
発ガン率3倍とかなら、すぐわかるんだけど、
発ガン率1.1倍とかだと、なかなか難しい。

 1万人に1人の割合でなんかあったとして、わかるかな?

 まぁ、この辺のロジックが分かる人なら
陰謀論にはまることはないと思うんだけど、
なかなか理解できないよね。

 陰謀論者は数字じゃなくて感情に訴えるから。
正論で返してもおそらく効果はないので、
何か対策を考えないといかんね。

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読書記録 2021.5

2021.5の読書記録

直近一ヶ月の読書記録(読書メーター)

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 2021年5月は39冊読了。

小説(新規)は20冊、再読は5冊。
学術・ビジネスは10冊、その他4冊。

 三回目の緊急事態宣言で、いくつか図書館が閉まったけれども、
最寄りの図書館が開いているおかげでなんとかなっている。

 少しペースが落ちてきてるかな?
例によって三冊紹介。

 まずはフィクション。

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52ヘルツのクジラたち」(町田その子)

 今年の本屋大賞受賞作。
子連れ再婚に、ヤングケアラーなどなど、
現代社会の問題がてんこもりで、さすがに本屋大賞だなぁ、と。

 クジラには、自分にしか聞こえない鳴き声(52ヘルツ)を出すものがいる。
そういう他人には聞こえない悲鳴を、受け取ることができる人がいるのか?

 タイトルはそういう意味である。

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 ネタバレは避けるけれども、とにかく、重い話だった。
児童相談所や福祉の本を読んだこともあるので、想像できて辛かったな。

 これ読んだ後には、軽い話が読みたくなる。

 本屋大賞は、5年くらい前から注目していて、過去の受賞作もぼちぼち読んでる。
今月は、ほかに「海賊と呼ばれた男」も読んだ。
本屋大賞受賞作全制覇も、今年の目標の一つなんだけど、
実は残り3作を残すのみになってる。

 名作が多いので、再読もしていきたい。

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 次、学術。

ぶった斬りダメ処方せん」(國松淳和、オニマツ・ザ・ショーグン)

 國松先生と、オニマツさんとの共著?というか、同一人物なんだが。w
医師の立場から、ダメな処方せんをぶった斬りしていく本。

 オニマツの斬りっぷりが痛快で、読みやすいのが特徴。
これ、医師がやる分にはいいけど、薬剤師がやったら絶対怒られるヤツや。

「今どき、デパス出す医師おる?」とか、
「経口セフェムとか逆にツッコむ気にならん」とか。

 面白さを理解するためには、最低限の予備知識が必要と思われる。

スボレキサントの使いどころが分からん、というのは意外だったな。
自分で使ったことないからわからんかった。

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 注意点として、まるっと信じてはいけない。(苦笑)
そういう見方をする医師もいる、というのが大事。
間違っても「オニマツ先生が言っていたから」と疑義照会しちゃダメ。

 最終日のポリファーマシーは必読。
医師と薬剤師のゲーム理論が独特な切り口で面白かった。
ちゃんと連携すれば、患者さんのためになるのにね。

 面白くて読みやすいので、活字が苦手な人にもおすすめできる。
勉強できる人にはわからんだろうが、活字読むの苦手って人は多い。
そういう層にささる本として、一級品だと思った。

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 最後。

女生徒」(太宰治 乙女の本棚シリーズ)

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 乙女の本棚シリーズは、最近のお気に入り。
明治から昭和にかけての文豪の有名作品を、
最近のイラストレーターが綺麗な挿絵をつけて出版している。

 知っている話であっても、絵がつくと全然印象が変わるし、
難しい話でも読みやすくなる。これ、高校の図書室でそろえて欲しい。

 今回紹介するのは、太宰治の「女生徒」
絵は今井キラさん。ふんわりした、不思議な感じの女生徒が表現されてる。

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 太宰治は、ほぼ教科書でしか読んだことなかったけど。
この作品もすごいな、と思った。

 主人公は、今でいう女子高生。
主人公が、朝、目が覚めてから夜眠りにつくまでの一日の日記のようなもの。
そして、いわば日常モノであり、大した事件はおこらない。

 これ、現代でいうとラノベにあたるんじゃないかな???
女子高生の一人称小説、かつ日常モノ、という。w

 これを戦前に出したってんだから恐れいる。
新鮮というか、斬新というか。世の中を先取りしすぎだろ!

 太宰が何を思ってこういうの書いたのかわからないけれども、
それでも、ちゃんと名作として評価されたんだよね。
こうして、読み継がれているってことは、そういうことなんだろう。

 世の中、何が受けるかわかんないな。
けっこう、現在の女子高生が読んでも共感できるところあるんじゃないかな。
私にはわからんが。

 

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