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2021年7月

エルデカルシトール緊急事態

 後発品の供給が滞っている。

 昨年末の小林化工ショックに続き、
日医工も(一部)業務停止命令がでて、
全体的に後発品がやばい。

 一番しんどいのは、医薬品卸だと思う。
MSさんの仕事内容が変わってしまったんじゃないかと。
欠品の対応に追われるだけで半日以上かかるとか。

 まぁ、最近はこっちも慣れてきたけどね。
「そこになければ、ないですね」ってなもんだ。

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 そんな中でも危険水準に達しているのがエルデカルシトール。
高齢者の骨折の予防に、骨粗鬆症に使われるビタミンD製剤なんだが、
もともと、後発品を日医工とサワイの二社しか作っていなかった。

 日医工が先に供給制限がかかった。
まぁ、日医工はまともに入ってくるほうが珍しいくらいの状況なので
あまり気にしていなかったけど。

 結局、大本を作ってる会社の問題?とかで、
サワイからも入らなくなった。これで、後発品全滅。

 仕方ないから先発品を使えば?となるが、
こちらもいまや中外製薬一社の販売となっていた。
すでに後発品の方が圧倒的にシェアが大きいんだから、
後発品二社に倒れられたら、持つ訳がない。

 結果、先発のエディロールも出荷制限。

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 結局、エルデカルシトールは全滅した。

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 ほぼ、どこからも何も入らない。
代替品といえば、もう一世代前のビタミンD製剤である
アルファカルシドールになるんだけど、全体的なシェアはエルデカルシトールより少ない。
こっちもあっという間に供給制限かかった。

 エルデカルシトール緊急事態宣言である。

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 ここまで入手に苦労した薬って、東日本大震災のときのチラーヂン以来かも。
チラーヂンは「なかったら絶対に困る」薬だったけど、
エルデカルシトールにしたって、ないと困るよ。
いきなり死ぬことはないけど、骨折のリスクが高まる可能性がある。
高齢者にとっての骨折って、死活問題だからな。

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 じゃぁ、どうする?
普通、こういうときはやらかしたメーカーがお詫び行脚して、
処方元の医療機関(病院)の処方を止めてもらう。

 でも、今回はうまく進まなかった。
「誰の責任?」ってのがはっきりしてないんだ。

 日医工、サワイが倒れたのはほぼ同時だし、
どちらにしても、本音では「俺のせいじゃない」だろう。
先発メーカーの中外製薬にしたところで、
「完全にとばっちり」としかいえない。

 でも、このままじゃもうエルデカルシトールがなくなるのは
火を見るより明らかだ。誰か助けて。

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 というところで、関連学会から声明がでた。

骨粗鬆症診療に携わる医療機関の皆様へ(日本骨粗鬆症学会ほか)

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 新規処方は避ける。休薬できそうな人は休薬する。
何がしかの治療は続ける。
まぁ、妥当なところだと思うが、
この措置でどれくらい持つかも分からん。

 10月には供給再開の見込みがあるけれども、
そこまでどれだけ入ってくるか誰もわからないから。
私の薬局の在庫は、あと1ヶ月弱といったところ。
もって来月いっぱいだな。いれてくれないと。

 で、この在庫状況は薬局によって異なる。
「もう無理!」ってとこもあると思う。
どないすんねん、と。
この辺、会社によって体力が違うからな。

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 原因、ねぇ。


「全体的に余裕なさすぎ」なんだよ。
これ、10年前のチラーヂンのときも言ったよね。
無駄を省く、合理化を続けると、こうなるって。

 また、薬価が低すぎるのも問題なんだって。
安定供給を続けるのに、設備投資が必要なのはわかるよね?

 もう、後発品業界自体が滅びかねないんだけど。
国は、どうしていくつもりなのかな?

 

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オールスターで二刀流


 メジャーリーグ、エンゼルスの大谷がオールスターに出場した。

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 投打二刀流での出場は史上初の快挙。

 大谷を投げさせるためにルールまで変更したらしい。
大谷は、もはやメジャーを代表する選手になっている。

 前半戦でホームラン33本はリーグ単独トップ。
しかも、投げては160km以上のスピードボール。

 今までの常識を完全に覆している。
しかし、今年の打撃成績はちょっとすごすぎるな。
一人だけ、違うルールで野球してるみたいだ。
なんであんなにボールが飛ぶの?

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 ここまで打ってしまうと、
もはや打者専念でいいのでは?
なんて声もでてくると思うんだけど。

 でも、大谷本人がやりたければ
あくまで二刀流を続けると思う。

 その方が見ていて面白いし、
ニュースバリューもあるから。

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 イチローも歴史を作った選手だったけど、
大谷は、歴史を変えた選手になったなぁ。
私が知らないだけで、メジャーには他にもすごい選手がいるのかも
知れないけど。

 大谷の二刀流を実現させた、日本ハムの慧眼だと思う。
いきなりメジャー行っても、絶対に無理だった。
日本で実績を残してさえ、疑問視されていたし。

 全てステップアップして乗り越えていって、
世界一の選手になった。
この調子で怪我無くシーズンを終えれば、
MVPは間違いないだろ。

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 ただ、イチローの時のマリナーズもそうだったけど、
エンゼルスもそんなに強いチームではないのが気になる。
投打とも大谷の力が必要だからこその二刀流であって、
戦力が揃っているチームなら無理させる必要ないかもしれない。

 ま、本人がやりたがってるんだから、
いけるとこまでいってもいいとは思うけど、
もはや、世界の大谷、MLBの救世主になりつつあるので、
怪我だけは勘弁してもらいたいな。

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まさかの4度目

 東京に緊急事態宣言が発令された。

 まさかの4度目である。
正直、もう緊急事態宣言を出すことはないと思っていた。
ワクチン接種が進みつつあるし、効果も薄くなっているし。

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 要因は二つ。
感染力、重症化が強いデルタ株に置き換わりつつあること。
これは、第4波で大阪がアルファ株で崩壊したのと
状況が似ている。

 もう一つは、東京オリンピックだろう。
結局は、無観客でやることになったみたいだけど。

 東京オリンピックのために、緊急事態宣言を出さないのでは?
という意見もあったけれども、そんなことはなかった。
結果は逆で、東京オリンピックやるから緊急事態宣言を
出さざるを得なかったんじゃないかな?

 どれだけワクチンをうってても、検査をしても
海外からの陽性者がすり抜けてしまうことはありえる。

 第5波が来ない、なんて予想している人は誰もいなかったと思う。
ワクチン接種が間に合うかどうか?という話だった。
高齢者へのワクチン接種はかなり行き届いたので、
高齢者の感染、重症化は抑えられているから、
病床には余裕があるんじゃないかな、と思っていた。

 私の予想は、第5波は来ても緊急事態宣言は出ないと思ってた。
しかし、デルタ株は若者でも重症化することがわかっているし、
ワクチン接種が進んでいる国でも、未接種者に感染が広がっている。

 そのうえで、東京オリンピックを中止できないのであれば、
逆に緊急事態宣言を出さざるを得ないんだろう。

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 ワクチン接種は恐ろしいスピードで進んでいる。
もう、これで本当に「最後」にしてほしい。
デルタ株に対してワクチンの効果が落ちているとは言われているが、
落ちているだけで効果ない訳ではないし、
重症化を防ぐ効果もある。

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 今のところ、東京と沖縄だけ。
ただ、大阪も増加の兆しがみられるので、
マンボウは8月まで延長になった。

 緊急事態宣言の効果は、おそらくかなり限定的になると思う。
言うこと聞かない人増えてるから。
これで感染拡大を抑えられるかどうかも分からない。
というか、しばらくは止まらないと思う。
2000人までいかないといいなぁ、くらい。

 東京にワクチンを集中させて、
一気に終わらせることはできないのかな。
東京が火元になることは分かり切ってるんだから。
打ちたくない人は放置でいいけど、接種したい人には
早めに接種できる仕組みがあればよいと思う。

 あとは、やっぱり祈るしかないな。

 

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読書記録 2021.6

 2021年6月の読書記録。

直近一ヶ月の読書記録(読書メーター)

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 6月は、44冊読了。

小説(新規)は23冊、再読は7冊。
学術・ビジネスは12冊、その他2冊。

 途中までは先月と同じ月40冊ペースだったけど、
ワクチン休暇の日に1日5冊読めたので、一気に増えた。
これで、半年で250冊。一応、年間500冊ペース。
まぁ、このペースが守れるとも思ってないけど。

 3冊紹介する。
まずは、フィクション

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臨床の砦」(夏川草介)

「神様のカルテ」で有名な、夏川さんの新作。
コロナ第3波を食らった長野県を舞台にした、
かなりドキュメンタリーに近い小説。

「この戦、負けますね」と帯にあったけれども、
長野県の医療が、「抵抗空しく崩壊していく様子」
が手に取るようにわかって、辛かった。
今年、初めて泣いたかもしれない。

 コロナはただの風邪、とか言ってる人は、
この小説を読んでみて欲しい。

 願わくば、この負け戦を次に活かして欲しい。
今、到来しつつある第5波は、今までと違って、
「ほぼ、来ることが予想できている波」になる。
第5波はもう来ないなんて甘い予想してる人、いないだろ。
 最前線の砦で、必死に耐えた人たちの屍を糧に、
私たちは前に進まないといけない。

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 次、学術。

その病気、市販薬で治せます」(久里健人)

「ドラッグストアとジャーナリズム」のkurieditsさんが、
ついにOTC医薬品に関する本を出版した。しかも、新書で。

 これまでも、雑誌記事とか監修とかではお名前見かけていたけど、
単独での出版は初めて。初期からの愛読者としては、買うしかないでしょ。

 エピソードが豊富で、読んでいても面白い。
私(薬剤師)でも、知らない話が結構あるのがびっくり。
セルフメディケーションの推進のためには、
薬剤師や登録販売者が、うまく情報を伝える必要がある。

 素晴らしい市販薬もあれば、よくわからんのもある。
もっともっと、専門家の発信力を高めれば、
この分野をもっとマトモにできるかも知れない。

 いつまでも「OTCなんてほとんどインチキ」と言ってても、
未来がないでしょう?未来は私たちで作らないと。

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 この本のもう一つの特長は「安い」こと。
これだけの情報量なら、3000円はくだらないと思う。
それが、新書だから1000円足らずで買えてしまう。
 こんなの、ドラッグストア関係者は全員買え、と言いたい。

 ちなみに、私は計4冊購入した。w
友達や後輩、上司、みんなに読んで欲しいので。
同じ本を4冊買ったのは初めてだな。
(2冊くらいなら普通にあるあるw)

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 最後。

おうち性教育はじめます」(フクチマミ、村瀬幸浩)

 これは、コミックエッセイ。
対象者がわかりにくいんだけど、
「小学生を子どもにもつ、親」が読むべき本。

 日本の性教育は、一向に進まない。
それはかなり問題なんだけど、
言うてても間に合わないので家でするしかない。

 小学生向けに、どういう説明をしたらいいのか?
がポイントをおさえてわかりやすく書いてあった。

 男女とも、両方の知識が必要で、
子どもからの質問で困ったら、

「いい質問だね、ちゃんと調べて答えるね」と言って、
一旦撤退するのが吉。焦って、変なこと言わないように!

 性犯罪の被害者にも加害者にもなって欲しくないので、
この取り組みは素晴らしいと思う。
ってか、私でも知らん事があったりして。
(マスターベーションの位置づけとか)

 AVを教科書にして、変な認知の歪みをおこさないように。
娘にはもう教えられないけど(基本的に同性が教えるしかない。)
息子には、ちゃんとしてやらないといけないな。

 

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