« エルデカルシトール緊急事態 | トップページ | 東京五輪閉幕 »

読書記録 2021.7

 2021.7の読書記録。

直近1ヶ月の読書記録(読書メーター)

.

 7月は43冊読了。
小説(新規)18冊、小説(再読)5冊
学術・ビジネス13冊、その他7冊。

.

 2ヶ月連続の40冊超え。年間500冊ペース継続だけど、
別に冊数を求めてる訳じゃないので、無理する必要ない。
でも、冊数を多く読めば読むほど、「これはすごい!」
っていう本にあたる数も多くなる。

 例によって3冊紹介。

.

 小説。「お探し物は図書室まで」(青山美智子)

 2021年本屋大賞2位。
1位の「52ヘルツのクジラたち」は、強烈なメッセージ性をもっていて、
インパクトは強いけれども、読後感がかなり重かった。正直、二度読みはしたくない。
でも、本作は何回読んでも癒されると思う。
 少しずつ話のつながった連作短編集で、
図書室の司書の(ベイマックス)小町さんが、迷える利用者たちに、
これぞ、という本をピンポイントで勧めて導いていく、優しいお話。

 こういう、書店や図書館をテーマにした作品って、
紹介されている本も読みたくなるから、楽しい。
ぐりとぐらのカステラに挑戦してみたくなった。

 基本的には、「仕事」がテーマになっている。
私は、仕事なんてお金稼ぐため、としか考えてなかったけど、
それだけで人は働けないのかな、とも思った。

 これ、続編も書いて欲しいなぁ。

.

 次、学術。「患者さん向け耳鳴診療Q&A

 今月はいろいろ本読んだけど、「これ!」ってのがないなぁ、と思ってた。
7月の最後に読んだこの本が、一番面白かった。

.

 耳鳴りの最新のガイドラインを、患者さん向けに解説してくれている。
耳鳴りは、昔から悩んでいる人が多いんだけれど、
原因がよくわからないことも多く、効果的な薬もない。

 ただ、「放置しても命に別状はない」ので、
医療者としても本気で取り組んでこなかったところはある。
人によってはかなりQOL下がるんだけどね。

 この本によると、耳鳴りそのものに対しての薬物療法は、
ほぼ、エビデンスがないことが示されている。
(医療者は、感覚的に分かっていると思うけど。)

 もちろん、サプリメントもエビデンスない。
気休め程度にしかならない。
耳鳴りの原疾患があったり、不眠やうつを併発している場合は、
そっちの治療にあたれば、耳鳴りも改善されるんだけど。

.

 じゃ、何が効果的なのかというと、
「教育的カウンセリング」
耳鳴治療のゴールは、耳鳴を消すことではなくて、
「気にならなくすること」なんだ、と患者さん本人が納得すること。
この薬のめば治る、なんてものは今のところ存在しないから。
患者さんに寄り添いながら、ゆっくりと耳鳴りについて理解を深めていけば、
自然に耳鳴りが気にならなくなっていく。
つまり、治療のゴールに近づく、という訳。

.

 この本の何が面白いか、というとね。
この本自体が、患者さんの治療に効果があるということ。

 たぶん、効きもしないビタミン剤なんかよりも、
この「耳鳴診療Q&A」をじっくり読み込む方が、
耳鳴が改善する可能性ははるかに高い。

 これ、そんじょそこらの医薬品やサプリなんかより、
よっぽどエビデンスがありそうな気がするよ。w

 もちろん、プロフェッショナルによる教育的カウンセリングには
全然及ばないだろうけど、耳鳴りに困っている患者さんは多いから、
この内容をかみ砕いて伝えることができれば、
大いに役立つのではないかな、と思った。

.

 最後。

夢の猫本屋ができるまで

この本は、最初に紹介した「お探し物は図書室まで」で紹介された本。
猫の店員がいて、猫に関する本だけを扱っている
猫本屋「キャッツミュウブックス」の立ち上げドキュメンタリー。

【世田谷】猫のいる本屋「Cat's Meow Books」でお気に入りの1冊を見つけよう | icotto(イコット)

.

 現代では、本屋単独では採算が取れない時代。
「本屋×〇〇」という掛け算が必要なんだけれども、
そこに、保護猫を掛け合わせたのが、このキャッツミュウブックス。

 保護猫を使って集客して、売上を一部を保護猫活動に寄付する。
こんなん、猫好きが寄ってくるに決まってるやん。
開店時にクラウドファンディングもやったけど、
あっという間に目標額達成したらしい。

 これは是非いってみたいな。

.

 で、この猫本屋を作った安村さん。
なんと、会社員を続けながら猫本屋を始めている。
ただ副業というのではなくて、
「パラレルキャリア」という考え方らしい。
(この辺の話は、「お探し物は図書室まで」でも出てくる。)

 副業というと「お金のため」という感じだけれども、
安村さんにとって、本当にやりたいのは「猫本屋」の方。
 ただ、それだけだと生計が立たないので、
会社員も続けながら、ということになるらしい。

 コロナでリモートワークが増えてきている現状を考えると、
こういうダブルワークではない「パラレルキャリア」は、
むしろこの時代に合っているような気がするな。
安村さんが起業した時よりもやりやすくなってるはずだ。

.

 ただ、私はこんな働き方できないよな、と感じる。
身体がもたん。(苦笑)

 そうすると、「ベーシックインカム」の方に期待したい。
最低限、食べていけるだけのベーシックインカムがあれば、
こういう、自分の夢を実現させるような仕事も
もっと気軽に負担少なく始められるんじゃないかな、と思うんだ。

.

 今月はこんな感じ。
この「掛け算」の考え方は、薬剤師でも話題になってて、
「薬剤師×〇〇」みたいな話もよく聞く。

 本屋と薬局を掛け算してしまった人もいるしね。
(こっちも行ってみたいのに、なかなか行けてないな。)

 私がやるなら、「薬剤師×読書家」かなぁ。

 今月は、読書の面白さを堪能できた気がする。
ビジネスや学術書しか読まない人なら、
「夢の猫本屋」にはたどり着けないんだよ。

 でも、そっから先(ベーシックインカム)まで思考を飛ばせるのは、
今年、山ほど本を読んでる成果だと思う。
ただ、読みすぎててあまり残っていないところも多々あるんだけど。(苦笑)

 

|

« エルデカルシトール緊急事態 | トップページ | 東京五輪閉幕 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« エルデカルシトール緊急事態 | トップページ | 東京五輪閉幕 »