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読書記録 2021.10

 2021.10の読書記録。

直近一ヶ月の読書記録(読書メーター

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 10月は47冊読了。
これで年間433冊。500冊まであと61日で67冊。
今月から忙しくなる予定だけど、
これくらいのペースならいけるかな。

 小説(新規)23冊、小説(再読)12冊、
学術/ビジネス 12冊、その他2冊。

 小説以外の本も、ぼちぼち再読が入っている。
新書でも、何度も読むたびに新たな発見があったりするし。

 3冊紹介する。

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 まずはフィクション。

八月の銀の雪」(伊予原新)

 今年の本屋大賞ノミネート本の一つ。
表題作は、非常に綺麗な言葉を使う作家さんだな、と思ったけれど、
もともと理系出身で、科学や気象の話が織り込まれていて、
なんというか、私好みだった。

 全て独立した短編が5本。
どれもよい話だったけど、私は「10万年の西風」が気に入った。
原発技術者が旅行中に凧あげしている男性に会う話。

 旧日本軍の風船爆弾の話と、原発の再稼働の話を絡めてあって、
とても興味深く読むことができた。
ちょっと、この作家さんは追いかけてみたいと思う。

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 次、学術系

ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性
(タフナ・ジョエル/ルバ・ウィハンスキ)

 男女の脳に性差はあるのか?
一昔前に、男性脳、女性脳という話が盛り上がったことがあったが、
科学的には、男性と女性で性差はない?とも言われている。

 で、この著者はさらに一歩進んでいて、
性差はあるけれども、みんなが思っているほど大きくない。
また、どんな男性にも女性的なところがあり、
その逆もまた然り。

 冒頭にモザイク状に示された図があるんだけれども、
著者の言いたいことは、実はこの図1枚でほぼあらわされている。

 脳は個人差が大きく、モザイク状になっていて、
全体を通してみると、男性に多い特徴や女性に多い特徴はあるが、
個人差が大きく、ごく一部をのぞいてみんなモザイク状なんだよ、と。

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 男性脳、女性脳の話で私が疑問に思ったのは、
LGBTQなど、のセクシャルマイノリティーの人はどうなってるんだ?と。
そんなくっきりはっきり分かれてるもんじゃないだろう。

 実際、脳には可塑性がある。(これは、他の本にもあった気がする。)
例えば、女性は理数系が苦手だと言われているが、
そういう環境に身を置くから理数系が苦手になっていく要素が大きい。
つまり、社会が規定するジェンダーに合わせて脳が変化していくので、
結果として性差は出てしまう。

 もし、ジェンダーを完全に封印できたら、
男女差ってもっと少なくなるんじゃないのかな、と思う。

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 3つ目。

「非モテ」からはじめる男性学」(西井開)

 これも、少しジェンダーが関わってくる話だけれども。
「非モテ」という、全然異性にもてない男性のカテゴリがある。
その人たちの生態を通して、「男性とは」と学問にしている本。

 作者の西井さん自身も「非モテ」である。

非モテの男性が集まって、お互いの失敗を語り合ったり、
どういう感情で、どうしてこうなったか、を探求していく。

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 一言で感想を言うと、

「気色悪い」

 になる。これ、女性が読んだら引くんじゃないかな?
「非モテ」がストーカーしてしまう心理まで書かれているから。

 私も、女性にもてるほうではないし、
若いころは「非モテ」だったと思う。

 異性にもてないだけなら、男性も女性も一定(以上)の数がいる。
では、男性に特有の問題は、というと、
どうも、「拗らせてしまう」問題があるように思った。

 これもジェンダーの話になるんだけれども、
「男性は弱音を吐いてはいけない」
「情けないことを相談してはいけない」
という社会規範があるゆえに、非モテの男性は
 モテない女性よりもはるかに孤立しやすいんじゃなかろうか。

 昨今のネット環境は、悪い面もあるけれども、
こういう非モテな男性を緩くつなげる効果もある。
孤立して拗らせてしまうと、犯罪に走ることもあり得るので、
緩くでもつながっておくことが必要。

 別に、モテなくてもいいと思う。
恋人がいることが全てではないし、結婚できなくてもいいやん。
これは、女性にも当てはまるけれども、
「結婚しなくてはいけない」という社会規範が、
若者たちを追い詰めているところはあるんじゃないかと思った。

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 で、私の感想「気色悪い」だけれども、
この感想自体が、彼らをラベリングして追い詰める可能性がある。
なので、あえてこの感想をぶつけてるんだけどね。
 私だって一歩間違えればそうなっていた可能性はある訳で。

 モテないのは彼らに問題があるからだ、というのは真理だが、
だから努力しろ、といっても何も解決しない訳で。
どういう理由でその問題が発生しているのか?
どのように解決の道筋を立てるのか。

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 もともと論文だったこともあり、かなり難解な本だった。
ただ、作者が真剣にこの問題に取り組んでいるのは分かった。

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 さて、今年もあと2か月。
すかっと目の覚めるような傑作に出会いたいんだけどな。

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