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読書記録 2022.6

 2022年6月の読書記録

2022年6月の読書まとめ(読書メーター)

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 6月は28冊読了。
小説(新規)14冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 6冊。エッセイ/その他 2冊

 今年上半期では合計177冊、と。
4月以降忙しいからこんなもんかな。

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 今月の3冊。

まずは小説から。

夜が明ける」(西加奈子)

2022年本屋大賞第6位。
西さんは本屋大賞常連だけど、まだ大賞はとってない。

主人公と、親友「アキ」の高校生から30代までを描いている。
主人公が男性で、人生を追っていくのは
西さんのこれまでの作品だと「サラバ!」に似てるかな。

しかし、平和だったのは高校時代、学生時代までだった。

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 その後、テレビの制作会社で働き始めた主人公は、
終わらない激務にどんどん削られていく。
相対的な貧困生活。何かと戦い続けていく日々。
これ、かなり読むのが辛かった。

 メッセージはわかりやすい。

苦しかったら助けを求めろ

 ほぼ、これだけだ。
なんで、一人で苦しんでいるんだろう?
もっと、周りに助けを求めれば、はるかに生きやすいのに。


 こういう、「支援」が必要な人に支援が届かない。
支援から遠ざかろうとしているかのようだ。
でも、こういう人にこそ支援が必要。

 いつかは、「夜が明ける」のだろうか?
西さんのパワーに圧倒された。

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 学術系。

これが私の薬剤師ライフ 6年制卒50人がキャリアをかたる」(日経DI)

 薬学が6年制になり、6年制の卒業生が初めて出てから10年。
どんなキャリアを積んできたのか。
50人もの卒業生のキャリアが書かれている。

 特徴としては、
「途中で変わっている人が多い」ということ。
(まぁ、そういう人を集めたんだろうけど。)

 大手調剤薬局に10年間勤めました、という人は
ほとんど紹介されていなかった。

 病院から薬局に行った人、
大学院に戻って研究者になってる人、
医学部に入って、医師になってる人、
起業した人、いきなり新規に薬局を立ち上げた人、
治験に関わっている人、政治家になった人。

 本当に、さまざまなキャリアがあるんだなぁ、と。

パラレルキャリアな人も、結構いる。

「薬剤師 × ウェブデザイナー」とか。
その辺も、最近の流行を抑えている感じ。

 いやー、6年制すごいわ。
何だろう、自分のやりたいことを貫いている人が多い。
(というかそういう人を意図的に集めてる。)

 今から就職先を探す薬学生が読むといいんじゃないかな。
逆に、私みたいなおじさんが読むと、
自分のキャリアがあまりにもへぼいのでちょっと辛い。w

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 キャリアを考えられる人っていうのは、
基本的に「生活に困っていない人」だと思う。

 6年制の薬学を卒業できる時点で、
そういう人が多いのかな?と思ってしまった。

 生活に困ってたら、自分のやりたいことなんて言ってらんない。
とりあえず、食べていけることが大前提だし。(苦笑)

 私は、(それほど)仕事に生きがいを求めていないので。
ある程度お金もらえればそれでいいのさ。
生きがいは、他で見つけるから。

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 最後、もう一冊小説で。

残月記」(小田雅久仁)

 2022年本屋大賞第7位。
小田さんは2009年にデビューしたらしいんだけど、今作が3冊目。
え、めっちゃ寡作やん……。

 月をテーマにしたダークなSF小説の短編集。
といっても、半分以上が表題作の「残月記」なので、
「残月記」単独で出版してもよかったんじゃないかと思うが、
 テーマが「月」で共通しているし、
このタイミング逃すと次にいつ本出るかわからんし、
というので一緒にされたんじゃないかと思う。

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 「残月記」では、架空の感染症「月昂」に感染した人の話。

 月昂は、満月になると普通ではない能力、創造力を発揮できるが、
感覚が鋭敏になり、性欲が亢進する。

 逆に、新月の時期は活動量が落ちて眠り込んでしまい、
そのまま目覚めずに死んでしまうこともある。(致死率3%くらい)

 感染初期に高熱をはじめとする症状が出て、
この時に亡くなってしまうことも多いが、
ここを乗り越えても、毎月、死の恐怖と戦うことになる。

 ただ、満月になると色々な能力が開花するので、
「月昂文学」のような詩人や、芸術家も多い。
短命だが。

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 感染症なので、基本的に世間から隔離される。
この世界では、日本に独裁政権が誕生していて、
この独裁者が、月昂者の人権を無視して、
非人道的な隔離政策を敷いている。

 ……という感じで始まる話で、
普通に読めば「難病モノが始まるのかな」と思いきや、
全然違う方向に話が突っ走っていく。
気になる人は、実際に読んでみて欲しい。

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 性的な描写もあるし、暴力的な話も多いので
あまり子供には読ませたくないな。

 ただ、一度読めば忘れられない強烈な「愛」の話だ。
他にどんな作品書いているのか読んでみたいな。

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 と、今月は本屋大賞候補作を複数読んでみたけれども、
傾向として、本屋大賞って「重い」話が流行りなのかな、と。

 去年の「52ヘルツのくじらたち」も重かったし、
今年の大賞「同志少女よ、敵を撃て」も重い。

 今月紹介した2作も、負けず劣らず重い。(苦笑)
連続して読むと疲れるなぁ。

 これ、本屋大賞に投票する書店員、
大変なんじゃないかなあ、と思ったりして。

 

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