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2022年8月

検査は必要?


 大阪府は、重症化リスクの低い人にむけて、
抗原検査キットの無料配布事業を、薬局で行っている。

 いちおう、明日まで。
たぶん、延長されると思うけど。

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 実は、問題点は山ほどある。
業務がパンクして通常業務が滞っている薬局もあれば、
ほとんど対応せずに協力金だけ掠め取る気としか思えない薬局。

 ほぼノーチェックでばら撒いている薬局もあれば、
チェックが厳しすぎるところもあったり。

 突貫工事で作り上げた仕組みだから、
制度がザル。やろうと思えば悪いことできるよな。

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 あまり書くとやばいので、
今日の本題は少し、角度を変えて。

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 この対象者、本当に検査が必要なのか?という話。

 重症化リスクの低い層に検査キットを配布する。
もし、検査で陽性が出たら?
基本的にはオンラインで確定診断をもらって、
自宅療養という形になるようだ。

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 とはいえ、薬は特別なものなんかない。ただの風邪薬だけ。
正直、普通に売ってる風邪薬で十分だ。
あとは、栄養とって寝るだけだ。
呼吸が苦しくなれば、病院に行ってもらう必要があるけど。
それはコロナでなくたってそうでしょう。

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 実は、子どもが体調悪くて検査キット使って検査してみた。
(何回やっても陰性だった)

 これ、陽性だとしてもオンライン受診したかなぁ?
どうせ夏休みだったし、薬もアセトアミノフェンくらいもってるし、
ちゃんと隔離すればいいだけ。

 陰性だったとしても、体調悪い間は外に出ちゃいけないし、
コロナでなかったとしても、マスクは必要。

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 これ、検査必要か?

 今後、コロナはどんどん日常になっていくと思われる。
もはや緊急事態宣言を出す気はないし、
行動制限をする気もない。なのに、医療はパンクしている。

 それは、低リスクの人たちが検査を求めてるからじゃないのかな?

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 コロナ騒動の一番最初の頃にも書いたけどさ。

 検査に意味があるのは、
検査結果によって、治療に変化がある場合だよ。

 たとえば、ハイリスクの人だったら、
コロナ陽性なら、すぐに抗ウイルス薬を投与したほうがよい。

 でも、最初から適応にならないリスクの低い人だったら、
陽性でも陰性でも、治療は何も変わらないのよ。
医学的には、この検査は無意味に近い。

 仮に陰性だったとしても、「よかったね」とはならない。
コロナじゃなきゃ元気になると決まってないからね。
症状がある以上、対応は必要な訳で。
で、それは現状、セルフメディケーションでも対応できる。

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 欧米が、ウィズコロナでうまく回っているのは、
その辺をうまくやってるからじゃないのかな。

 すなわち、症状があれば休む。
無駄な検査しない。自分で治す。
そうすれば、医療はハイリスクの患者さんに注力できる。

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 今は、社会の方がウィズコロナになっていない。

たとえば、保険関係でコロナの診断書が必要、というところは
あるだろうけど、今後はそういう保険自体がなくなると思う。
ここまで感染者が増えてしまうと、保険が成り立たないだろ。

 あとは、学校や会社に提出する診断書が必要、というところ。
これも、社会全体としてすっ飛ばしてしまえばいいんじゃない?
前にも書いたけど、

「体調が悪いから休みます」

 これを、無条件で認めてくれればよいだけだ。
そうすれば、無駄な検査が必要なくなる。

 日本人は、検査が好きすぎるんだよね。。

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 こないだ、抗原検査キットを渡したご家族から電話があった。
息子さんが陰性だったけど、お母さんが陽性だった。
(二人とも症状あり)

 息子さんにもう一回検査をしたいので、
検査キットをもう一度くれないか?

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 大阪府では一人一個限りだからお断りしたけどさ。

 これ、検査必要か?
同じ症状があって、片方がコロナなら、
もうみなし陽性でいいだろ。

 かりにもう一回検査して陰性だったら、
この息子はあちこちを歩き回る気なのか??
私が医師なら、「コロナ陽性だと思って行動しなさい」
っていう。

抗原検査キットなんて、そこまで感度よくないから。
普通に偽陰性でるからね?

 陽性でても陰性でても、結果はかわらん。
何の為に検査必要なの?

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 まして、息子が高校生だってんなら、
そりゃ学校休めばいいだけなんだよ。
薬は届けてあげるから、おとなしく家で寝てなさい。

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 検査キットが通販で買えるようになるらしいけど、
最終的には、検査キットが不要な世の中を目指すべきだと思う。

 各自、責任をもって自分を隔離してくれれば
それでいいんだよ。

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読書記録 2022.7

 2022年7月の読書記録。

2022年7月読書まとめ(読書メーター)

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 7月は30冊読了。
小説(新規)12冊、小説(再読)9冊、
学術/ビジネス 8冊、エッセイ/その他 1冊。

 30冊読了は今年2月以来。
それでも、1日1冊ペースには届かない。
読み返したい本がたくさんあったので、
読書ペースが上がったようだ。再読の方が時間かからんからね。

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 今月の3冊。

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 まずは小説。

六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成)

 2022年本屋大賞第5位。
就職活動の最終面接に残った大学生六人。
最初は、六人でプレゼンをして、全員合格もありえる、という話
だったんだけど、結局のところ合格者は一人に絞られる。

 それも、

「あなた達六人でグループディスカッションをして、
 誰が入社するにふさわしいかを決めなさい」

 という、とんでもないルール。
結局、一定時間ごとに(自分以外の)誰かに投票して、
累計の得票数がもっとも多い人が合格、という。

………ライアーゲームか?

 というレギュレーションになった。

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 で、ここで事件がおこる。
刑事事件ではないが、誰が合格するかを大きく左右する
大事件。これの犯人は誰なのか?動機は?
というミステリーになる。

 あんまり話すとネタバレになるけれども、
結局のところはね、「就活って何?」って話。
そういう意味では、朝井リョウの「何者」に近いかなぁ。

 いろいろなところにちゃんと伏線も張ってあるから、
やろうと思えばしっかり推理できると思う。
テーマもさることながら、ミステリーとして面白かったな。

 そんなに重くないし、読み味も悪くなかった。
私は普通の就活してないからよくわかんないけど、
これってキツイよねぇ、って思った。

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 次、学術系

ビッグデータが明かす医療費のカラクリ」(油井敬道)

 同じ病気でも、医療費が全然違うことがある。
いや、薬剤師だから知ってるんだけどね。(苦笑)

 同じ糖尿病でも、
安井さんは「メトホルミン90日処方」
高田さんは、「SGLT2阻害薬30日処方」

 これ、効果が似たようなものでも値段は3倍違う。

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 医療にどこまでコスパを求めるのか、という話になるのかな。
メトホルミンは、極端にコスパのよい薬だけど、
SGLT2阻害薬だって、高いけど副次的効果が期待できる。。
かも知れない。

 ま、私が服用するならメトホルミンだけど。w

 これ、大まかに医療費を示した上で、
患者さんと相談して決める方がいいのかも知れないなぁ。

 まだまだビッグデータは出そろってないけど、
今後、どんどんデータが集まってくると
医療が変わっていく可能性は大きいと思う。

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 コスパ最強は、バイアスピリンじゃないかと思う。
世界で最も、人類に貢献している薬ではないだろうか。

 それが、19世紀に発見された薬だっていうんだから、
この業界の特異さがわかるよね。
未だに、コスパでアスピリンを超える物質が出てこないんだから。

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 最後。そのた。

本当の貧困の話をしよう」(石井光太)

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 貧困は、SDGsの一番最初に出てくる目標だ。
ある意味、最終目標でもある。
「世界中から、貧困をなくそう」というんだから。

 貧困って、対策すればなくすことができるんだ。

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 で、作者が日本や海外でみた、本当の貧困の話。

 日本の特徴は、貧困が見えにくいことだ。
普通に中学校に通っている子ども達の中に、貧困が紛れ込んでいる。
そういった子どもは、自分が「周りとは違う」ことを認識させられるので、
自己否定感が強くなり、悪循環にハマっていく。

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 海外だと、スラム街のように、
「経済的に貧しい人が集まって暮らしている」ことが多い。
この場合、生活は苦しくても、
「自分は貧困だ」と認識しないことがある。
だって、自分の周りもみんな同じ生活してるんだもん。

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 もっとも、その中でもストリートチルドレンだけは別格にヤバい。
スラム街から、さらに零れ落ちた子ども達。

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 今の日本は、過剰に自己責任が求められる世の中になりつつある。
ちゃんと、福祉なりなんなりで補償してあげることが、
結果としてみんなのためになるんだけどな。
そこを放置するから、犯罪が発生する訳で。

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 例えば、安倍さんの暗殺事件にしてもそうだよね。
あの犯人(容疑者)を、「カルト教団の被害者を助けよう」
という人たち、可能であれば政治が助けてあげていればさ、
あんな凶行はおきなかったんじゃないのかな??

 ただ、これは他の本の話だったけど、
「本当に支援が必要な人ほど、支援をはねつける」
ということがあるので、これがなかなか難しいんだが。

 SDGsの本丸は、貧困対策なんだ!
って強く主張したくなった。

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 さて、7月はこんなもん。
実のところ、この3冊を選ぶのはかなり苦労した。
正直、7月はあまりいい本に会えなかったような。
あえて選ぶならこの3冊かな、というところ。

 

 

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