« 検査は必要? | トップページ | 読書記録 2022.9 »

読書記録 2022.8

 2022.8の読書記録。

2022.8の読書まとめ(読書メーター)

.

 8月は24冊読了。
小説(新規)12冊、小説(再読)5冊
学術/ビジネス 6冊、エッセイ/その他 1冊。

 厚い本も多かったからこんなもんかな。

.

 今月の3冊。

.

 小説
ぼくらに嘘がひとつだけ」(綾崎隼)

 もともとメディアワークスでラノベ出身?の綾崎さんだけど、
去年から立て続けに文芸書の単行本がでている。
去年「盤上に君はもういない」で、まさかの将棋小説を書いていたけど、
今作は将棋小説シリーズ第2弾になるのかな。

 といっても、続編とかそういう訳ではなくて。
登場人物が少し重なってるけど、基本的には違う話。

.

 二人の女流棋士に生まれた子供たちの取り違え?事件。
両親ともに棋士の家庭に育ち、周りに将棋しかない環境の子と、
落ちこぼれの女流棋士の子どもで、いわゆる貧困層だけど
将棋の才能にあふれる子ども。この二人が奨励会で出会う。

 何を書いてもネタバレになりそうだな、これ。
あくまで将棋界のことを書いた小説であって、
がっつりと将棋の内容まで突っ込んでくることはない。

.

 綾崎さんって、ミステリ作家だ。それも叙述トリックが得意。
でも、家族とは。才能とは。友達とは。
そういったところをテーマにしてくることが多いと思う。
 綾崎さんの本は全部読んでるけど、他の作品も
基本はミステリなんだけど、家族とか才能をテーマにしている。
天才の苦悩とかね。

 結末にはびっくりさせられるけど、
それでも、前向きで終わらせられるところがすごいなぁ。
この二人の未来も見てみたい。
また、どっかで書いてくれるかな?

.

 次。学術系。

なんで使うの?そのくすり」(村川裕二、高山和郎)

 医師による、薬剤師向けの薬の解説書、かな。
添付文書には載ってない、使う側の医師の「感覚」が書いてあって面白い。

 全部で108種類の代表的な薬について書かれているが、
わかりやすいキャッチフレーズがよい。

 たとえば、

「ロキソニン ~確かにちょうどいい感じの鎮痛薬~」

「リウマトレックス ~リウマチ治療のアンカードラッグ~」

「アルダクトンA ~欠かすことのできない名脇役~」

「プラビックス ~世界で最も処方されている抗血小板薬~」

「サインバルタ ~二刀流の抗うつ薬~」

「イーケプラ ~抗てんかん薬のジェネラリスト~」

.

 内容は、知っている内容も多いけれども、
こぼれ話やちょっとしたネタも入っていて、「へー」って言ってしまう。
新人薬剤師や、復習したい薬剤師にちょうどよい感じじゃないかな。

 できれば、商品名ではなくて一般名で書いて欲しかったけど。
その辺、微妙なところだと思う。
もはや、今の若手薬剤師は一般名の方がなじみがあるんじゃないかな。

.

 フロモックスが、やっぱりディスられてて笑った。

「フロモックス ~日本で最も頻用されている経口セファロスポリンであるが、第一選択となる感染症はない~」

 適応(どういうときに使うか) 基本的に使用する機会はない。

.

 なんで、使用する機会のない薬が、最も頻用されているんだろうね?w
そもそも、第3世代セフェムを優先して使用すべき感染症はない、とのこと。
にも拘わらず、日本で最も頻用されている、と。

 とりあえずセフカペンピボキシルだす先生、いまだに多いからな。
これは、薬剤師側というよりも医師側の問題だと思うんだが。

.

 その他。

ペリー提督日本遠征記」(M.C.ペリー)

 幕末、浦賀に来航したペリーによる、日本遠征記。
日本では非常に有名だけれども、ペリーがどういう意図で日本に来たのか、
そこまで掘り下げて教わることはあまりない。
 遠征記というよりも、探検記といった方が近いな。

.

 まず、ペリーの日本遠征(?)は、
ものすごく緻密な計画を立てたうえでの話だった。
1853年にいきなり来航した訳だけれども、
その前までの流れを抑えておくと、
むしろ、日本側もこの来航を予想できたんじゃないか?
というくらい。

 ずっと鎖国していたけれども、
海外から貿易や開国を求める声はずっとあった。
ペリーの考察では、それは「オランダが止めていた」のだそうな。

 オランダは、日本との貿易を独占したいがために、
幕府には常に自国以外の欧米を悪く言っていたようだし、
日本としても、オランダ以外との欧米の接点がなかったので、
それを信じるしかなかった訳で。

 ロシアは、特に日本の開港を強く願っていて、
実際に動き始めているところでもあった。
ペリー、アメリカは、「満を持して」日本を開国させにやってきた。
日本のことをよく研究したうえでの話だ。

.

 意外だったのは、ペリーはあちこちに顔を出していたところ。
むしろ、日本よりも琉球の方が滞在長いんじゃないかというくらいだし、
小笠原諸島にまで足を延ばしていたりする。

 1853年の来航時は一旦「来年の春にまた来る」と言って帰るが、
このあとペリーはアメリカに戻っていない。琉球や香港あたりで
情報収集を続けている。
 で、ロシアが日本に開国を迫るんじゃないかという情報を聞き、
予定よりも早く再来日したりして。

.

 日本に対しては、とにかく毅然とした対応を。
正直、武力にモノを言わせてる感じがめっちゃあるけど、
当時の状況から考えると当たり前だったのかな。

 また、(当時の)日本人の優秀さも記録されている。
決して、未開の蛮族のような書き方はしていない。
特に、密航しようとした吉田松陰に対しては
(名前は出ていないが日本側の記録考えるとそうとしか思えない)
日本とのルールがあるので連れていくことはできないけれども、
その知的好奇心、向上心の強さを称賛している。

 全体の印象としては、
この交渉は、準備段階で結果が見えていたような気がするな。
ペリーはそれくらい日本を研究してきていたから。
何よりも準備が大事、ということで。

.

 さて、今月はちょっと冊数が減ったけれども、
実は、今回も3冊を選ぶのに苦労している。
うーん、冊数読めばいいってもんじゃないってことで、
今年は量を落としているけれどもね、やっぱり、

 数をたくさん読めば、
それだけいい本に当たる数は多くなる。

 これも一つの真理なんだよなぁ。

 

|

« 検査は必要? | トップページ | 読書記録 2022.9 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 検査は必要? | トップページ | 読書記録 2022.9 »