#読めよ薬剤師2022
年末恒例になってきた、
るるーしゅさんの企画
【2022読めよ薬剤師企画】
《企画概要》2022年に読んで「オススメ」っていう書籍を
他の薬剤師にオススメする
《日時》2022年12月29日(木)21時〜
というわけで、今年も参戦する。
1冊目、フィクション。
「オオルリ流星群」(伊与原新)
伊与原さんは、昨年「八月の銀の月」で
本屋大賞にノミネートされてる。
もともと、理系の研究者だけあって、
科学を下敷きにした小説をたくさん書かれている。
20年以上前、高校の文化祭でオオルリのタペストリーを作った
高校生たちが、45歳になって、地方の天文台を手作りする。
すでに中年と言ってよい年齢だけど、
昔の、高校生の文化祭のノリで
多くの友人たちの手を借りながら天文台を作り上げていく。
作中に「45歳定年説」というのが出てくる。
セカンドキャリアを考えると、
45歳くらいで一度仕事を変えた方がよい、という話。
現役で働くのを65歳くらいまで、と考えるなら、
45歳ってちょうど半分くらいになるんだ。
50歳すぎてしまうと、新しいことを始めるのは勇気がいるし。
また、仕事自体を変えるのではなくて、
仕事のやり方を変えるのもいいかも。
全体としては、青春モノであり、天体モノでもあるんだけれども、
私にはもう一つ興味深いところがあって、
主人公(の一人)は、地元で薬局をやってる薬剤師。
大手のドラッグストアチェーンが進出してきている中、
どうやって生き残っていくか、という話もあったりする。
まぁ、実際は天文台にかこつけて、
なかなかそっちは進まないんだけれども、
天文台の仕事を手伝ったからこそ、
新たに一歩を踏み出せるのかも知れない。
なぜこの作品を推すのかというと、
単に私が45歳なので。w
社会人生活もちょうど半分。
キャリアを見直すにもいい時期なんだ。
.
次、学術系。
「これが私の薬剤師ライフ
6年制卒50人がキャリアをかたる」(日経DI)
では、若手薬剤師はどんなキャリアを積んでいるのか?
というわけで、2冊目はこの本になった。
薬学が6年制になり、6年制の卒業生が初めて出てから10年。
どんなキャリアを積んできたのか。
50人の卒業生のキャリアが書かれている。
特徴としては、
「途中で変わっている人が多い」ということ。
大手調剤薬局に10年間勤めました、という人は
ほとんど紹介されていなかった。
病院から薬局に行った人、
大学院に戻って研究者になってる人、
医学部に入って、医師になってる人、
起業した人、いきなり新規に薬局を立ち上げた人、
治験に関わっている人、政治家になった人。
本当に、さまざまなキャリアがあるんだなぁ、と。
パラレルキャリアな人も、結構いる。
「薬剤師 × ウェブデザイナー」とか。
その辺も、最近の流行を抑えている感じ。
.
いやー、6年制すごいわ。
何だろう、自分のやりたいことを貫いている人が多い。
今から就職先を探す薬学生が読むといいんじゃないかな。
逆に、私みたいなおじさんが読むと、
自分のキャリアがあまりにもへぼいのでちょっと辛い。
.
3冊目はフィクション、というか
半分ドキュメンタリー。
「機械仕掛けの太陽」(知念実希人)
知念さんのコロナ小説。
というか、ドキュメンタリーに近い。
主要な登場人物は架空だと思うけど、
起こった事件は、全て現実のものだろう。
第1波から始まって、オミクロン株まで。
もう、本当につらい。何なの、このウイルス。
まだ3年もたってないのに、もう過去の話を忘れそうになってる。
そうそう、ワクチンが出た時の期待感はすごかったんだよ。
.
でもウイルスの変異がそれを上回ってくる。
個人的には、エチゾラムに頼りすぎて壊れそうになる
看護師さんがよかった。
昔は気軽に出されてたエチゾラムだけど、結構強い薬なんだ。
この本は、歴史書のような価値が出てくると思う。
あの当時の医療機関の混乱や過酷な状態が書かれているから、
そうそう、あの時はそれだけきつかったんだよ、って。
みんなで思い出しながら笑える日が来ればいいな。
作中には「ネット中毒の医師たち」が
コロナやワクチンの正しい情報を伝えるのに
奮闘している様子も描かれている。
いや、知念さんも「ネット中毒の医師」だよね。ww
ちょっと自虐っぽくて面白かった。
.
さて、今年はフィクションを2冊ぶっこむ、
という暴挙に出てみた。
ほかの薬剤師に読ませたい、という以上、
たいていが学術や勉強系の本になると思うんだけど、
あえてそれに抗ってみる。w
ストレートに勉強になる本以外からも、
得るものはいっぱいあるんだよ、と言いたいので。
ほかにも、紹介したい本がたくさんあるんだけどね。
っつーか、毎月3冊紹介してるので、
この企画の時は、ほぼコピペしてるだけ。
実際どうなんだろ?
私が紹介してるから読んでくれる人とかいるのかな??
.
年末は、この企画でシメ。
年始からは、ほかの薬剤師さんが紹介してくれた本を
ひたすら図書館で探して読む、という日々が始まる。
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