読書記録 2023.1
2023.1の読書まとめ(読書メーター)
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1月は27冊読了。
小説(新規)11冊、小説(再読)4冊、
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 3冊
今月は、本屋大賞ノミネート作が発表された。
たまたまだけど、ノミネート作を今月だけで3冊読んでいる。
ノミネートが発表されてから買った訳ではなく、
図書館で予約していたりしていた本が、
いいタイミングで回ってきただけ。
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今月の3冊。
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まずは小説
「川のほとりに立つ者は」(寺地はるな)
本屋大賞ノミネート作。
意外にも、本屋大賞ノミネートは初めてだったらしい。
最近、コンスタントに話題作を連発してるから、
何となくとっくにノミネートされてるものだと思ってた。
このブログでは、2021.8に「水を縫う」を紹介している。
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タイトルの「川のほとりに立つ者は」というフレーズは、
作中に出てくる、別の本(さすがに架空の本だと思う)の引用
「川のほとりに立つ者は、水底の石の数を知り得ない」
この作品、連載中は「明日がいい日でありますように」
というタイトルだったらしいのだが、
単行本化にあたり、改題した。
それが「川のほとりに立つ者は」
読み終わってみると、これ、鳥肌が立つような言葉だ。
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主人公はカフェの店長、清瀬(名前。女性)
しばらく連絡とってなかった、恋人の松木が
怪我をして意識が戻らない、と病院から連絡を受ける。
もっとも、松木と清瀬はコロナ以降で
いろいろと行き違い、すれ違いがあり、
ほとんど会えていなかったのだが。
松木は、清瀬に隠していることがあった。
それが原因ですれ違いがあったんだけれども、
清瀬は、松木の部屋に残されたノートから、
その秘密を少しずつ知ることになる。
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少しだけネタバレをすると、
この話は、「ディスレクシア」「発達障害」が
テーマの一つになっている。
ディスレクシアは、読み書きが異様に苦手なこと。
とにかく、字が書けない、読めない。
実は、そのほかのことは人並みに、
もしくは人並み以上にできるのに、
文字が書けないので、学校の勉強はまるでダメ。
ただ、それも特性というか個性の一つ。
実際、文字が書けないだけで、受け答えは普通にできる。
誰かに読んでもらえれば、物語も理解できるし、
頭が悪い訳ではないので、
口述筆記なら素晴らしい文章も書けたりする。
最近は、オーディオブックとかも出てきてるけど、
あれって、ディスレクシアの人たちには、
とても有難いんだろうなぁ。
文字が苦手なだけで、文学的な素養が無い訳ではないので、
ディスクレシアの詩人とか、作家とかも出てくるかもね。
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私は、もともとディスレクシアという言葉も知ってたし、
発達障害に関しては、最近、いろいろと本を読みこんでいる。
「ああ、なるほど。こういう系の話なのね」
と思いながら読み進めていたら、
最後で見事に裏切られた。
結構ショックだった。
なるほど、私も「川のほとりに立つ」だけの人間だったか、と。
知らない、わからないともちろん理解できないのだけれども、
知っているからといって、理解できているとは限らない。
むしろ、そういうレッテルをはり、理解した気になる分、
かえってタチが悪いんじゃないのか?と思った。
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次、学術系。
「誰も教えてくれなかった 実践薬学管理」(山本雄一郎)
これは、#読めよ薬剤師2022で、一番人気だった本。
山本先生のお名前は知っていたけれども、
なぜか、一つも読んだことなかった。
うーん、私は昔から薬歴苦手だったなぁ、と思った。
苦手だったから、あえて避けてたのかもしれない。
勉強で得た知識を、実際の服薬指導にどう活かすか?
それを、多くの実践例で紹介してくれている。
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知識としては、知っていることが多かったけれども、
私はそれを実践で活かしきれていない。
特に、患者さんに対しては。
いや、薬剤師になって20年くらいになるんだけど、
20年たってもこんなレベルじゃダメだろう、と
恥じ入った次第だ。
ものすごく高い壁だけれども、
目指す到達点は、こういうところなんだな、と思う。
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うん、そりゃ「読めよ薬剤師」だわ。
若いうちにこれ読んでたら、もっとマシな薬剤師になれたかな?
いやいや、まだあと20年は働くつもりなんだから、
もっと頑張らにゃならんよね。
とはいえ、日常の仕事は、これとは程遠いレベル。
一日一人でもいいから、「私、いい仕事した!」と
胸を張れるレベルの服薬指導をしないとね。
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最後、もう一つ小説
「方舟」(夕木春央)
これは、昨年から話題になっていた、ミステリー作品。
多分、ノミネートに入ってくるだろうな、と思っていたが、
予想通り、本屋大賞にノミネートされた。
夕木さんの名前なんて、全く知らなかったし。
この作品で一気にブレイクしたようだ。
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大学時代の友達と、頭の切れる従弟と一緒に、
なぜか山奥の地下建築を訪れた主人公。
そこに、偶然出会って迷い込んだ三人(家族)も
合流し、計10人で一夜を過ごすことになる。
翌日の明け方、地震が発生して出口の扉が塞がれる。
さらに、地盤の異変で地下水が流入しはじめる。
地下建築が水没するまで、推定1週間。
当然のように、電波は届かない。通信手段もない。
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そこでおきる、殺人事件。
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もう、絵にかいたようなクローズドサークルのミステリー。
しかも、時限装置つきである。
さらに、誰か一人を犠牲にすれば、
残りの人間は脱出できる、という構造になっている。
じゃぁ、事件の犯人を見つけ出し、
そいつに犠牲になってもらおう、ということになり、
残された9人で捜査を始める。
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そこでおこる第二の殺人。。
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そんな感じ。
いや、設定盛りすぎだろ、と。w
で、なぜか主人公についてきていた従弟が
探偵役となって、極めて理論的に推理していくんだけど。。
これ以上は何を書いてもネタバレになるな。
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ま、読んでみ。
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としか書けない。
いや、これよりもすごい作品もあるんだろうけどさ、
そうそう本格ミステリに触れない人たちには、
この読書体験は、ぜひおすすめしたいな。
そして、感想を語り合いたい。w
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本屋大賞にノミネートはされたけど、
大賞は厳しいんじゃないかな、と思う。
私は、ノミネート作全部読んだ訳じゃないけど、
少なくとも私の感想では、
寺地さんの「川のほとりに立つ者は」
の方が上なのよね。
本屋大賞って、過去をみても
ミステリーってほとんどないんだよな。
「謎解きはディナーのあとで」くらいだけど、
あれだって、ミステリーというよりは、
コメディーに近いと思うし。w
特に近年は、テーマをもった「重い」
作品が受賞する傾向にあると思う。
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でも、あまり本を読まない人に一冊だけ勧めるなら、
「方舟」を選ぶなぁ。
エンタメとしての読書体験で言うなら、
「方舟」は、かなり上位に入るのよ。
でも、ミステリーって前評判が良すぎるとね、
読むときに変なフィルターがかかったりするから。
この作品は特にそう。
まっさらな状態で読んでほしいから、
あえて本屋大賞を取らせたくない気がする。
何かの拍子にネタバレくらうのも嫌だしさ。
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