読書記録 2023.2
2023.2の読書まとめ(読書メーター)
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2月は24冊読了。
小説(新規)12冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 6冊、エッセイ/その他 2冊
やや少なめだけど、2月は28日しかないから。
難解な学術書読んでたら、
それ一冊に三日かかったってのもある。
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今月の3冊。
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小説から。
「アルツ村」(南杏子)
南さんは、高齢者医療を専門とする医師の小説家。
これまでも何冊か読んでいたけれども、
基本的には医師の活躍や、在宅医療の話が多かった。
でも、本作は主人公こそ看護師だけれども、
がっつり医療の話、というわけではない。
どちらかというと、ホラーじゃないかと思う。
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北海道の、辺地。場所もわからない山奥。
そこに、全国から高齢者を集めた村がある。
もちろん、高齢者だけでは生活が成り立たないから、
医療や介護のスタッフはいるけれども、
基本的には自立した生活を送っている。
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その村の住人は、程度の差こそあれ全員が認知症。
都会では、特養なんて空きがなくて入れない。
東京は高齢者率が低いとはいえ、
もともとの人口が多いんだから
高齢者の絶対数は多い。
では、地価の安い北海道に、
認知症の高齢者ばかりを集めて、
集中的にケアをすればよいのでは?
そういうコンセプトで作られた村。
いや、姨捨山かよ、と思うかもしれないが、
これはこれで高齢者にもメリットがある。
自分の好きなこと、得意なことをすればよい。
農業でもよいし、モノづくりでも。
自分の好きなことをすることが幸せだし、
認知症でも穏やかに過ごすことができる。
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話としては、もっと裏にいろいろと
怪しげな陰謀めいたものが出てくるんだけど、
そこはネタバレになるので。
そっちの方も怖いけど「あり得る」話かな、と
思ってしまった。
「社会的処方」(西智弘(編著))
社会的処方とは、従来の医療の枠組みでは対処が難しい
問題に対し、薬ではなくて「地域での人のつながり」
を処方すること。
例えば、ご主人が認知症で、介護に四苦八苦している女性とか。
もちろん、医療や介護による介入は大事なんだけれども、
家に籠りきりになってしまうのがよくないんだよね。
社会との接点がなくなってしまう。
いわゆる、「孤立」が問題。
そこで、少しお話ができる場所とか。
サークルとか。そういうところとつながることで
「孤立」が解消できれば、むしろ過剰な医療や介護を
減らせるかもしれない。
医療や介護は、田舎の方が明らかに手薄なんだけど、
でも、田舎のお年寄りの方が元気だ、という実態もある。
地域とのつながり(若い人からみると「しがらみ」)があるから。
社会的処方とは、そういうつながりを作っていくこと。
昔でいうところの「地域」との関わり方かな。
いろいろな事例が紹介されていて面白かった。
タバコ好きで集まった愛煙家登山とか。
普通、医療者は喫煙を否定するんだけれども、
否定されたところで、やめない人はやめないよね。
ところが、そういうタバコ好きが集まって
色々なイベントをこなしているうちに、
自発的に禁煙する人が出てくるそうだ。
このイベントでは、喫煙を一切否定しない。
「北風と太陽」のような話だな。
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一番、印象的だったのは
「仕事付き高齢者住宅」
認知症や障害を持っている方たちが住むんだけれども、
ここで店員として仕事をさせる、と。
ちょっとした駄菓子屋、とからならまだわかるんだけど、
これがレストランだっていうから恐れ入った。
それぞれの入居者の特性に合わせて仕事を割り振れば、
ちゃんと仕事ができる。
そして、仕事をして社会とかかわっていることが、
高齢者にもよい影響を与えることは間違いないよね。
実際にやるとなると、「いや、そんなん管理できるのか?」
とか、いろいろな問題が立ちはだかるだろうけどさ。
でも、できることからやっていくことは大事。
大切なことは「世界を一歩でも先に進めること」
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もうひとつ。
「マイナスをプラスに、ではなく、プラスをダブルプラスに」
その人のできないところをみつめるのではなくて、
できることを際立たせてあげよう、ということ。
認知症だから、これができない、あれができない、ではなくて、
昔の経験があるから、こんなことできるよね。
あんなこともできてしまう。
この辺、「アルツ村」にも少しつながる話。
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最後
「安い・美味しい・簡単 実践健康食」(岩田健太郎)
感染症の専門家、イワケン先生の新書だけど、
感染症はほとんど関係ない、健康食の話。
この先生、神戸大学教授で研究、教育、臨床と
かなり忙しいはずなんだけれども、
その合間をぬって自炊しているらしい。
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健康な食生活には、持続可能性、そしてお金も大事。
例えば、「こうすれば健康的に痩せられる」なんてのは、
どうすればよいか、わかっているんだよね。
ただ、それに持続可能性がありますか?という。
わかっていても、毎日まずいものや高価なものばかり
食べられるわけはないだろう。それが「持続可能性」
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今月読んだ本で、
「人はなぜ太りやすいのか」という本がある。
(これ読むのに三日かかった)
ものすごく、厳密に学問的に書かれた本なんだが、
「どうすれば、太らないのか」という記述は
ほぼなかった。w
つまり「簡単に痩せられる方法なんてない!」
ってことなんだろうな。
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昔から言われていることだけれども、
一つのものを集中して取るのはよくないよ、と。
「これは体によい」と言われているものでも、
のちのち研究が進むと「まずいかも」となることがある。
そんな時に、その食品を大量に摂取していれば、
被害は甚大だ。
最近の話では、人工甘味料。
発がん性はほぼ否定されていて、ゼロカロリー飲料とかに
よく使われているんだけれども、
どうも心疾患の発症率を上げるんじゃないか?という
研究がでてきている。
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こういう話が出たときに、
人工甘味料ばっかり大量に摂取していました、
ってのは、かなりヤバイことになるわけね。
何事もほどほどが肝心、と。
これ、このブログのかなり初期に書いた記憶があるな。
「健康情報の基本」(2007.2.4)
>健康のためには、色々な食材をバランスよく
>取ることが大事であり、
>決して一つの食材に偏ってはならない。
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さて、イワケン先生の健康食なんだけど、
まず、巷にあふれる「〇〇をすれば健康になる」
なんてのは、全てインチキだ、と。w
ではどうすればよいか。
イワケン先生のおすすめの方法は
「スーパーで特売品を集中的に買い、
食材をクックパッドで検索して自炊する」
クックパッドかよ、
と笑ってしまった。
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でも、持続可能性を考えると確かにそれもあり。
いや、忙しいのにこった料理スキルとか
身に着ける暇ないでしょう。
特売品を集めれば、家計によいのは明らかだし。
毎日、ずっと同じ食品が特売ってことはないから、
自然にいろいろな食品を使うことになるし、
かつ、特売ってのは供給が多い=旬なもの、
とも言えるので。
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イワケン先生の本は、ちょっと癖があって
人を選ぶんだけど、私は好き。
わかりやすくて面白い。
(本人は親父ギャグと言われているが。)
しかし、この人の周りの人は大変だろうな、と
思ってしまった。
私も、同じように思われてるかも知れんが。w
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