読書記録 2023.7
2023.7の読書まとめ(読書メーター)
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7月は31冊読了。
小説(新規)14冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊
今月も1日1冊ペースでいけた。
仕事がかなり忙しくて大変なんだが、読書時間は確保している。
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今月の3冊。
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小説から。
「パラソルでパラシュート」(一穂ミチ)
一穂さんの本は、2冊目、かなぁ。
今年の本屋大賞ノミネート作はまだ読めてないけど、
本作はそのひとつ前の作品。
30歳目前の受付嬢。何のとりえもない契約社員の雨ちゃんは、
誕生日に売れないお笑い芸人の亨と出会う。
雨ちゃんがなぜか芸人仲間に紛れ込んで人生を楽しむ。
そういうお話、かな。
30歳までに結婚して、子供産んで。
そういう、「普通の幸せ」というところの普通って何?
芸人さんたちと付き合っているとハチャメチャでスリリング。
でも、ものすごく「今」を楽しく生きてると思う。
これはこれで、全然アリじゃないかなぁ。
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いや、普通はこの出会いならもっと恋愛小説になると思うんだが、
雨ちゃんと亨、これ、付き合ってるのか?ちょっと微妙。
相方の弓彦を含めた三人の掛け合いが絶妙に面白かった。
これも、「普通」の恋愛じゃないわな。
でも、このままみんな年を重ねていっても、それで面白いと思う。
これも、多様性だよ。
結婚して子供産むだけが人生じゃない。
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大阪の地元民として、一つだけ突っ込むと、
茨木方面(雨ちゃん実家)から木津川駅(芸人シェアハウス)行くのに、
岸里玉手で乗り換えるやつはおらんぞ。
別にそこ、書く必要ないのにあえて間違ったルート書かなくても。
てか、校正も誰も気づかんかったのか?
でも、あの辺(西成)の空気感はちゃんと出てるように思った。
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次、新書から
「なぜ理系に女性が少ないのか」(横山広美)
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少し前に、ツイッターである人が意見を募集していた。
「理系に女性が少ないのはなぜか?」
その人の出した結論が面白くて炎上っぽくなったんだけど、
結論は「女性が少ないから」w
は?ってなるけど、意味は理解できる。
女性が極端に少ないところに行こうと思う女性が少ない。
ってことだよね。
情報も回ってこないし、ロールモデルもいない。
女性が理系に進んで、どのような将来を描けるのか見えない。
だから、女性が少ない。女性が少ないから女性が来ない。
負のスパイラルにはまるわけ。
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まず、前提として、男女に能力差はない。
女子は数学が苦手、とか、それは妄想。
「みんながそう思ってるから」そうなってしまっているだけ。
この本によると、欧米にくらべて、大学に行く女子が少ない。
実は、欧米の先進国では、女子のほうが男子より多い現象がおきている。
逆に「男子落ちこぼれ問題」がある、っていう。
それと比べると、東大の男女比は尋常じゃない。
圧倒的に男子のほうが多いのよ。なんで?
そこには、ジェンダーギャップがあるんじゃないの?って話。
さすがに減ってきたとはいえ、一昔前は
「女子が大学に行ってどうするの?」っていう時代があった。
短大卒のほうが、四大卒よりも就職がいい、みたいな
ありえない時代もあった。
それは、女性は結婚して家庭に入り、
子供を産むのが普通の幸せ、という概念が強かったからだね。
結婚するために、学問いる?
まぁ、いい男捕まえるためには、
いい大学に行っておいたほうがつながりは作りやすいけど。
でも逆に、東大女子って、ほかの男子が引いてしまう。
女性はむしろ学歴が結婚の邪魔になることがある、という。
いい大学いって、いい就職をしたら、
逆に婚期遠のくよね。結婚する必要ないし。
キャリアを考えると、今の社会だとむしろ子育てなんかしてられない。
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女子の理系進学率を高めるには、
まず、親世代の意識改革が必要。
理系に進むと、どんな就職があるのか、とか。
著者によると、文系よりも就職はいいらしいけど、知られていない。
確かに、私でも知らんかったもんなぁ。
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ちなみに、私の娘は理系志望だ。
うん、好きにしたらいいんじゃないかな。
好きなものを勉強したらいいよ。
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最後も小説から。
「君のクイズ」(小川哲)
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今年の本屋大賞第6位。
ジャンルとしては、ミステリ?になるのかな。
とある生放送のクイズ王決定戦の決勝戦。
優勝者が決まる最終問題。
対戦相手、本庄は問題が一文字も読まれないうちに、
回答(「ママ、クリーニング小野寺よ」)して、
しかもそれが正解で優勝。
もちろん、不正やヤラセが激しく疑われるわけで、
本庄はその後、音信不通になる。
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この本は、負けたほうのクイズプレイヤー、
三島が決勝戦を振り返りながら、
「なぜ、本庄は一文字も読まれる前に回答できたのか?」
を解き明かしていくミステリーとなっている。
うーん、クイズ番組の裏側、というか、
クイズプレイヤーが何を考えているのか、かなり取材したうえで
綿密に描写されているのが、新鮮で面白かった。
例えば早押し問題なら、答えがわかってから押したら、
押し負けることがある。(ほかの人に先をこされる)
なら、「わかりそう」と思った時点でボタンを押す。
そして、「答えをどうぞ」といわれている時間に必死に思い出す。w
競技かるたの「決まり字」みたいな戦い。
問題文がどのように続くかを予想しながら、
「次にこの文字(音)が聞こえたら、ボタンを押す」
超一流のクイズプレイヤーはそういう世界になっているらしい。
ほんまかいな?
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で、読み進めていくともちろん、0文字回答の謎は解ける。
本庄が、出題者をうわまった結果なんだな、と。
でも、もう一つ謎が残るんだよね。
すなわち、「なぜ本庄はリスクを知りながら0文字回答を行ったか」
本庄目線から言うなら、おそらくこの問題は相手(主人公)に
押し負ける可能性はかなり低いので、
2,3文字(音)読ませてから押してもよかったんだ。
むしろ、そのほうが不正やヤラセ疑惑から逃げられるんだから。
で、もちろんそっちの謎にも解答は示されるんだが。
これが、賛否両論別れそうな感じ。(苦笑)
なんというか、今の時代だなぁ、と。
ネタバレするのもあれなので、読んでみてほしい。
クイズ好きなら、はまると思うな。
確かに、めっちゃ面白いけど、読者を選ぶ感じがするな。
やっぱり、ミステリで本屋大賞は難しいよなぁ。
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