読書記録 2023.10
2023.10の読書まとめ(読書メーター)
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10月は32冊読了。
小説(新規)15冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 10冊、エッセイ/その他 1冊
読書の秋。久々の一日一冊を超えるペース。
理由はあって、「本好きの下剋上」の再読を、
いつもの読書時間外にしているから。
通勤時間と昼の休憩時間が、主な読書時間だけど、
朝とか夜のちょっとした隙間時間で「本好き」を読み進めてる。
なので、読書ペース全体があがってる、というわけ。
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今月の3冊。
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まずは小説
「世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光)
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一部で話題になっていた、ネタバレ厳禁な作品。
「紙の本でしか無理。電子化不可」
という煽り。
これもまぁ、
「読んでみ」
としかいいようがないなぁ。
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これはネタバレ厳禁だわ。
似たような作品もあるのかもしれないが、
私はほとんど知らないので、
この仕掛けを食らって「すごい!」ってなった。
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まるで予想外の方向から殴られる感じかな。
何を書いてもネタバレになるので、非常に紹介しにくいし、
あまり小説を読んでいない人だと、
最悪、仕掛けに気づかない可能性もある。
小説が好きなら、読んでみていいんじゃないかなぁ。
で、ネタバレを誰かと語り合いたい。
そんな作品。
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ストーリーとしては、会ったこともない父親がなくなって、
小説家だった父親の遺稿を探す、という
ミステリ仕立てになっているんだけれども。
で、その遺稿のタイトルが
「世界でいちばん透きとおった物語」というタイトル。
何を書いてもネタバレになるので書きにくいが、
ストーリーは大したことないと思うよ、この本。
でもまぁ、ミステリーってそういうことよくあるよね。
叙述トリックの本とかなら特に、ストーリーはおまけみたいなもんで、
トリックの方に重点おいてるから。
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次、学術系
「アルツハイマー病研究、失敗の構造」(カール・ヘラッグ)
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先月に引き続き、今月も認知症関連の書籍から。
今年の8月発売だから、最新の状況だと思う。
今年承認された、アルツハイマー病に対する新薬の情報も含まれる。
で、この著者はそれ含めても「失敗」と評している訳だ。
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別に、学術論文でもなんでもない、一般書。
もちろん、著者は研究者だけれども、
私が読んでもかろうじて理解はできる程度の難しさ。
たぶん、今のアルツハイマーの研究が停滞していて、
それを突き動かすには研究者では難しくて、
研究者外の世論が必要だ、と思ったんじゃないかな。
それで、わざわざ一般書で世間でアピールしているのだろう。
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前半は、アルツハイマー研究の歴史。
結果がどんどんと出てきて、もうすぐ治療薬ができる、
という機運が高まる。それが20世紀末の状態。
中心にあったのは「アミロイドカスケード仮説」
アルツハイマー病は、脳にたまっていくアミロイドβが
原因でおこっている、というもの。
私が学生時代でもそう習った気がするなぁ。
ところが、そこから20年経っても治療薬が出てこない。
研究や実験は続いているんだけど、
思ったような効果が出ていないのが現実。
著者は、
「アミロイドカスケード仮説以外にも目を向けては?」
というのが主張。
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「アミロイドの研究でなければ、アルツハイマーの研究ではない」
この言葉が、この本のなかで何度も何度もでてくる。
科学的知見からは、もちろんそんなことはないんだけど、
研究費の奪い合いや、政治的、経済的な状況が、
そういう動きになってしまっている。
実際のところ、私はこの著者が
単に迫害された研究者で、恨み言を言っているだけの
印象も感じた。
オレに研究費回してくれれば治療薬作ってやるのに、と。
何度も繰り返し出てくるんだけど、
著者はアミロイド仮説をすべて誤りだと言っている訳ではない。
ただ、アミロイドだけですべて解決する訳はないだろう、と。
実際、アミロイド仮説から出てきた薬は、
アメリカでも議論に議論を重ねた上でようやっと承認されたし、
日本でも、盛り上がってるのはごく一部のみ。
実際に治療にあたっている医師や薬剤師は、
それほど期待していないのが現状じゃないかな。
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私はそれほど勉強していないので
この著者の主張がどこまで正しいのかはわからないが、、
少なくとも、アルツハイマー治療薬の開発が
ずいぶん長い間停滞しているのは紛れもない事実だし、
アミロイドだけで全て説明ができないのも
明らかになっていると思う。
今、日本で主流で使われている薬は、
アセチルコリン関係の薬で、アミロイド系ではないのね。
研究が始まって20年以上になるのに、
全然薬ができてこないの。
そりゃ、仮説に問題があるんじゃないの?
という疑問は、当然だと思う。
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個人的には、医薬品が難しくてもアプリで何とかならんか?
って思っている。認知機能が落ちても使えるアプリで、
落ちている認知機能を補うようなものがあればよいよね。
そうでなくても、
「今日、何曜日だっけ?」という質問を何十回繰り返しても、
何十回でも同じ答えを返してくれるだけで、
介護者が楽になるんじゃない?って思ったりして。
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最後。
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎)
以前から話題になっていた本。
バッタ研究者の前野ウルド浩太郎氏が、
サバクトビバッタの研究のため、
アフリカのモーリタニアで研究するお話。
だいぶ脚色は入っているだろうけど、
ノンフィクションだろう。
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前野さん、生粋の日本人である。
ミドルネームの「ウルド」は、モーリタニアの上司から「貰った」名前。
海外の研究者で、こんなにがっつりとアフリカで調査する人は
ほとんどいないから、尊敬の意味も含んでいるのかな。
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まず、サバクトビバッタだけど、
時々ニュースになることがある。
いわゆる「蝗害」をおこすバッタだ。
すさまじい数の群れになり、農作物ほかを食い尽くす大群。
経済的被害は甚大。なので、対策が必要なんだけれど、
おもにアフリカで発生するので(中国にもあるだろうけど)
あまり研究が進んでいないようだ。
そこで、バッタに魅せられた前野氏が、
アフリカを救うべくモーリタニアで現地調査を行う、と。
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前野さんがモーリタニアに飛び立ったのは、2011年の春。
東日本大震災の年。
祖国が大変なことになっているのに、あえてアフリカへ飛ぶ。
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それだけバッタに魅せられているとしか言いようがない。w
研究者だけれども、当然のようにポストはない訳で、
ポスドクの任期つき研究者という、非常に不安定な立場でアフリカへ。
そして、現地滞在中に(実質)無職になってしまう、という。
いやー、今もそうだけど、研究者、博士って食えないからねぇ。
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生活の糧を得るために、ネットでアピールする。
たぶん、当時はニコニコ動画の方が有名だったんだろうな。
ニコニコ超会議に出たこともあるらしい。
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本を読んでもらえらばわかるんだけど、
この人、ネタとしてめちゃくちゃ面白いのよ。w
おそらく、素で面白いというのもあると思うけど、
ある程度は「計算して」このキャラやっているんだと思う。
そうしないと食っていけないから。
たぶん、研究者として成功しなかったとしても、
これだけ文章かけるんなら文筆業で生きていけるんじゃない?
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ただ、この本ね。
アフリカでの体験を面白おかしく書くのがメインなので、
肝心の研究内容については、ほとんど書かれてない。
それは、ガチの学術書を読んでくれ
ってことなのかなぁ。
しかし、もはや誰もこの人にガチの学術書を
求めていないような気がするな。ww
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