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2023年12月

2023年おすすめランキングTop20

読書記録小説編。

 今年、新規で読んだ小説は157冊。
昨年よりもさらに減った。
他に読む本が増えていたり、
あとは、あれだ。
本好きの下剋上を全部再読してたからだ。
(あれだけで33冊あるからw)

 今年読んだ小説のTop20

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 2023おすすめランキング

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20位 「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介)

 よく読まれているので読んでみたが、
うん、気持ち悪い。確かに、人に勧めたくなる。

19位 「今、死ぬ夢を見ましたか」(辻堂ゆめ)

 電車で見る予知夢の話。
もう一回読んでみたくなる。

18位 「あしたの名医」(藤ノ木優)

 地方の産婦人科のお仕事小説でもあり、
伊豆のグルメ小説でもある。

17位 「猫を処方いたします。」(石井祥)

 そんなん、効くにきまってるやん。
アイデアの大勝利。

16位 「いのちの十字路」(南杏子)

 いのちの停車場の続編。
最後の「ケアラーに休日を」が切実。

15位 「響け!ユーフォニアム」(武田綾乃)

 武田さんの出世作。
王道の面白さ。吹奏楽聞きたくなる。

14位 「セクシャル・ルールズ」(坂井喜久子)

 専業主夫とキャリアウーマンの夫婦。
性別逆なだけな普通の話なんだけど、斬新。

13位 「栞と嘘の季節」(米澤穂信)

 高校生図書委員シリーズの続編。
読者も「嘘」に惑わされる。

12位 「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)

 早見さんの競馬小説。何でも書けるのに、
どれ読んでも面白い、すごい作家さん。

11位 「アルツ村」(南杏子)

 南さん2冊目。リアルで怖い話。
認知症との向き合い方をどうするのか。

10位 「月の立つ林で」(青山美智子)

 本屋大賞第5位。青山さんお得意の連作短編集。
かぐや姫は元気かな?

9位 「ギフテッド」(藤野恵美)

 神様からの贈り物のような子供。
でも、日本では生きづらいんだよな。

8位 「スモールワールズ」(一穂ミチ)

 一穂さんは初めて読んだけど、
読みやすくて面白い。

7位 「君のクイズ」(小川哲)

 本屋大賞第6位。
一文字も読まれない問題を解答できた謎解き。

6位 「世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光)

 とりあえず、読んでみ。
ネタバレありで語り合いたい本。

5位 「パラソルでパラシュート」(一穂ミチ)

 一穂さん2冊目。
大阪の下町と芸人の緩さがいい感じ。

4位 「汝、星のごとく」(凪良ゆう)

 今年の本屋大賞受賞作。
家族の形は人それぞれ。好きに生きればいい。

3位 「方舟」(夕木春央)

 とりあえず、読んでみ(2回目)
本屋大賞第7位。

2位 「川のほとりに立つものは」(寺地はるな)

 簡単にわかったつもりになってるんじゃねーよ。
本屋大賞第9位。

1位 「本好きの下剋上第5部-XII」(香月美夜)

 超大作、完結!神に祈りを!!
そして、祝!!!アニメ第3部!まだ終わらんぞ!

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 まぁ、今年は本好きの下剋上の年になることは、
去年の年末からわかっていた訳で、その通りになった。

 今年の本屋大賞ノミネート作を5冊も読んでるけど、
順位は全然違うな。w

 まだ、本好きの余韻が冷めないんだよなぁ。
来年も楽しみ。

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#読めよ薬剤師2023

年末恒例の企画だけど、
るるーしゅさんが主催者を降りたらしい。

まぁ、面倒くさいんだろうなぁ。
想像以上に大きな動きになっちゃったし。

【2023読めよ薬剤師企画】
《企画概要》2023年に読んで「オススメ」っていう書籍を他の薬剤師にオススメする
《日時》2023年12月29日(金)21時〜

一応、2022~2023年に発刊された、という縛りがある。

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 正直、この企画のために読書記録付けてるので。
今年も参戦する。

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1冊目、フィクション。

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猫を処方いたします」(石田祥)

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いやぁ、これはもうタイトルだけで売れるの確定。
中身も、まぁ予想通り。
アイデアの勝利としか言いようがないわ。

 普通にはたどりつけない心の病院。
たどりつけた患者には、怪しげな医師が、
猫を処方してくれる。

「大丈夫ですよ、
 だいたいの悩みは
 猫で治りますから

そりゃそうだ、としか言いようがない。

 患者さんは、先生が処方した猫と、
注意事項、餌などをもらって帰宅する。
処方期間は1週間くらいかなぁ。
 猫と暮らしているうちに、
(なぜか)悩みが解決してしまう。

 アニマルセラピー?そんな生ぬるいもんじゃないよ。
猫様の力を侮ることなかれ

 別に処方されたといっても、世話をするだけ。
猫を吸うとか、そういう訳ではない。(当たり前)

 もちろん、少しはファンタジー入ってる。
ただ、処方された猫は全部、普通の(?)猫で
特殊能力とかあるわけではない。
(クリニックのスタッフが普通じゃないけど)

 早くも続編が発売されている。
表紙には、「お薬手帳」ならぬ「お猫手帳」が。
そこまでいくと、もはやネタだろ。w

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 それはともかく、
メンタルクリニックにおける、薬の立ち位置って?
もちろん、薬も大事なんだけど、
その人の環境はもっと大事なんじゃないかなぁ。
相談できる人がいる、とか、することがある、とかさ。

 治療は医薬品だけじゃない。
医療スタッフの態度とか。
昔は「あの人の出した薬はよく効く」みたいなのも
あったなぁ。
 ただのプラセボ効果なんだけど、
プラセボ効果、とっても大事だからね。

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 次。学術系。

アルツハイマー病研究、失敗の構造」(カール・ヘラップ)

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アルツハイマーに関して言えば、
今年は新薬、レカネマブの承認が話題になった。
主に、費用の面で

でも、この著者はこの新薬含めても、
アルツハイマー病の研究は失敗が続いている、と言っている。

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 この本は、学術論文でもなんでもない、一般書。
もちろん、著者は研究者だけれども、
私が読んでもかろうじて理解はできる程度の難しさ。

 たぶん、今のアルツハイマーの研究が停滞していて、
それを突き動かすには研究者では難しくて、
研究者外の世論が必要だ、と思ったんじゃないかな。
それで、わざわざ一般書で世間でアピールしているのだろう。

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 前半は、アルツハイマー研究の歴史。
結果がどんどんと出てきて、もうすぐ治療薬ができる、
という機運が高まる。それが20世紀末の状態。

 中心にあったのは「アミロイドカスケード仮説
アルツハイマー病は、脳にたまっていくアミロイドβが
原因でおこっている、というもの。

 私が学生時代でもそう習った気がするなぁ。
ところが、そこから20年経っても治療薬が出てこない
研究や実験は続いているんだけど、
思ったような効果が出ていないのが現実。

 著者は、
「アミロイドカスケード仮説以外にも目を向けては?」
というのが主張。

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アミロイドの研究でなければ、
 アルツハイマーの研究ではない

この言葉が、この本のなかで何度も何度もでてくる。
科学的知見からは、もちろんそんなことはないんだけど、
研究費の奪い合いや、政治的、経済的な状況が、
そういう動きになってしまっている。

 実際のところ、私はこの著者が
単に迫害された研究者で、
恨み言を言っているだけの印象も感じた。
 オレに研究費回してくれれば治療薬作ってやるのに、と。

 何度も繰り返し出てくるんだけど、
著者はアミロイド仮説をすべて誤りだと言っている訳ではない。
ただ、アミロイドだけですべて解決する訳はないだろう、と。

 実際、アミロイド仮説から出てきた薬は、
アメリカでも議論に議論を重ねた上でようやっと承認されたし、
日本でも、盛り上がってるのはごく一部のみ。
 実際に治療にあたっている医師や薬剤師は、
それほど期待していないのが現状じゃないかな。

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 私はそれほど勉強していないので
この著者の主張がどこまで正しいのかはわからないが、

少なくとも、アルツハイマー治療薬の開発が
ずいぶん長い間停滞しているのは紛れもない事実だし、
アミロイドだけで全て説明ができないのも
明らかになっていると思う。

 今、日本で主流で使われている薬は、
アセチルコリン関係の薬で、アミロイド系ではないのね。
研究が始まって20年以上になるのに、
全然薬ができてこないの。

 そりゃ、仮説に問題があるんじゃないの?
という疑問は、当然だと思う。

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 研究がうまくいっていないだけではなくて、
明らかに失敗してるよね。
それはなぜか?というお話。

 最新の科学研究でも、失敗することはある。
そうした場合に、どうやって修正していくのか。

 科学の世界の中だけでは、袋小路から
抜け出せそうにない、というのがちょっとキツかったな。
でも、読んでおく価値はあると思う。

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 最後は、ノンフィクション、エッセイ。

くもをさがす」(西加奈子)

 西さんの本は全部読んでる。
西さんは直木賞作家で、私とほぼ同年代。
最新作は、小説ではなくてノンフィクション。

 西さん、いつの間にか結婚して子供がうまれてて、
バンクーバーに住んでいるらしい。
そんな西さんが、乳がんになった。
この本は、西さんの治療の記録である。

カナダで、がんになった
あなたに、これを読んでほしいと思った

 あえて、「闘病」という言葉は使っていない。
あくまで治療。闘いではない、と。

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 私は西さんの作品をたくさん読んでるので、
ノンフィクションであっても、
西さんの小説の一シーンが浮かび上がってくる。
ああ、このシーンはこの本に似てる、とか。
この表現は、西さんならでは、とか。

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 ただ、薬剤師として読むならば、
西さんのがん(トリプルネガティブ乳がん)の
治療の記録は、勉強にもなる。

パクリタキセル+カルボプラチンのあと、
シクロフォスファミド+ドキソルビシン。

フィルグラスチムを自己注射するのか、とか。 

 そして、カナダの医療事情もよくわかる。
最終的に手術するんだけどね。。

 乳がんの手術、日帰り。

 ドレーンついたまま退院。
薬局でタイレノールもらって帰れ。

 タイレノール(アセトアミノフェン)が
万能すぎる。w

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 バンクーバーの町のいいとこ、とか。
カナダのいいところ。よくないところ。
そういうのもたくさん書いてる。

 ただね、西さんね。
カナダ人のセリフ、全部関西弁で訳してるのよ。
これが面白い。いかにも西加奈子って感じで。w

 そして、哲学的な問いも多い。
この辺は西さんの「i」を思い出したなぁ。
過去のエッセイにもつながるところあるし。

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 西さんの小説としての最高峰は、
「サラバ!」だと思っているけれども、
この「くもをさがす」は、
西さんの著作のなかで「サラバ!」に匹敵する。

 西さんファンのみならず、
がんサバイバーの人にも読んでほしいし、
今からがんの治療を受けるひとにも読んでほしい。
そして、医療従事者にも読んでもらいたい。

がんの治療を受ける人の気持ちもわかるし、
さらに、がんの治療の勉強までできてしまう。

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 いま、がんの治療は日進月歩。
一昔前なら、ステージ4というと絶望的な響きがあったけど、
今はどうだろう?結構、何とかなることも増えてきた。

 結果として、がんサバイバーが増えているのね。
そして、そういった先輩方が、新たにがんになった人の
手助けをする。心の支えになる。

キャンサーシスターフッド」なる言葉がでてきて、
びっくりした。

「シスターフッド」というのは、仲の良い姉妹のように、
お互いを支えあう女性同士の関係のこと。

(これは、柚木麻子さんの「らんたん」読んでほしい。
 私も大好きな話)

 それに、「キャンサー」がんサバイバーの関係を加えることで、
先にがんになった人が、後からなった人を支える関係ができる。
うわー、すごい世界だなぁ。

 もっとも、西さんが人を愛し、人に愛される人だからこそ
というのはあると思うけどね。

西さんは、本当に友人に恵まれている。
みんなが助けてくれる。

 それは、西さんがそういう人だからなんだろう。
西さんが中心にいるから、じゃないのかな。

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 今年も、選考に難航。

 西さんの「くもをさがす」はもう、
読んだ瞬間から、「これは紹介しなきゃ」だったんだけど。

 フィクション枠は、医療系の小説でほかに、
南杏子さんの「アルツ村」や、「いのちの十字路」
先月紹介した、藤ノ木さんの「あしたの名医」なんかもよかったけど、

結局、猫に全部もってかれた。w

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 学術系も、瀬名さんの「知の統合は可能か」とか、
「因果推論の科学」みたいな、科学の根本にかかわるような話も
衝撃的だったんだけど、どちらにせよ重すぎ。

 タイムリーで(比較的)読みやすいアルツハイマーを採用。

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 西さんがなかったら、次点は
尾身さんの「1100日間の葛藤、新型コロナパンデミック」
かなぁ。そういう、コロナの総括みたいな本もよく読んだし。

 ただ、コロナはまだ終わってなくて、
年末年始にかけて、また次の波が来そうな気配があるんだが。

 

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フィギュア全日本2023

 毎年見ているフィギュアスケート全日本選手権。

 去年は、大阪だったので直に見に行ったんだっけ。
またいつか、現地観戦してみたいな。

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 今年は、男女ともシングルが面白かった。
悪く言えばどんぐりの背比べなんだけど、
代表争いも全然読めなったし。

 男子は宇野昌磨、女子は坂本香織が盤石。
ただ、そこに絡む2番手、3番手がどうなのか。

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 女子は、正直、今一つだったなぁ。
いちばんクリーンに演技したのは、女王の坂本香織。
とんでもない点数で盤石の3連覇。

 なんかね、上位進出を狙って大技で勝負した選手が、
ほとんど失敗してしまったのね。w
なので、とんでもない大混戦になった。

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 そんななか、千葉百音が見事な演技で2位。
ジュニアから島田麻央が3位に入った。
でも、4回転は決められなかったんだよね。

 グランプリ欠場した三原はそこそこ戻してきてて5位。
でも、世界選手権代表は吉田陽菜。7位だったのに?

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 うーん、この辺はバランスの問題なんだろうなぁ。
1位坂本、2位千葉までは順当だけど、
この二人は大技がないのね。

 そこに、同じように大技がなくて年齢も高い
三原を追加するよりは、
一発逆転の大技をもってる吉田の方が、
という判断なんだろう。

 失敗しても、若手に経験積ませる意味もあるし。

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 さて、男子はめちゃくちゃハイレベルで面白かった。
フリーの最終グループの6人がマジでやばくて、
こんなにハイレベルなことある?

 最終的に、友野くんが6位だったんだけど、
6位でも270点超えてる、という。
いや、グランプリシリーズなら余裕で表彰台なんすが。

 ちょっと今年のこの6人は、
記録にも記憶にも残しておくべきだろう。

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 最後に宇野くんだけ(少し)やらかしたけど、
それでもショートの貯金があって総合1位。

 鍵山くんは、フリーだと4回転2回しか飛んでない。
他の選手は3回、4回いれてるのに。
にもかかわらずフリートップ。

 冒頭の4Sの完成度が高すぎるんだわ。w
怪我明けのシーズンで、まだ本調子ではないのにこれって。

あと、今年からコストナーがコーチについたこともあり、
表現面のレベルが上がってきてる。
最後のステップシークエンスが、もう「やばい」域に入ってる。
ジャンプだけではなくなってきたなぁ。


 山本くんは、ノーミスで通して3位だったのに。
なんで世界選手権の代表取れないんだろう。

 代表に選ばれたのは4位の三浦カオ。
グランプリシリーズでの実績と、
はまった時の爆発力は、カオの方が上なのはわかるけど、
うーん。山本くんに行ってほしかったなぁ。

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 5位に4Lzきめた佐藤くん。
そして、6位に我らが友野くん。

 去年は堂々と世界選手権にいけたのに、
今年は、去年よりもいいできだったのに、
四大陸選手権の代表にすら選ばれないとか。

 日本男子、レベル高すぎー。。

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 うん、今年も面白かったな。

 世界選手権ではどうなるかな?
アメリカのマニリンが4回転6本の構成で、
ちょっと太刀打ちできそうにないんだけど。w

 女子はどうかなぁ?
ロシア勢がいなきゃ、坂本香織に勝てる選手いないでしょ。

 

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読書記録 2023.11

2023.11の読書まとめ(読書メーター

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11月は30冊読了。

小説(新規)15冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

何冊か読みにくい本があり、冊数は伸びなかった。
読みにくい本でも最後まで読むのが私の流儀。
途中でほっぽり出して読まないことはほとんどない。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
あしたの名医:伊豆中周産期センター」(藤ノ木優)

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 珍しく、タイトルだけで新刊で購入したけど、
予想外に面白かった。(失礼)
医療系の小説は、エンタメとして面白いことは当たり前として、
それでいて現在の医療について知ることができて、
勉強にもなる。

 この作品の場合、それに加えて
「伊豆の食べ物」の魅力満載、という
プラスアルファもついてくる。w

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 作者の藤ノ木さんは初めて知ったけど、
現役の産婦人科医らしい。
これ読んで、産婦人科を目指す医師が増えたらいいのに。

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 主人公は、東京の大学病院から、伊豆に出向させられる。
東京では考えられないような勤務体系。
(休日は、自分の予定を提出のこと)
時代遅れとしか思えない「教授ルール」

そもそもが、自分のやりたい医療とは違うけれども、
そんな中でもまれながらも、産婦人科の臨床経験をつみ、
ひよっこながら成長していく、という物語。

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 地方の産科医療は、厳しい。
本当に綱渡りの状態で回しているようだ。
伊豆中にしても、救急車を断る、という選択肢は最初からない。
すべて受け入れるしかないから、勤務体系がえぐいことになる。

 こんなので医師の働き方改革とかどうやっていくんだろうね?
ちゃんと休みをとれるようにしようとするならば、
お産のできる病院を集約して、
一つの病院あたりの医師の数を増やすしかない。

 でも、そうすると田舎の病院から産科が消える、とかで
反対運動が起きる、といった流れだったような。

 実際問題、田舎で産婦人科医一人でやると、
24時間365日勤務」に近い状態になるし、
実際にそれで回していた病院もあるんだけど、
令和の時代にそれは無理でしょ?

 どうするのかな。

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 次、学術系
EXTRALIFE なぜ100年間で寿命が54歳も伸びたのか」(スティーブジョンソン)

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タイトルだけで、どんな内容か想像つくよね。
実際、そういう話。
19世紀ごろまでは、平均寿命は30歳程度だったけど、
今は80歳くらいになっている。
その結果として、人口爆発しているんだけど。
じゃぁ、その要因はなに?

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 平均寿命が短かったのは、
乳幼児死亡率が高かったから。これに尽きる。
昔の平均寿命は30歳って言っても、
15歳くらいまで生きられた人は、その後、結構長生きできる。

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 乳幼児死亡率を下げたのは、
なんといっても、「ワクチン
次に、下水道などの「公衆衛生」
また、医療が未発達な地域でも使いやすい「経口補水液」

 子供が感染症で死ななくなったから、平均寿命が延びた。
もちろんワクチンだけど、感染症を抑えるための公衆衛生。
そして、下痢症状を手っ取り早く改善する「経口補水液」
この辺は、億単位で人の命を救ってる。

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 医学の発達ももちろん要因ではあるけれども、
昔、18~19世紀くらいだと、
医療が介入する方が死亡率が高かった時代もあった。
 今からみたら明らかにやばい治療をしているから。

 医学でのブレイクスルーは、
「ちゃんと効果の判定をできる臨床試験」
RCTの発明。
今から考えれば当たり前の話なんだけど、
これがでてきたのって20世紀の話なんだよ・・・。
対照実験大事。

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 そんな世界の平均寿命だけど、
ここ2年で連続して下がっている
新型コロナの影響の凄まじさ。
 1910年代のスペイン風邪に匹敵する
100年に1度のパンデミックだったんだなぁ。

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 最後。

1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録」(尾身茂)

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 日本の新型コロナ対策、分科会会長の尾身さんの記録。
尾身さんは、この夏に分科会会長から退いた。
 立場はいろいろ変わったけれども、
常に日本のコロナ対策の中心にいた。
日本のコロナ対策はどうだったのか、の記録。

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 尾身さんはじめ専門家は、最初から、
歴史の審判に耐えられるか?」を考えて行動していた。
そのため、後世からみて検証できるように資料を残している。
この本は、その資料集でもあるのかな。
 次々と変わる事態に、尾身さんや専門家がどう考えて、
どのように対応したのか。

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 日本は、コロナによる被害をかなり抑えた国の一つ。
欧米に比べると、死者数が異様に低い。
ただ、経済面ではどうだったのか?と言われると難しい。

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 最終的には、医学だけでは語れない価値観の問題になる。
今回は、専門家が「前のめり」で前に出すぎてしまったが、
逆に言うと政治家が前に出たがらなかったからだろう。
本来は、専門家の提言を受けて、国民の信託を得ている
政治家が決断を下すべきなんだ。

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 5類移行にしてもそういう話。
大した病気ではなくなったから5類に、という訳ではないと思う。
コロナを過去にするために、目をつぶってやった面が大きい。

 夏から秋にかけての9波。
ほとんど報道されていないが、おそらく第8波と同等の死者数が出ていると思う。
統計として正確にカウントしていないからわからないけど
(あとで、超過死亡数として確認できるが、数ヵ月のタイムラグがある)

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コロナの2020年から2023年。
もっとも死者数が多い年は?

間違いなく、2023年。
今年だ。

8波は過去最高の死者数を出しているし、
9波もそれに匹敵するくらいなんだから。

 それでも、5類にしたんだよ。
コロナで死ぬことをあきらめて、見ないことにした。

 それは価値観の問題だ。
日本国民がそうとわかってやったのならね。
たぶん、ほとんどの人はわかってなかったと思うけど。

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 願わくば、これで終わりにしないでほしい。
喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではだめ。

次のパンデミックに備えるために、
しっかり検証して欲しい。

 何はともあれ、尾身さん、お疲れさまでした。

 

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