読書記録 2024.6
2024.6の読書まとめ(読書メーター)
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6月は25冊読了。
小説(新規)10冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 8冊、エッセイ/その他 4冊
生活が変わって通勤時間がほぼなくなったので、
やっぱり読書時間が減ってしまった。
小説読んだ数は少なったけど、
いい作品多かったな。
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今月の3冊。
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「この銀盤を君と跳ぶ」(綾崎隼)
綾崎さんのフィギュア小説。
綾崎さんと言えば、サッカーなんだけど、
このところ、将棋を書いたりフィギュアを書いたり
多彩さを見せつけている。
で、どれも面白い。
私は恩田陸さんを「天才を書く天才」と評したけれど、
綾崎さんも匹敵するんじゃないかなぁ。
天才少女二人が、たったひと枠のオリンピック出場枠を
争う、という物語なんだけど、この二人がね。
どちらも世間から愛されないという、
いまだかつてない話だ。
世間からブーイングを食らうアスリートって、
なかなかいないよね?特にフィギュアでは。w
一人は、あまりにも傍若無人なため。
もう一人は、気分屋で気分が乗らなければ
試合をボイコットするため。
そして、そんな彼女たちを支える
コーチや振付師目線の話が実にいい。
フィギュアは、ジャンプだけじゃないよ!
っていう振付師でありながら、
実際には4回転ジャンプ跳びまくるライバルに
太刀打ちできていないってのが、
まさしく現実とリンクしているし。
そして迎えた決戦の日、全日本選手権。
いやー、これはフィギュアファンなら燃える展開。
そして、フィギュアスケートのファンでいて、
かつ綾崎さん推しの私が、気に入らない訳がないわ。
今のところ、今年の上半期で一番、面白かった。
私以外にどこまでささるかわからんけど。w
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つぎ、学術系。
「偶然の科学」(ダンカン・ワッツ)
これは、少し昔の本。
今年なくなったSF作家の山本弘さんが、
著作(BISシリーズ)の中で紹介していたので読んでみた。
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物事には必ず原因ってあるけれども、
みんなが思うほど、「これが原因」ってハッキリわかることは
ないよ、という話かな。
いろいろな実験、データが積み重なっていて
少し読みにくいけれども、まとめると、
「偶然の範囲は大きい」ってことじゃないかと思う。
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例えば、ハリーポッターシリーズは世界的大ヒットになった。
もちろん、後付けで理由はいくらでも考えられるけど、
あれを出版する前に、あの本が売れると予想した人は
ほとんどいなかったのも有名な話。
じゃぁ、なぜあれだけ売れたのか?
結局のところ「偶然」ってことじゃないのかな、と。
というか、世の中のヒット作、ほとんどが、
「偶然」によって生まれていると言ってもよいかと。
いい作品が必ずしもヒットする訳ではないし、
「なんでこの作品が?」ってのが大ヒットすることもある。
それ、事前にわかるわけないよね、ってこと。
もちろん、ある程度の予測はできるけれども、
それで完全に読み切れるわけではない。
その偶然の幅は、世間の人が思っているよりも
よっぽど大きいんだよ、という話だ。
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たとえば、ある人ががんになったとする。
たいていの人が、「何が原因?何が悪かったんでしょうか?」
と気になって医師に聞くそうだ。
とある医師の答えはこう。
「いろいろ原因は考えられますが、
一番悪かったのは、、、
運 です。」
そう、運が悪かっただけ。w
いくらタバコ吸っても肺がんにならない人もいれば、
十分に健康に気を付けていても、難病にかかる人もいる。
ある程度の説明はできるけれども、
一番大きいのは、「運」。
つまり、「偶然」だよ。
未来の予測なんて、なかなかできるものではない。
ただ、全くできないわけでもない。
結局は努力するしかないんだけど、
努力したからといって報われるとは限らんよね、
ってことかもしれない。
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最後も小説から。
「山の上の家事学校」(近藤史恵)
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今月は、新規の小説を10冊しか読んでいないが、
面白いものが多かった。
シングルファーザー二人が共同で子育てする
「プリテンドファーザー」とか、
黒田官兵衛が牢の中で安楽椅子探偵をする、
米澤さんの「国牢城」とか。
でも、あえて紹介するのはこれ。
近藤さんは、ミステリ作家なんだけど、
今回はミステリ要素はなし。
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家のことを一切しないで、
奥さんに愛想をつかされて離婚された40代の男性が、
家事学校に通って家事のことを学ぶ、という
いかにも今時なストーリー。
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いや、私も今、家事やってるけど、
これ読むと全然できてないわ。
洗濯は洗濯機にいれて終わりだと思ってるし。
ボタン付けもできないし。
家事ってのは、生活を維持するために必要な、
賃金の発生しないすべての仕事のこと。
いわゆる「名前のつかない仕事」含めると
圧倒的に多いんだよね。
つい最近も、お風呂の排水溝が詰まってる、と
訴えがあったので掃除した。慣れたもんだけどさ。
いや、気づいたんならあなたがやっても
いいんだよ、と思ってしまった。
台所の排水溝の掃除にしてもさ、
そんなに難しい作業じゃないんだよ。嫌なだけで。
でも、主夫(主婦)以外の感覚は、
「それは、私の仕事じゃない」って思うのね。
私も、家事しない期間が長かったから、
その感覚は嫌というほどわかる。
なぜ、家事は女性の仕事と思われているのか。
フルタイムの仕事しながら、家事をやるのって
かなりキツイんだよね。
外注するのもありだと思うけど、
それにしても、一通りできないと
外注することもできないよ。
住み込みのお手伝いさんでもいない限り、
こまごまとした家事は発生し続けるしね。
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ラストの方の展開で、
家事がある程度できるようになった主人公が、
自分の体験を記録した記事を、
前の奥さんに見てもらって、感想をもらうんだけど。
「あなたは何もわかってない」って
怒られるんだよね。w
ああ、めっちゃリアルだ、と笑ってしまった。
そこは、安易にハッピーエンドにはならんのよ。
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社会全体の働き方だとか、
家事に対する考え方を変えていかないと、
この不平等は解消されないんだろうな。
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